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人の姿になった動物たちと会話ができるようになって、すっかり打ち解けたゆうくんは逆さ虹の森に来た理由を話しました。
しかし、理由を聞いた動物たちは困惑しています。
それもそのはず、ゆうくんの願い事は『お母さんを取り替える』という、絶対に本人が後悔するものだからです。
「おにいさんとおねえさん、ドングリいけしってる?」
「もちろん知っていますが、その願いは心から願っているものですか?」
キツネが心配そうに眉を寄せていると、ゆうくんは胸をはりました。
「うん!」
その答えに動物たちは顔を合わせ、頷き合っています。
「ちょっと遠いよ~?頑張れる?」
リスが悪戯っぽい笑みを浮かべました。
「うん、がんばる!」
「怖い思いするかもしれないよ?」
クマが恐る恐る尋ねます。
「ぼく、もうすぐ5歳になるもん。こわくないよ!」
「腹減りすぎて動けなくなるかもしんない」
ヘビが空腹のあまり動けなくなったことを想像して身を震わせました。
「たくさんたべものもってきたよ!」
「ちっせーのに用意周到だな、コイツ」
これは連れて行かなければ納得しないだろうとアライグマはキツネに目を向けました。
「じゃあ、案内しようか。まずは根っこ広場から」
コマドリが提案します。根っこ広場では嘘をつけません。嘘をつくと根っこに捕まるからです。
ゆうくんに説明すると、自信ありげに返事をしました。
「いいよ、いく。ほんとうのおねがいだってわかってもらえたら、ドングリいけにつれていってもらえるんだよね?」
「分かりました、そうしましょう」
本当はこの場所から一番近いのがドングリ池だったのですが、動物たちはあえて遠回りすることに決めました。