『何処で(後編)』「どこで」パート②【IDECCHI51】
ミコトの飛ばした紙飛行機は灰色の世界の黒いパレードの中へと引きずりこまれていった。その紙飛行機を手に取ったのはジョンとナタリーの小さな夫婦だった。ジョンはその手紙にたくさんの愛がこめられているのを肌に感じた。このまま自分たちがこの手紙を持っていてもいいのだろうが、なんかそれは違う気がした。ジョンはナタリーに紙飛行機を飛ばすようお願いした。
ナタリーが飛ばした紙飛行機は空高く舞い上がって消えていった。2人は感動するばかりだったが、ジェイソンに「おい置いてくぞ?」に反応をするしかなかった。「いかないと」とジョンはナタリーの手をとり、黒い群衆のなかに再び交わることにした。彼らの運命は決まっている――
ナタリーの飛ばした紙飛行機は時空間の溝を経て締め切った1室に届いた。
天井高くに浮かぶ謎の黒い靄、そこからでてきて部屋に落ちてきた紙飛行機。またしても奇怪な現象に戸惑う龍馬は手紙をじっくり眺めながらもこうぼやいた。
「何を想うって……何も覚えていないからな……」
彼の微笑みはどこか切なさが入り混じっているようだった。
彼は「いっといで」と黒い靄に向けて紙飛行機を飛ばした。紙飛行機は黒い靄とともに消えていった。この部屋で起きる不思議な現象などもうとっくに慣れている。そんなことより彼はここのところ体の痛みに悩まされていた。まだベッドにて療養が必要なようだ。彼はベッドにゆっくりと歩いて向かった。
龍馬の投げた紙飛行機はとある惑星のとある国家、とある国家参謀の足元に届いた。イザベル・ラベルスはバラグーン戦役を終え、新天地であるアヴェーヌ地方の各区役所の下見確認に出向いていた。馬車から降りてからというもの、また変なものと遭遇したものだ。
「何を想うかですか……考えている暇もありませんわ」
彼女は手持ちのペンをとりだし、少し考えて文末にこう書き添えた。
-Dear Neighbors-
イザベルの飛ばした紙飛行機は空高く舞い上がり消えていった。驚く彼女だったが、時計をみると時間に追われていることを思いだし、すぐに目的地に向けて早歩きを始めた。目を見張るような出来事が起きたものだが、明日には忘れているのかもしれない。それほどまでに彼女は多忙を極めていた――
イザベルの飛ばした紙飛行機は時空間を経て、木星圏のとあるコロニーのとある駅、とある駅職員の頭のうえに漂着した。
「ん?」
アカリは紙飛行機を手に取りそれを広げてみた。
「素敵!! 何コレ!?」
彼女はちょうど仕事を終えて家に向けて帰っている途中だった。このまま家に持ち帰り、ヒロに披露してみせてもいいが、なんかそうじゃない気がして仕方がなかった。
彼女は手紙にそっとキスして再び紙飛行機の形に戻して空に向けて投げた。
「わあ!」
アカリの投げた紙飛行機は空高く舞い上がって木星の浮かぶその先に消えた。
2016年12月27日。伊達賢一はパルコ前にある階段席の上段に一人座り、星空を眺めていた。するとそこへ紙飛行機が空から落ちてきた。
紙飛行機を広げるとそこには手紙が記されていた。
今何を想っていますか?
-What are you thinking now?-
-Dear Neighbors-
賢一は微笑むとその手紙を折り畳んで胸ポケットにしまった。
この翌日、賢一の胸ポケットにしまった手紙はまたどこかへ消えていた――
今この瞬間も何処かで誰かが何かを想像している。それを想像するだけで世界は膨らむ。ワクワクが止まらない。
今あなたは何処にいますか? 答えはそれだけで充分なのだ――
※登場人物の詳細については、以下のIDECCHI51様の作品をご覧くださいませ。
伊達賢一、江川悟ほか:『放課後HEROES』シリーズ
魚住純一、加藤明人:『ICEISLAND』
蒼井雪、赤神茜:『赤髪魔女』シリーズ
ジェイコブ:『街で噂のサンタクロース』
佐久間慎時:『世界最後の1日に』
斉藤夕樹:『光の射す方へ』
西郷朱美、東郷美里:『ニシエヒガシエ』
小林真美:『夏のホラー』シリーズ
ミコト、コータロー:『ピーナッツ畑の守護神』
ジョン、ナタリー:『ブラックパレード』
遠藤龍馬:『THE ROOM』
イザベル・ラベルス:『嗚呼!!なんて素敵な女神様!!』
アカリ・クリスティ、ヒロ・クリスティ:『Cocoro station-707-』シリーズ




