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ラクガキ

「おはよう、音葉」

「あっ真友ー!待ってたよー」



音葉が大きく手を振って、待っていた。


「ちょ、音葉。そんな長い期間休んでないでしょ」

「3日だよ3日!?めっちゃ長いよぉー」


音葉はシクシク、泣きついてくる。

「あ、真友!元気になったんだ、良かったー!」

飛鳥たちもニコッと、笑いかけてくれる。


「うん。ありがとう、みんな・・・」


私もうれしくて、ニコッと笑った。




「あ、有岡!よかった、元気になったんだな!」

木坂は登校してくるなり、一番にそう言った。

「木坂くん」

「じゃ、もうカゼなんかひくなよー」

「うん・・・ありがとう」



そういえば、今日は午後から雨って言ってたな・・・と、真友は心の中で思った。




「えっやだ、めっちゃ雨じゃん」

「すっごいどしゃぶりだね」


午後からだったはずの雨は、1時間目の途中でもう降ってきた。


1時間目、2時間目、3、4・・・給食も過ぎて、昼休みになるときには、窓は結露がすごかった。


「うへーい!見ろよこの傑作!!」

「うわっ、センスを感じるぜ」

「もうすぐ、テスト。勉強だ勉強・・・」


男子は、窓にラクガキをして遊んでいる。

「ほんとありえない。男子って、いつまで子供なんだろ」

「ってか、あそこに書いたラクガキ、残んのに」


「・・・あーいうところに、相合傘の落書きが書かれたりするんだよねぇー」


音葉がそう言って、チラッとこっちを見ながら、にやついた。


・・・その本当の意味は、真友はまだ知らなかったけれど。



「やめろよこーいうの!!」

木坂の大きな声が聞こえてきて、真友とそのほかはろうかに出て行った。


「ん?どうしたの、木坂くん」

「あ・・・有岡っ」


すると後ろの男子が叫んだ。


「見ろよこれ―!有岡と木坂の、相合傘ーっ」


・・・えっ?


「あああ!もう」


木坂くんの顔が真っ赤になっている理由って、・・・怒ってるの?好きでもない人とくっつけられて。

それとも・・・。



「この際だから、言っていいか?」

真剣な目で、木坂は真友のほうを見てきた。


・・・なに?それって・・・告白・・・?え・・・



「・・・井上」

木坂の言葉に反応して、振り返ると・・・後ろには音葉がいた。


・・・え


「うん・・・もう、言っちゃおうか」

音葉が照れながら言っている。


・・・どーゆうこと・・・?


「俺、井上と付き合ってる」




・・・?


え・・・そんな・・・え、だって。告白して、フラれたって・・・?言ってた・・・よ・・・?

え・・・?




「ごめんね、真友。言ってなくて」

「音葉・・・」


「・・・応援しようだなんて、そんな約束、守れなかったね。ごめんね」


音葉が、勝ち誇ったような目で見てきた。



そんな・・・

今までの応援全部、うそだったってこと?

あの『告白』は、ほんとだったってこと?


・・・音葉は私のこと、嫌いだったってこと?



真友の頭の中が真っ白に・・・いや、真友の頭の中の音葉や、木坂との思い出が全部砕け散って、頭の中に何もかもなくなったみたいだった。


「ヒューヒュー!」と歓声が起こる。

真友だけ反対方向に、かけていった。


・・・もうやだ。

今までの全部、ウソだったんだ・・・。


音葉は、私のことを、親友だと思ってくれてなかったんだ・・・。



走って、走って、・・・たどり着いたのは、結局、滑り台の中だった。


音葉は来てくれないって、分かってたのに。





思い出したくない。全部ウソだって、言ってほしかった。


いつもみたいに、滑り台の中来てほしかった。







・・・でも、もう、来てくれない――――――――――・・・。

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