脇差し
武士というものは、刀を二本腰に下げております。
飾りで二本下げているのではなく、長い方の刀が折れたり、曲がったり、欠けたりしたときに短い方の刀、脇差しを抜いて戦うというスペアの役割があります。
合戦の場合、それは全く事なり、長い日本刀は殆ど役に立ちません。何故ならば、武士は硬い鉄の鎧を着ていますから、日本刀で何回切っても切れないからです。
相手を打ち取るには、脇差しで鎧の隙間を狙って刺す必要があります。
そのため鎧武者との戦い方とは時代劇よりももっと泥臭く、息のかかるような接近戦が多く起きたと言われています。その際に使用されるのは長い日本刀ではなく、短い脇差しなのです。
実は私の鎧は既に脇差しをさげておりまして、これがまたいいのです!
冷鉄という名前の海外のメーカーが作ったトレーニング用の木剣なのですが、商品名ボッケン、材料は樹脂。これを持ったとき、その玩具みたいなチャチさがまた可愛い!と思い腰にさげました。
外歩くときに本物だと捕まるからです。しかし、これがまた鎧についていると本物に見えてくる!!おかしいな!ははは!
僅かに反りをもった刀身は、先に行くほど細くなり、刺しやすいようにデザインされています。持ち手の鮫皮と負い紐の捻ったものが汗をかいた手でもすべらず、また、血がついた手でも滑らないのです!
またこの曲線が……若いおなごのようでいいじゃないか。
なんということか。私は日本人に生まれながらこれを握ったことがなかったとは。何10年、何百年と磨き抜かれた伝統の形。日本人による日本人のための刃物。
みんなこれ買った方がいいよ!ちゃちいけれど、本当に打ち取る形をしとる……。手に持った感覚が本物に近い。Amaz○nさんで6千円くらいです……おすすめです……。
しかも私は設計者なのだった。しかも、刀匠を知っている。
実はこの日本、鎧を作る人は減ったけれど、日本刀鍛冶もまた、減っていた。世界で一番切れる刃物が今まさに消えようとしていた。
金を落とさんとならん!!素晴らしい仕事に敬意を払って脇差しを一本打ってもらいたか!!
今晩は設計終わるまで寝れん。
火がついてしもうた。
我が鎧はこれを望んでいたということだろうか。
やはり、格好がつかんものなぁ。偽物ではなぁ。




