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リスを見つけたゆうくんはとても嬉しくなりました。
「リスさん、こっちにおいで!」
一生懸命手招きすると、リスは木から降りてきます。ゆうくんは慌てて駆け寄ろうとして、他の動物たちも近づいていることに気がつきました。
「うわあ、クマさんたちもいる!」
普段見る動物は犬や猫がほとんどです。身近に見ることのない動物たちの出現にゆうくんは大興奮。
動物たちは何か会話しているようです。しかし当然ながら、ゆうくんには動物たちの言葉が分かりません。
「おはなししたいな…」
寂しく思っていると、動物たちが振り向きました。
すると、どうでしょう。動物たちが次々と人の姿になっていきます。
「えっ!?」
気がついたらゆうくんの前には素敵なお兄さん、お姉さんが立っていました。
「ったく、しょうがねえからよ。ヒトガタになってやることにした」
精悍なお兄さんは耳と太い尻尾をつけています。アライグマです。
「逆さ虹の森へようこそ~」
ふわふわした髪のお姉さんも耳とくるんとした尻尾が。リスです。
「なんか食い物持ってる?」
「うん、持ってるけど…」
「やった!」
食べ物のことを聞いてきたお兄さんは耳と尻尾はないけれど、長い舌をちょろっと出しました。ヘビです。
「えーと、よ、よろしく…」
カッコイイのにおどおどしたお兄さんの耳にも耳と尻尾があります。クマです。
「よく来たね。よろしくね」
美形なお兄さんの背には翼があります。コマドリです。
そのコマドリの腕が腰を回している、さらさらとした金髪のとてもキレイなお姉さんにも耳とふさふさの尻尾があります。キツネです。
しかし、あまりのキレイさにゆうくんは驚いてしまいました。
「めがみさま?」
ゆうくんの言葉にキツネは白い頬を染めました。
「違います…」
「まあ、彼女は格別に美人さんだからね」
キツネはゆうくんに近づき、目線を合わせるために身を屈めました。
「よく一人でここまで来ましたね」
ゆうくんは頑張りを認めてもらえたことに嬉しくなりました。