侵入しました
お邪魔しまーす。俺は早速霊体開放のスキルを使用して王城内に侵入する。ちょうど夜だから可視化したら城内の奴らビビるかな?
本物の幽霊だぞぉ~。いや、まあ、生きてるけどさ。
堂々と城門から中へと入ると広い庭園みたいな所に出た。はて?此処は何処かいな?
うろうろしていると回廊へ出たので、素直に進む。暫くのんびりと歩いていると扉を発見した。扉の両脇には兵士が立っている。
すると普通の兵士じゃなさそうな奴がやって来たので少し観察する。
「ザック様、どうされたのですか?」
扉の左側に立っているソバカス少年が答えた。『様』って事はこいつらより階級は上なのか。
「いやぁ、なんか背筋がゾワゾワするんだよ」
とこれはザックとか言う奴。こいつは赤髪のイケメンだ。兵士達のような制服じゃなくて軽鎧みたいなのを着けている。
「ゾワゾワ…ですか?」
扉の右側の生意気そうな奴。ちょっとザックをバカにしたような口調だ。
ザックはあんま偉くないのか?誰か情報とか教えてくれんかね。
あ!俺、鑑定持ってた!まずは、ソバカスは…
【ステータス】
名前 :ハンク・ソバークス
種族 :人間(平民)
レベル :7
年齢 :16
状態 :健康
職業 :見習騎士
攻撃力 :36
防御力 :18
魔法攻撃力 :3
魔法防御力 :1
運 :79
ステータス、運だけ高い!!しかし、名前がソバークスって、なんかソバカスみたいだな。
じゃあ、生意気な奴は…
【ステータス】
名前 :ヨハン・ナミキス
種族 :人間(貴族 子爵家三男)
レベル :10
年齢 :16
状態 :健康
職業 :見習騎士
攻撃力 :12
防御力 :11
魔法攻撃力 :126
魔法防御力 :98
運 :38
こいつ貴族かよ。だから生意気そうなんか。魔法特化な奴だな。
最後はザックだな、
【ステータス】
名前 :ザック・クーパー
種族 :人間(平民)
レベル :78
年齢 :21
状態 :健康
職業 :第一騎士団団長
攻撃力 :3873
防御力 :4568
魔法攻撃力:736
魔法防御力:1487
運 :556
スキル :気配察知、狂化、自動回復、守護者
え、うえ?騎士団団長?若くね?相当に若いぞ。しかも強っ!他の二人と偉い違いだな。ステータス的に防御力の方が高いから守る方が得意なんだな。
あと、なんかスキルの狂化って…名称からしてヤバそうだな。
【神力:鑑定】
が一定回数使用されました。鑑定のレベルが上がりました。
新たに【神力:心眼】を取得
更に【神力:世界を見守る生暖かい目】と統合され、【神力:心眼】は【神力:神眼】へ進化しました。
【神力:気配察知】取得
【神力:狂化】取得
【神力:自動回復】取得
【神力:守護者】取得
Why!?何故!!?どゆこと?鑑定は確かに使ったけど…そんなに使ってないぞ?それでレベルが上がった?いや、そもそもスキルにレベルってあったのか?
後、なんでザックの奪ってんの?狂化とか要らないし!!発狂しちゃうってか!?
どんな狂人だよ!?違うな…どんな狂神だよ!?え?俺、悪の属性に傾いちゃうの?そうなったら俺、邪神じゃん!?
今まで崇め奉られて…誰も奉ってくれてねぇーよ!!はい、そうですね!!すんませんっした!!
人間から転生して神様やってたのに転職速すぎない!?神様から邪神へとジョブチェンジ!!
いや、もう、なんか嘆いても仕方ない。スキルの確認だけでもするかな。
【狂化LvMAX】
バトルジャンキー極まれり、戦闘が長引けば長引く程にステータスに攻撃力が加算されていく。半面、防御力が極端に下がる。
攻撃力+180%
防御力-200%
【守護者LvMAX】
護る者が多いほどに防御力が高まる。半面、攻撃力が半減する。
防御力+250%
攻撃力-50%
能力値のインフレやべぇ!?
あれ?スキルのレベルが表示されてる?しかも、最初っからレベルがMAX!?
ん~?レベル表示が出るようになったのってもしや神眼か?
【神眼LvMAX】
森羅万象を見通す神の眼。
はい。危険です。どうするよ。俺、最強じゃね?いやいやいや、驕ってはいかん。冷静に。謙虚に。ひっひっふー、ひっひっふー…よし。
神眼は鑑定の上位互換って事だな。だからより詳しくレベル表示が追加されたのか。
スキル確認はここまでだな。さて、ソバカスと生意気とザックがキョロキョロしてる。多分、ザックの悪寒の原因の俺を探しているんだろう。ここだよぉ~。手を振ってみるけど、相手からは俺が見えないんだよね。
あれ?ザックさん?なんかこっち見てないっすか?気のせいか?
右に移動、視線が右に動く。左に移動、視線が左に移動。やっぱ!見えてるよね!!ねえ!!ちょっと!?
手を持ち上げて見てもやっぱ消えてる。話し掛けたらバレるしな…物陰に隠れてみるか?
「ザック様、何かあるんですか?」
ソバカスが少し不安そうにザックに聞いている。
「なんか感じるんだけどな?ハッキリとしない」
首を傾げながらザックがそう言った。と、言うことは見えてないけど、気配察知でなんとなく感じるって程度か。
しょうがない。彼等から離れた場所から侵入するかね。
建物沿いに歩いて誰も居ない事を確認して、ぬるっと侵入した。明かりがついていないのか室内は暗い。こんな時こそマッピング。この廊下をまっすぐ行くとたくさんの人がいる所へ行けるらしい。そっちへ行ってみますかね。
廊下には美術品がたくさん飾られている。高いんだろうな。ふむ。この国を破綻させようか。そうなると、この美術品を頂いていくって手もあるよな。
【神力:収納LvMAX】取得
【称号:泥棒】取得
誰が泥棒か!!義賊だぞ!!まあ、誰かに施す予定もないけど…。
ま、なんかの役に立つだろ。でかい壷だな。こっちは置物だな。収納ってどれだけ入るんだろう。
【収納】
異次元への扉。レベルを上限まで上げると収納上限が開放され、無尽蔵に物を入れておくことが可能になる。入れられたものは時を止める。
あ、便利。全部入れてくか。と言うことで廊下を進みながら調度品を貰っていく。
長い長い廊下を進んだ突き当たりには一枚の両開きの扉があった。扉から侵入すると女性達が暗い顔で踞っていた。お腹の大きな人が大半だ。どうやら被害女性のようだ。
逃がしてやりたいが、さて、どうするか。いっぺんに移動させるとなると人目がつくから、なるべくそれは避けたい。う~ん。
あ、転移があったか!あれだったら全員誰にも見られずに移動できる。転移先はギルドにでもするか。この時間でもまだやってるし、冒険者がいるから暴漢に襲われる事はないだろうし、ギルドは国から独立した機関だから兵士達に「渡せ」と言われても渡す義務はない。うん。そうしよう。
と、なるとどうやって話し掛けるか。今の俺は男だから、ちょっと気が引けるな。彼女達には怖い存在だからな。でも、本来の姿だと混乱起きそうだしな。さてな?どうするかな?取り敢えず、俺で対応してみて、駄目そうなら本来の姿でいってみるか。おし。
一旦、外に出てスキルを解除する。なるべく小さく扉を叩いて、そっと扉を開ける。
開けた扉から女性達の怯えた視線が俺を突き刺す。視線が痛い。顔が青ざめ怯える人、強がる人、無関心な人、諦めきった人、静かに泣いている人。ま、そうだよな。
「こんばんは、お嬢さん方」
そう声を掛けても無反応な女性達。
「俺は、お嬢さん方を助けるために来ました。信じてくれないかも知れませんが、勝手に助けるので悪しからず」
転移ってよりは転移ゲートとかの方が良かったかもな。
【神力:転移LvMAX】から【転移ゲートLvMAX】が派生しました。
わーい。なんでいつもレベルがマックスなの?
【神様ですから】
久々に聞いたな“声”。神だから、で片付いたら苦労せんわ!!
早速、転移ゲートを使用して彼女達の目の前に展開する。すると女性達が一層怯えだした。ちゃんと向こう側がギルドになってるか確認。うん。なってる。大丈夫。
「このゲートを通ってもらえれば、町のギルドに行けます」
一人の気の強そうな女性が立ち上がる。
「そんな得体の知れないモノになんか行きたくないよ!」
それもそうか、安全が確認できないから怖いんだろうな。じゃあ、俺が一回通るか。
ゲートの中へと入り、ギルドへとやって来た。ギルド内にいた職員や冒険者がビックリしてる。
「これから女性達が出てくるので保護してあげてくれますか」
職員の女性に声をかけるとこくこくと頷いた。また、ゲートを通って女性達がいる部屋へとやって来た。女性達は唖然としている。
「向こうの人には話を通したから通っても大丈夫ですよ」
先程の気の強そうな女性が恐る恐る俺の顔を見ながらゲートを潜っていく。徐々に女性がゲートを潜っていく。
「ありがとう」
最後の女性がそう言ってくれたので、ちょっとホッとした。すると、最初に潜った気の強そうな女性が顔をだした。ちょっとビックリしたので体がビクッて揺れた。
「もう一人いるんだ。さっき兵士に連れてかれた。多分、今頃は王の寝室だ。助けてやってくれないか?」
気の強そうな女性が潜りきったのを確認して、ゲートを閉じる。最後の女性が王の寝室にいる。王の寝室の場所は聞いた。
また、霊体開放のスキルを使うと、部屋から抜け出す。
また、調度品をいただきながら廊下を進む。王の寝室に近付いていくと今まで見なかった衛兵が廊下に立ち始めた。
更に進むと豪華な扉を見つけたので、早速侵入する。スキルを解除して部屋の中を見回す。部屋には明かりが灯っておらず、暗い。明るければ、部屋の中の豪華な調度品などが見えるんだろうと思いながら、収納していく。残ったのは天蓋付のベッドだけ。近付いてみると、
「やっと捕まえたぞ」
「離してください!!」
「あいつよりも私が満たしてやろうと言っているのだぞ」
「わたくしは、あの方以外と褥を共にしません」
「強情だな」
「強情で結構です!!離してください!!」
「駄目だ。お主は今から私のモノになるのだからな」
「ひっ」
無遠慮に閉められていた布を引くとスッポンポンの中年のおっさんに綺麗な女性が組み敷かれていた。あ、女性はちゃんと服着てる。
「貴様、誰だ!」
「不審人物」
一言言って、女性をするりと裸おっさんの下から抜き取り、抱き止める。
「きゃっ」
可愛らしい悲鳴を女性が出す。転移ゲートを開き、女性を向こう側へと送る。
「何をしたのか、分かっておるのか!!」
「え?救助?」
裸おっさんが俺に詰め寄ってくる。隠せよ。か~ぜも無いのに~…
見たかねえーよ。他人のなんか!!てか、おっきしてんじゃん!!や~め~て~!!
「私はこの国の王だぞ!!」
だから、どうした!俺は神だぞ!!天罰下すぞ!!色ボケおっさん!!とは、言えない。どうやって裸おっさんを罰するかね?
読んでいただき、ありがとうございます。