10.告白のライバル的戦争
「はぁ・・・やっぱり落ち着く・・・」
少しだけ、女子トイレに入るのは躊躇ったけど、そんなのはどうでもよかった。
「ねぇ、藤原・・・さん?」
「ひゃ!?いや、どしたの?」
唐突に聞いたことの無い声がした。念の為、ドアを開けてみると、そこには女の子がいた。いや、女子トイレだからおかしくはないか。
「ねぇ!聞かせてください明良ちゃん!さっきこうきくんと何があった!?何を話したのですか!?」
「いや・・・私はただ・・・挨拶されただけ・・・」
「へぇ!まぁいいですわ!でも調子に乗らないでくださいね!こうきくんは私の彼女なのですから!」
そう言って、女の子は去っていった。
「・・・サクラ、今のは?」
「今のは「山岡 志乃さんです、先程みたように、こうきさんが好きすぎる女の子です」
「・・・ありがと」
そう言って、とりあえずトイレからでて教室にとにかくいった。もうすぐ授業だし。
「あ、明良さん!一緒に食堂でたべませんか?」
「え、わ、私はいいけど・・・その・・・」
昼休み、こうきが声をかけてきた。昼休み前も、ずっと声をかけてくる。やっぱり好きというのは間違いなさそうだ。サクラは本当に、「ただの死神」なのか?後ろを見ると、志乃が見ていた。
「ごめん!今はちょっと無理!というか・・・別に嫌いではないんだけど・・・しばらく話しかけない方が・・・」
「あ、わかった」
素直か、とは思ったけど、多分、志乃の警戒だろう。しょうがない。
「とりあえず、また」
そう言って、とりあえず早く食堂に向かった。
「ねぇねぇ!こうきくん!」
そう言っている声が、少し遠くからした。




