毒親を好きな社畜野郎
私の母は毒親かも知れない。
最古のキヲクは殺してあげると笑う顔。
小さく、美しい母は笑いながら私に言ったのだ。
私が優しく殺してあげると。
うちは母が働き、父が家事をするような家であった。
私は男だった為か、無頓着に受け入れて居た。
母とはあまり話さない。
ある日私は学校でいじめに遭っていた。
悲しく、悔しく。
父には言えぬ。
耐えきれず、死にたいと考えていた。
あまり家にいぬ、母が珍しく家に居た。
ポツリと死にたいと漏らすと、
あら、と一言言った後に
死ぬのは辛くて、痛くて、
失敗したら目も当てられないわよ。
後悔しても、遅いわ。
だから、
私が優しく殺してあげる。
死ぬなんて言わないでと
そう、言われるのかと思ったのに。
死にたい時は、
言ってちょうだい。
彼女は、私を見て、
にこりと微笑んだのだ。
それは、
美しく、
怖かった。
死に1番近いのは、今、私なのではないか。
この、美しい女に、私は、
殺されてしまうのか。
分かったと、だけ伝え
私は自室へ戻った。
それから、死にたい時は来るけれど
鮮明にフラッシュバックする美しい母に
思いが掻き消され。
まだ、もう少し。
殺されるのは、もう少し、
フィナーレには、まだ、少し早いかなと。
思いとどまるのだ。
死にたいと、囁く人々は、殺してくれる人も居ないのかと、可哀想になる。
辛いのに、最後、死ぬ時までも
1人で、死なねばならないなんて。
私は最後は優しく、美しい女に殺されたい。