シツナイ
あの日から、3日が過ぎた。
ここんところ、雨は全然降らないし・・・木坂には、ふられたようで、真友は悲しかった。
「でも、そうだよ。木坂くんが私を好きになるわけ――――――」
「真友、木坂のこと好きなの?」
突然の声に固まっていると、そこには音葉が立っていた。
「あっ、なんだ、音葉か・・・びっくりさせないでよ」
「論点ずらさないで。好きなの?ねえ」
何か、怒ってる・・・?
真友は音葉の顔を見て察した。
「・・・好きじゃないって言ったら、ウソになる・・・けど・・・」
言った瞬間、顔が赤くなった。
音葉なら、応援してくれるよね?いつも言ってたじゃん。「早く好きな人作って、応援したいから!」そう言ってたの、音葉だよね・・・?
「真友のバカ!」
音葉が泣きそうな目で言った。
「真友なんて、大っ嫌いだもん」
「え・・・ちょっと・・・まって、音葉・・・」
私の声なんて聞こえなかったみたいに、音葉は走り去って行く。
「音葉・・・?なんで・・・」
真友には、理由がわからなかった。
恋ってうれしいものだと思ってたから。
恋のせいで友情が壊れるなんて、それはドラマやマンガの話で、実際に起こるなんて、思ってなかった――――。
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「今日は雨だ・・・」
真友は久しぶりの雨に喜んだ。
でもあまりにどしゃぶりすぎる。これじゃあ、木坂との出来事はないかな・・・そんな風に考えていると、ひときわ大きな声が響いた。
「うっし、行くぜー」
「まずはナイヤ、キサーカコーウーキー選手!さあどんな球を投げてくるのか!ちゅうもーく!」
今日は木坂くん、外に出ないんだ!
木坂を長く見ていられることに、真友は興奮していた。
「ねえねえ、有岡さん。音葉見なかった?」
真友がくるっと振り返ると、クラスの女子が真友を取り囲んでいた。
「あ・・・っ、え・・・と・・・」
「うちら、校内かくれんぼしよっかな、って思ってるんだけど。音葉いなくてさー」
入ってみたい・・・
でも誘われないんだよ。誘われない人は入れない。
音葉がいれば、誘ってくれたのかな・・・
真友はそんなことをボーっと考えていた。
「有岡さんってば」
「えっ」
クラスの女の子たちはさっきから真友の名前を呼んでいたらしい。
「有岡さんも入りなよ、かくれんぼ」
「え、・・・・・いいの?」
「もちろんでしょ。逆になんで入れないの?」
「・・・・・入りたかった!ずっと・・・」
「えっ、そうなの?有岡さん、いつも1人っきりで嬉しそうだったから、1人が好きなのかなって、ずっと誤解してた・・・」
「そ、そ・・・んな・・・嬉しそう・・・だったかな」
たぶん木坂のことみてた時だ。真友はちょっぴり恥ずかしくなった。
「入りたいなら入りたいって、言えばよかったのに~」
「あ・・・えと、私・・・のこときらいかなって、思ってて・・・いつも話してなかったし・・・・・」
「そんなわけないよ!うちら、お互い誤解してたんだね」
「うん・・・」
うれしかった。
新しい友達が、いっぱいできたから・・・真友はそう思って、音葉のことも、木坂のことも忘れていた・・・。
キーンコーンカーンコーン・・・
「楽しかったねー!」
「うん、有岡さん、隠れるのうますぎじゃない?」
「えっ、そ、・・・・んなことないよ。私も楽しかった・・・ありがとう、みんな・・・。あと、倉井さんも・・・誘ってくれて、ありがとう・・・」
「そんな言い方、やめやめ。私のことは飛鳥でいいよ。倉井さんなんて、ねえ」
「うちらも、真友って呼んでもいいかな?」
「うん、・・・うん、もちろん!」
ありがとう、倉井さ・・・じゃ、なくて、飛鳥たち・・・。
「あ・・・」
「あっ、有岡。いいとこにいた」
帰り道。
真友は偶然木坂にあった。
「お前・・・昼休みのこと、何したか、分かってんの?」
男の子の力で、肩をつかまれた。
「ひ・・・昼休みは・・・新しい友達がいっぱいできて・・・」
パン!
え・・・真友は一瞬混乱した。
ビンタされた。
「バカ!」
「・・・え」
「新しい友達が有岡にいっぱいできたのは、俺もうれしい。有岡が1人でいると、心配で・・・」
「・・・」
「でも、今回、お前、井上のこと、忘れてたんだろ?」※井上って、音葉のこと。
「・・・うん・・・」
「井上、昼休み、屋上にいたんだ。様子が変だったから聞いたら、真友とケンカした、どうしようって・・・でも、約束を覚えててくれるよね。大丈夫だよねって・・・」
「音葉が・・・そんなこと・・・?」
「なのに、お前が来なかった。・・・井上、泣いてたぞ」
真友は我慢できなくなった。
どしゃぶりの中を、傘を置いて、反対方向に走り出した――――――。