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オリタタミガサ

「もしもし、有岡です」


『沢村です、真友先輩ですか?』


「えっ蓮くん?」


真友は驚いていった。

夏休み中の今、調理部はあまり夏休み中の活動がないし、真友は蓮と連絡をとっていなかったからだ。



「ど、どうしたの?」


『今日ちょっと、中学来れます・・・か?』


「・・・行ける・・・けど」


『・・・10時に学校の裏来てください』


それだけ言うと、電話はぶつっと切れた。



「・・・」

・・・なんだろう?







「蓮くん・・・?」


真友が10時に学校についても、蓮は見当たらなかった。


「・・・ん?声がする」


真友が声のするほうに行くと、・・・そこにいたのは木坂と音葉だった。

「⁉」


「木坂、私木坂のこと好き!!」


・・・そういうと音葉は、木坂にキスをした。


「っ!?」


・・・あの告白は?

なんだったの?やっぱり音葉のこと好きだったの?まだ付き合ってたの?




「真友先輩」


ザーーーーーーーーーーー・・・

降り出した雨の中、上に折り畳み傘がさされた。


「・・・」


「・・・やっぱり僕と付き合うことできませんか?」


「・・・」


「・・・あの2人は、まだ、ですよ」


「・・・やめてっ!!!」




真友は叫ぶと、蓮の傘から抜けて走り出した。


「真友先輩!?」


追いかけようとした蓮を————————————木坂が止めた。



「俺が追いかける」


「先輩っ、でも先輩は」


「井上なんて知らねーよ。蓮、来たら、どうなるかわかるだろ?」




木坂はそう言うと走っていった。








ばさっ


真友の上に、再び折りたたみ傘がさされた。


「有岡」

「・・・木坂くん・・・?」



顔を見れなくてアワアワしていると、木坂は突然こう言った。


「有岡スマホ持てるように交渉してくんねー?」


「・・・ほぇ?」


真友の変な声に、木坂は「あ、えっと」と言って手をパラパラとふった。


「俺スマホ持ったんだ。・・・で、早く友達とかとメールとかしたいっちゃ、したいんだけど」


「うん?」


「・・・メール1番最初にやるのは、有岡がいいな・・・って思って・・・」



「・・・木坂くん・・・」


木坂くんの顔は真っ赤だ。



「・・・た、たのんでみる」


「ありがと、・・・じゃあもう俺、帰るね。傘はかすから!」


木坂はそう言い、走って行ってしまった。





「・・・あのキスは、なんだったの・・・」



真友は木坂の折りたたみ傘の下で、ぽつりとつぶやいた。








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