再会の地下通路 2
深い井戸をゆっくりと降りた。
底にたどり着くと、人一人が苦労して通れそうな横穴がある。
ペイジは突っかかりながらも、ようやく通り抜けた。
横穴を抜けた先に、昨晩見た幻影と同じ通路があった。
「間違いない。ここだ……」
ペイジの言葉にフレデリアが泣きだしそうな声を上げた。
「ここに、ローディがいるのね」
ようやく会える……長い、長い時間を要してやっとここまできたのだ。
はやる気持ちを理性で押さえつけた。……もし、ここにクローディアがいなければ、また振り出しだ。
グイグイと服を引っ張るフレデリアを、ペイジは一度抱きしめた。
「少し落ち着け」
耳元で囁くと、フレデリアはあからさまに苛立った表情になった。
「私は落ち着いてるもん」
頬を膨らませるフレデリアの頭を撫でると、ペイジは後ろを歩く二人に振り返った。
呆れ顔のクロナ。少し羨ましそうな表情のシスリナ。
この二人もなかなかわかりやすい。
「罠があるかも知れない。気をつけろ」
ペイジの言葉に三人は強く頷いた。
「不思議な灯りですね。これも魔法でしょうか?」
壁に備え付けられた松明が煌々と輝いている。
炎のように見えるが、近づいても熱は感じられない。
「魔法具の一種かもね」フレデリアが興味深そうに見ている。「今では失われた技術も結構あるみたいだし 、案外貴重な物かも」
「金目のものなのか?」
クロナの問いにフレデリアは首を傾げた。「どうだろ、こういった類の物は、貴重すぎて価値がつかない場合もあるから」
好事家ならともかく、一般人には不要なものだろう。確かに灯りとしては便利だが、得体の知れない物ゆえに、思いもよらない危険もあるかも知れない。
クロナは後ろ髪ひかれる思いで松明を諦めるのだった。
「あったぞ!」
しばらく歩いた先に、紋章が刻まれた大きな扉が見えた。
「この先に、ローディが……」
祈るように指を組むフレデリア。大きく深呼吸をしたペイジは、クロナと共に扉を押し開けた。
重い音を立てて扉が開かれた。
その向こう側は広場のような空間になっていた。
球体の天井にやはり見たことがない照明が辺りを照らしている。
「ローディ?」
フレデリアの声が響き渡る。だが、返事はない。
何度もフレデリアが名前を呼んだ。だが、望む返事は返ってこない。
「そんな……」
崩れ落ちそうになる体をシスリナが支える。
「まて、何かあるぞ」
ペイジは広場の中央に何かが刺さってあるのを見つけた。
「あれ、ローディの剣じゃない?」
フレデリアはシスリナの手を離れると、小走りに近寄ろうとする。
「待て、フレア!」
剣に手が届こうとした瞬間、その周りを円を描くように紫色の蝶が飛び立った。
「妖精の輪環!」
蝶がフレデリアを包み込む寸前。ペイジはその腕を引き寄せた。
「大丈夫か?」
フレデリアが頷く。だがその表情に余裕はない。
直後に背後で轟音が鳴り響いた。
「クロナ!シスリナ!」
「あぶねぇ……こっちは大丈夫だ」
振り返ると、二人を閉じ込めるように地面が盛り上がり、まるで鳥かごのように包み込んでいる。
「ペイジ……」
フレデリアの震える手がペイジの服を掴む。
飛び交う蝶の向こうから聞こえる擦れる金属音。甲冑の騎士は、ゆっくりとその姿を現わした。
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