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その日、リスは何か面白いことはないかと森を見て回っていました。
1人ではありません。仲良しの動物たち…クマ・キツネ・アライグマ・コマドリ・ヘビを引き連れています。
「リスさん、まだ見て回るの?」
困ったように声を上げるクマの背中にリスが乗っています。そう、引き連れるというより大柄のクマを利用して広範囲を見て回っているのです。
「まだオモシロイこと見つけてないしー」
「クマさん、疲れました?」
まだまだ見て回る気満々のリスがクマの背中で寝そべって返事をすると、クマに寄り添うように歩くキツネが心配そうに声をかけました。
優しいキツネにクマは嬉しくなります。
「こうしてキツネさんが隣を歩いてくれてるから大丈夫」
「いや、俺もいるだろうが」
同じく横を歩くアライグマは不満そうに口を尖らせました。
「あ、うん…ありがとう」
「なんだ、その反応の差っ」
素っ気ないクマの反応にアライグマが怒っていると、やはりクマの背中に乗っているコマドリがクスクスと笑い出します。
「正直者だよね」
「それより腹減った…」
「おまえもクマの背中に乗ってて全然動いてねえだろ!」
空腹を訴えるヘビに呆れたようにツッコミをいれるアライグマはもはや血管が切れそうです。
「あ、オモシロそうなもの発見っ」
突然リスが立ち上がり、クマの背中から飛び降りました。
「ニンゲンがいる!」
リスは森に入ったゆうくんを見つけ、興奮気味に叫びます。
他の動物たちも驚いてリスが見ている方向に目を向けました。
「うわ、本当だ…ずいぶん久しぶりのニンゲンだね」
「何か珍しい食い物持ってるかな!?」
「おまえなぁ、それしかねえのかよ…」
コマドリも感心したように呟きますが、ヘビは食べ物のことしか頭にないようでアライグマが力なくツッコミました。
「に、に、ニンゲン!?」
「大丈夫ですよ、クマさん。森に入れたということは害がないということですから」
片や怯えるクマをキツネが何とか宥めます。クマは安心したように頷きました。
「挨拶してこよっと♪」
「あ、リスさん!相手は幼い子のようですから」
「分かってるって、ひどいことはしないから~」
喜び勇んでゆうくんのもとに向かうリスの背中に不安を覚えたキツネでしたが、リスもちゃんと分かっているようです。
「じゃあ、追いかけて行こうか」
「ええっ!い、行くの?」
「食い物持ってるかもしれないし」
「まだ、それ言うかよ…」
「リスさんが行ってしまったことですし、行きましょう?」
「う、うん…」
それぞれの反応はバラバラでしたが、残された動物たちもリスの後を追いかけることにしました。