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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

約1000字短編集

ゴミ

作者: sika
掲載日:2016/12/29

 

 おっ来た来た! 待ってました。


 おれは最近、この女の捨てるゴミが欲しくて欲しくてたまらない。

 一種のストーカーのようなものだと自分でも思う。

 やつれてはいるが女は美人の部類だったし、何といってもゴミがいい。



 おれの機嫌がいいから、一体どこに行っているんだと尋ねる奴もいたが、無視してさっさとここに来た。

 ここはおれの場所だ。誰かに教えてやるつもりなど毛頭ない。



 女はいつものように、おどおどした様子でネットの中にゴミ袋を入れた。

 早く行け。

 っと他の住人か。ゴミ収集車が来る前に、素早く仕事をこなさなくてはならない。



 しかしなぜかこの日に限って、ネットの前で立ち話をするババアがいる。

 おれは苛々を押し殺しながら、仕方なく入ってくる声を聞いた。



「最近汚れてるでしょう、ここ」


「そうねえ。やっぱりネットじゃだめなのよ。ほら、隣みたいにカゴにしないと」


「せめて掃除当番をみんながキチンと守ってくれればねえ」


「仕方ないわよ、働いてる人も多いみたいだし。でも変わりにやるのは嫌なのよねー」



 そう言ってゲラゲラと下品に笑う。思わず頭を蹴飛ばしてやりたくなる。



 ババアが消え、小学生のガキが通りからいなくなった頃、おれは行動を開始した。

 まずゆっくり慎重にネットを外す。こんなのは朝飯前だ。

 続いて目当ての女のゴミ、それを引っ張り出す。おっと車か。おれは何気ない振りを装う。

 どこか近くで収集車の接近を知らせるメロディが聞こえてきた。

 クソ、焦るな。この結び目だけが最後の難関だ。



 ええい! 

 つい面倒になり、おれはとうとう袋に直接穴を開ける。

 しばらく誰か来ないか様子を窺う。

 ああ、このむわっと香るにおい。食欲がそそられる。


 あったあった。奥の方にある新聞紙にくるまれたもの。今日は何がはいっているかな。

 クソ、今日はこっちも念入りだ。おれは足で紙を押さえ、何とか中身を取り出そうとした。



 そこで、角を曲がってこちらに来る収集車が見えた。

 このまま持って行くか? おれは咄嗟にそう考えるが、どうにも掴みにくいし、中身が落ちる可能性を思うと躊躇われた。

 そうすればきっと、他の奴らが持って行ってしまうだろう。


 これはおれのものだ。



 犬を散歩するジジイがおれを避けるようにして歩いて行く。

 もう見られてもなんとも思わない。疎まれるのはいつものことだ。



 あと少し、あと少し……。


 風で新聞紙が飛ばされた。それには血や、どろどろしたものがこびりついている。

 中に入っていたのは、二つの濁った丸いもの。周りに赤黒いわやわやが付いている。

 まるで帆立みたいだ。だがそれが帆立でないことはおれにも分かっている。

 中心を突くと、中からゼリー状の液体が僅かに漏れだした。うん、味は悪くない。

 周りはかぴかぴに乾燥しているが、中はまだ柔らかい肉の触感がする。



 通りかかった女が急に叫んだので、おれは慌てて一つを口に咥え、その場を離れた。



 あの女の目も突いたらゼリーが出るのだろうか。

 そう考えると可笑しくなり、おれは口を開けたまま自慢の翼を広げて一鳴きした。


近所に鉄かご? のゴミ置き場ができてました。入れにくそうです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 読み方によってはかなり怖いです(*^^)v [一言] イロイロ妄想して 欲求不満になりそうです(^_^;) チクショー(≧∇≦)
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