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異世界で神さま、はじめました  作者: ツヴァイ
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浚われた

 どうも、こんにちは。我らがアイドル、レイちゃんです☆


 すいません。ごめんなさい。嘘です。ちょっとはっちゃけてみました。なんでかって言うと絶賛パニック中だからだ。何故かって…



―――――拉致られた



 それも助けた人間にである。俺の良心を返せ!!


 て、いうことで太い鎖で雁字搦めにされて床に転がされてます。どうやって脱出したものか考え倦ね中。



◇◇◇◇◇



「ありがとうございます。天使様方」


 船から降りてきた貴族っぽい格好の一団が天使達にペコペコ頭を下げて回っている。


 助けたの俺なんだけど?いや、別に見返りとか求めてないけども…なんていうのか、こいつら胡散臭いんだよな。

 目が笑ってないし、なんか値踏みしてるみたいな。

 取り敢えず、鳥肌が止まらないので隠れとくか。


 神樹の一番下の枝に跨がって、胡散臭い一団を見下ろす。その間も彼等は天使達に頭を下げて回っている。


「レイ様、会わなくてもよろしいのですか?」


「良いよ。なんか胡散臭いし」


 彼等が頭を下げまくっているのは、ここが神の国であるからだ。


 この世界に宗教と言うのは、一つしかない。神は一柱のみであり、天使達は唯一神の言葉を伝える。

 文字通り天使達は神の代行者なのだそうだ。

 そんな神の代行者に出会えたのだ。信心深い者ならば、感激で涙ぐむのだそう。


 うん。信心深ければね。彼等はどう見ても信心深いって態度じゃないし、目付きが嫌らしい。あれは、天使達を性的な目で見てる。

 確かに皆、見た目が美男美女だしね。それに性格も良いし。

 但し、性別無いからね。神や天使や精霊は人間達と次元が違う存在であり、高次元の俺達は、所謂『繁殖』という活動が存在しないんだそうだ。これは、ラジエルから説明された。


 だからそんな、どう調理してやろうかって目で見るな!腐る!皆の色々なものが腐る!いや、むしろ、もげろ!!そして、木端微塵に爆ぜろ!!修復不可能なまでに爆ぜろ!!!


【問、世界から男性器を刈り取りますか?

YES or NO】


 直接的に言わないで!!あえて言わなかったのに!あっ、“声”が取得したって言う以外の言葉初めて聞いたかも。


「大変申し訳無いのですが、明日まで泊めて頂けますでしょうか?」


「構わない」


 今のは、ウリエルだな。ぶっきらぼうに感じる言い方だけど、口下手で照れ屋なんだよね。赤い髪に琥珀の瞳の美青年だ。


「ありがとうございます」


 そう言って、怪しい人達…もう、怪人て呼んでやるか。怪人達は俺達の家に入ろうとした。


「ここは、神様の御所ですよ。入ってはいけません」


 おっとりした性格のラファエルだ。水色の髪と群青色の瞳の美少年だ。いつも行動や反応が一歩遅いが、それを気にする天使はいない。

 俺もそんな彼を見て、癒されている。なんか、可愛いしね。


「………そうなんですか。 申し訳ありませんでした」


 なんか、嫌な感じだな。







「神なんて、いないだろ」


「そうだよな。昔は、頻繁に神託が下ってたって言われてるが、今は全然だ」


「神は死んだんじゃないか?」


「神って死ぬのか?」


「なら、なんで神託が無いんだよ」


「そうだよな」


「ここには、神はいない」


「いるのは天使だけ。それも飛びきりの美女や美少女ばかり」


「それだけじゃねぇ。美少年や美青年だっているぜ」


「お前、そっちか」


「ぎゃはははは。一人や二人手出しても良いかな?」


「止めとけ。天使だぞ。神罰が下るぞ」


「神罰が怖くて商売やってられっかよ」


「商売って奴隷商だろ?」


「奴隷どもが乗ってたのは全部落ちやがったからな。天使でも捕まえるか?」


「流石に不味いだろ。他の天使が黙ってないぞ」


「そりゃそうだ…おい、見ろよ。あそこに天使じゃないのがいるぜ」


「天使じゃない?神か?」


「神だったら、俺達に神託を下すだろ」


「じゃあ、人間か?」


「ただの人間を天使達が此処に置いとくか?」


「“現人神”か?」


「なんだ。そりゃ」


「神が人間として現れたって事だ」


「あの美少女が神?」


「なあ。高く売れるんじゃないか?」


「そうだな。神を売買したとなったら一生遊んでも使いきれない位の大金が手に入るな」


「よし、捕まれるぞ」


「わかった」



◇◇◇◇◇



 なんて、会話が俺の寝転がってる枝の下で行われていたが、全然気づいてなかった。だって俺、寝てたし。がっつりの熟睡してたし。

 この会話は“声”が教えてくれた。こんな会話聞いたら、俺即行で逃げたわ。気持ち悪い会話しやがって!


 でも、俺の今の現状は簀巻きで床に転がってるっていうね。泣きたい。いや、もうすでにちょっと泣いてる。


 ラジエル達に連絡取りたいな。でも、此処が何処だか分からんから意味無いし…


【神力:念話】取得


 やった!連絡手段確保!!


【念話】

口頭で会話することなく、思った事が相手に伝わる。

山間部などは、念波の届きが悪い。

使用可能なのは相手も念話を取得しているに限る。


 つっかえねぇ!!!相手も持ってないと使えないとか!!天使が持ってるか?いや、持ってないな。いつも一緒だし、使う機会無さそう…あと、念波って何?電波的な?どっから出てんのよ!!随所に基地局設置しとけよ!!!


 うん。どうしよ。鎖切れないかな?切れるとしたら、なんだ?黒くて、固そうだから鉄かな?だとしたら、高温で溶かす?出来なくは無いな。俺のスキルがまた増えるけど…それにしても、この状況って、なんか罠に嵌まって捕まったヤツみたいだよな。


【神力:状態変化無効】取得

【神力:罠解除】取得


 突然、太い鎖が外れて、ドスンと音をたてた。


「……チートめ」


 両手で顔を覆う俺。なんか俺、もう疲れちゃった。パト○ッシュ、俺、もう眠いんだ。ふて寝したい。

 でも、脱出もしたい。だから俺、頑張る!

 身体は自由になったけど、顔とかでバレるよな。変装とか出来ないかな?


【神力:変化】取得


 変化ってなんか、化け狸とか化け狐とかの領分なんじゃないのか?

 説明文は…


【変化】

全身を別人に変装する事が可能。

但し、中身は変えられないので、馬鹿は馬鹿のまま。


 なんか、馬鹿にされてる気がする。気のせいかな?きっと気のせいだよね。うん。そうしとこう。俺は馬鹿じゃない。普通、そう普通なんだ。


【気のせいです】


 何が!俺の中身が普通なのが気のせいって事!?それは、つまり俺は馬鹿って事か!!あ゛あ゛ん?


 まあ、いいや。変装、変装っと。前世のフツメンなフェイスにして、髪は茶色かな?怪人達も茶髪だったし、瞳も茶色で良いかな。

 鏡が無いから、変わってるか分からんけども。脱出しますかね。

 その前になんか、称号が増えてそう…見たくないような、見たいような。


【ステータス】

名前 :レイ


種族 :神


レベル:0.1


年齢 :1歳未満


状態 :健康


神力 :創造、不老不死、多言語理解、状態異常無効、状態変化無効(←NEW)、全知全能、世界を見守る生暖かい目、飛行、精霊魔法、属性魔法、天候改変、念話(←NEW)、変化(←NEW)、罠解除(←NEW)


称号 :創造神の娘、傾国の美少女、天使達を束ねる者、浚われた神(笑)(←NEW)、現人神(←NEW)


 ちくしょー!!見るんじゃなかった!!なんだよ!!浚われた神(笑)って!!括弧、笑、括弧閉じるって!!


 でも、ステータス見てて閃いた。飛行があるなら、転移とか有りじゃね?


【神力:転移】取得


 おっし!じゃあ、説明文読んでみますか。


【転移】

行った事がある場所に飛ぶ事ができる。

行っていない場所でも強く念じれば、飛べることがある。但し、10回に8回は失敗する。

目で見える範囲に飛ぶ事も可能。

デオスホラは飛行禁止区域。


 くそおーーー!!なんでだ!!転移なのに飛行禁止とか!!


 項垂れ頭を抱えて、その場に俺は蹲った。


 皆の所には帰れないって事かよ。どうしよ。脱出した後、何処に向かえば良いんだよ。


「…………仕方ない。脱出するだけするか。幸い、目で見える範囲なら飛べるらしいから、どっか…」


 今まで特に気にしていなかったが、此処は何処かの屋敷の一室って感じだな。

 あいつらが言う現人神を奴隷として売る相手は貴族か?

 いや、仮にも神だ。ちょっとやそっとの金額ではない筈だ。と、なると国。国王とかか?国ぐるみで奴隷が罷り通ってるなら潰れれば良いのにな。


【問、国を潰しますか?

YES or NO】


 いや、潰さんよ!なんの関係もない国民が路頭に迷うわ!!ま、いいや。


 窓から外を眺めてみる。大きな庭があり、護衛なのか、傭兵なのかが庭を彷徨いている。見張りかな?

 随分遠い所に門がある。門の前だと捕まりそうだから、柵の向うへと念じる。


 すると、ふわっとした浮遊感がしたかと思えば、もう柵の向う側へと降り立っていた。


「ほわぁ、便利だな」


 周りを見回してみたが、誰も騒いでないし、見ていないのを確認して、路地裏へと一旦避難する。





読んでいただき、ありがとうございます。

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