#4 女子に囲まれるイベントは怖い
こんにちは!
明日葉です!
友達を作る過程って本当に色々ですよね。
積極的に挨拶したり、同じ部活だったり、街角でぶつかったり。
どんな風に出会っても、友達はみんな大切ですよね。
では、本編をどうぞー!
前回のあらすじ
人気者が気を遣いすぎる。
〇
白モフの撮影の翌日。今日は普通にボッチで登校した。昨日みたいなイレギュラーは、心の平穏を無くすから勘弁してほしい。だが、今日は更に予想外のことが起こった。
「おっ!英治!おはよう!」
クソイケメンが俺に挨拶してきた。もちろん、周囲は途端にざわめき出す。
「え…?水瀬君とアイツって接点あったの…?」
「なんで?」
そりゃそんな反応になるわな。ここは、挨拶の理由を聞いて、人違いとしとくか…いや、だめだ。そもそもコイツが積極的に関わろうとした人が出たってだけで色々厳しくなる。
「水瀬ちょっとこい」
とりあえず、視線が痛いから水瀬を呼び出し廊下に出た。
「お前なんで声掛けんだよ」
「なんでって…友達なら普通じゃないか?」
「昨日言ったこと忘れたのか?俺とお前は接点なかったのに、いきなり声掛けたら不自然だろ」
「うん。だから挨拶から始めようと思って」
「あー…」
うん。わかった。コイツは純粋に、学校で俺に話し掛ける口実を作ろうとしたんだな。クッソ下手だけど。
「お前、自分から友達作ろうとしたことないだろ。いや俺もないけどさ」
「え?いや、えっと…んー…確かに気付いたら周りにいた…かな…」
くそっ!これだからイケメンはっ!
「あのなぁ…そもそも接点ゼロで挨拶もおかしいだろ。しかも下の名前で。普通は同じグループとかで作業したから挨拶するとかじゃねぇの?」
「そっか…そうなのかな」
「あー…なんでボッチの俺が、イケメンに友達の作り方教えてんだよ…おかしいだろ…」
俺は頭を抱えて悩んだ。コイツは良くも悪くも純粋過ぎる。少しは人を使って取り入ろうとする桜を見習って欲しい…
「とにかく!俺とお前では現状接点なし!だから今まで通り空気扱いしてくれ!」
「でももう遅いんじゃない?俺挨拶しちゃったし」
「そうだったぁ!…もういい。適当に昨日犬の散歩中にあったことにでもしとけ。嘘じゃねぇし」
「あ、あぁ…そうしておく」
「じゃ、そういうことで」
というわけで俺は先に教室に入った。話し掛けるなオーラを目一杯出しながら。それが伝わったのか、誰一人として俺に話し掛ける人はいなかった。
逆に、水瀬が教室に入った途端に囲まれていた。おそらく質問攻めにでもされているんだろう。もちろん取り巻きの中には桜がいた。
お前は知ってんだろうよ…
そんな風に思いながらちょっと見ていたら、目があった。なぜだか睨まれた。俺が何をしたというのだろう。
なんだか今日は厄介なことが起こりそうだ…
〇〇
昼休み。俺はあからさまなギャル達に校舎裏で囲まれてた。
「一体なんのご用でしょう?」
人生初の女の子に囲まれるイベントがこんなに怖いものだとは思わなんだ。思わず敬語になってしまった。
「単刀直入に言うけど、アンタ調子に乗るんじゃないよ?水瀬君とちょっと仲良くなった位で」
「いやいや、乗らないけど。どうでもいいし」
「はぁ!?水瀬君がどうでもいいって!?何様よ!?」
どっちだよ!?理不尽過ぎね!?
「誰だろうが興味ないってこと。俺は今まで通りが一番いいんだよ。俺から関わるつもりはない」
「はっ!キモオタが何お高く留まってんのよ。それが調子に乗ってるって言うの」
「ねぇ、一回痛い目見せて置こうよ」
「そうね。二度と水瀬君に近付かないようにしようか」
いや、俺から近付きたくないんだが。面倒臭いな。
なんだか雲行きが怪しくなってきた今、俺にある選択肢は、1.逃げる。2.助けを呼ぶ。3.返り討ちにする。…こんなとこか。3はないな。平和的じゃない。1も逃げ道ないし、そうなると2か。命には変えられんしなぁ。
恥ずかしさを押し込めて、息を吸い込んだその時。
「君たち何やってるの?」
ここ最近で一番聞いた声が聞こえてきた。
「み、水瀬君…なんでこんなとこに…?」
「質問してるのは俺だよ。英治に何してたの?」
水瀬は笑っているけど、どことなく怒っているように思えた。それがギャル達も感じたのか、だいぶ怯えているように見えた。
「えっと…それは…コイツが調子に乗ってるから…少し注意しようと…」
「俺が見てた限りだと、英治は普通に過ごしてたと思うけど?」
見てたの?俺はそっちの方が驚きだけど?
当事者のはずなのに枠から外されて、なんだか冷静になってきた。このままだと俺のせいで水瀬が築いてきたものが壊れてしまう気がする。
はぁ…なんか悪いし、ここは一つ穏便に治めたいな。
「水瀬、気にするな。別に何もされちゃいない」
そう言って俺は水瀬に近付いて肩を叩く。水瀬は冷静になったのか、さっきまでの雰囲気を変え、落ち着いた様子に戻った。
「そう…なの?ならいいけど。なんかあったら言ってよ?力になるから」
「気持ちだけで充分。お前らももういいよな?俺は行くから」
俺はそれだけ言い残してその場を早足で去って行った。
〇〇〇
その後、俺は購買でパンを買い、普段誰も来ない特別教室の棟の屋上入口に来た。
「っったぁ…!んだアイツら。超怖いわ…。女子怖い。だから、水瀬とは関わりたくなかったんだよ…」
ただでさえ嫌われてるのに、これ以上悪目立ちしたらイジメに発展しそうだ。遠巻きにされるだけで充分。人気者と俺みたいなのが特別親しげにしてたら、嫉妬の対象になる。
「くっそやりづれぇ…」
桜の頼みもあるが、それ以前の問題になりそうだ。
「はぁ…いっそ諦めるか…」
「何を諦めるって?」
「はぁっ!?」
一人だと思ったらいつの間にか誰かいたみたいだ。思わず叫んでしまった。声のした方を見ると桜がいた。
「な、に、を、諦めるって?」
笑っているけど、目が笑ってない。やっぱり女子超怖い。
「い、いやぁ…次のテストどうしようかと思ってさぁ…ははは…」
「アンタ、私のお願いを諦めようとしたでしょ」
読まれてる…!
「なんのことだかわからないな」
「シラを切るつもり?」
「すいませんでした」
だめだ堪えられん。
「まぁいいわ。あんなに目立つのはアンタも本意じゃないでしょうし」
「じゃあ止めていいか?」
「それとこれとは話が別よ」
鬼か!?
「はぁ…わかったよ。で、なんか用か?」
「あぁそうだった。クラスの目立つ女子がアンタを目の敵にしてるわ。気を付けてね」
「今しがた、シメられそうになったよ」
「そうなの?ドンマイ」
ドンマイで片付けないで欲しいわ!超怖かったし。
「あと、水瀬君がアンタに構うなって言って回ってたわよ」
「アイツホントに気ぃ遣うとこ間違ってるな!?火に油だろ!?」
「私に言われても困るわよ!…でも、だいぶ気に掛けられてるじゃない。順調に仲良くなってるわね」
「…どうなんだろうな。悪いヤツじゃないのはわかってるけど…」
水瀬が俺に構う理由がわからない。写真撮ってあげたからってだけで、そこまで親身になれるだろうか。
「なぁ…お前は一度話したヤツと、気軽に仲良くなりたいとか思うか?」
「そうね…その一度で相手を嫌いにならなければまぁそれなりに」
「相手が他の誰からも嫌われててもか?」
「それはアンタの話?」
「……いや、俺に限らず」
「そ。んー…そうね。私は…付き合いを気にしちゃうわ。でも、本当に仲良くなりたいならどうかわからない」
「そうか…そんなもんか」
「そんなもんよ」
結局のところわからず終いだな。
「じゃ、私は行くわね」
「おう」
謎と、不安の火種を残して桜は去って行った。本当にアイツは自分勝手だな。
「一回、良く話す必要があるか…」
今後の俺の学校生活を平穏にするためにも、水瀬と一度話した方がいいかもしれない…
俺はそう決心して昼飯を食べ始めた。
4話目ーっ!読んで頂きーっ!ありがとうございますーっ!
人生、一度でもいいから異性に囲まれてみたい。
そんな思いは誰もが一度はすると思うんですが、今回、英治君には恐怖が刻まれてしまいました。
まぁ、人によってはご褒美かもしれませんが。
おっと失言。
では、これからもお付き合い頂ければ幸いです。