2.白い空間の死神
気がついたら、ふわふわとした空間にいた。多分、夢だろうけど、とりあえず歩いていた。そしたら急に後ろから、
「アナタ、タスケタイデスカ?」
軽くノイズのかかった声がした。すぐに後ろを見たら、胸元当たりくらいの小さい女の子がいた。全く見たことは無い。
「え・・・どういうこと?」
「アキラサンハ、モウワタシノテノナカデス」
「いや・・・は?」
意味が分からなかった。この子が何を言ってるのか。本当に。そう思ってたら、別空間らしき所から、黒い鎌を出した。そう言って、なんとなくはっきりしてきた。
「ワタシガコロシタワケデハナイデス、明良さんは、ただの事故です」
そう言って、何となくわかった。この子は、多分死神、つまり、明良は・・・
「秋来くん、あなたは明良さんを助けたいですか?」
「そりゃ・・・できるなら!」
そう言って、死神は小さい手を秋来の顔に手を向けてきた。
「分かりました、では・・・あなたが明良さんになってください」
唐突に意味が分からなかった。俺が・・・明良になる?
「ええ、そうして、運命に回避してください、私だってこんなことはしたくないんです。でも、あなたは願ったじゃないですか、心から」
「いや・・・だからって・・・」
「では、サヨナラ、最後に言います、明良の運命を回避してください、念の為、私の名前は、サクラです」
そう言って、青白い光を向けてきた。
スマホのアラームがなった。何故か、音が違う気がしたが。ベッドの上で寝ていた。だけならもちろん普通だろう。だけど身体がおかしかった。とりあえず立ち上がったが。
「ここ・・・どこ・・・」
少しスっとするような声がした。聞いたことのある気がしたが。
「あー・・・なにこれ・・・」
身体には、水色のワンピースを纏っていた。普通、おかしい。自分こんなの持ってたわけなかった。
「うぅ・・・なにこれ・・・」
外は、少し前に見た景色が映っていた。これは・・・と思い、すぐに1階に降りていった。
洗面所に来て、鏡を見たら、少し大人びた、だけどどう見てもそう、明良が写っていた。
下を見てみると、少しだけ、膨らみがあった。
「な、な、な、なんだこれは!?!」
明良の声が、家中に響いた。
「うるさいって姉ちゃん・・・ゲームしてたのに・・・」
「ああ、ごめん・・・」
そう言って、多分弟の子は戻って言った。
「姉ちゃん・・・やっぱり俺・・・明良かよ・・・」
そう言って、とりあえず2階に上がっていった。