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ー香倉の小説ー

優しい馬鹿なお姉ちゃん

作者: ユキノシタ
















僕のお姉ちゃんは、ある日から馬鹿になりました。
























今までは、しっかりしていて、頼りになって、頭も良いお姉ちゃんだったのに、ある日を境に真逆へと変わってしまったのです。



その日は特に何かがあった訳ではありませんでした。

たまたま自己ベストの96点を取った僕なんかよりも、いつも通りに100点を取ってきたお姉ちゃんの方にばかり構うという、そんないつも通りの日常のはずだったんです。







































なのに、次の日からお姉ちゃんの様子がおかしくなりました。






































テストでは50点、それ以下を取るときも出てきました。忘れ物も多くなり、他人との約束もすぐに忘れるようになりました。今までのお姉ちゃんの面影がないほど、お姉ちゃんは変わってしまったのです。


























すると どういうことか、今までお姉ちゃんしか眼中になかった大人達が、僕に構うようになりました。

100点じゃなくても褒めてくれるのです。

そして、皆 口を揃えて言います。






















「あんなふうになっては駄目だよ」























お姉ちゃんを横目に、僕に言うのです。























そんな僕も、少しはお姉ちゃんが嫌いでした。だから、馬鹿になったお姉ちゃんを見下せて嬉しかったのです。


そんな事を考えている僕に、お姉ちゃんは今までと変わらない笑顔で笑いかけてきました。












































「良かった」







































誰にも届かないような声で、確かに言ったのです。























僕は確信しました。今、目の前にいるのは、今までと何も変わらないお姉ちゃんなのだと。でも、何でここまで変わってしまったのかは分かりません。


















僕はお姉ちゃんに聞きました。























「何で、お姉ちゃんは変わったの?」






















変わって良いことなど何もなかっただはずです。周りからは軽蔑の眼差しを向けられ、自分の評価も下がってしまう。






















でも、それは本人が望んだこと。






















………その頃の僕には、何一つ理解が出来ませんでした。

そんな事を聴かれるなど思ってもいなかったらしいお姉ちゃんは、驚いて目を見開いていました。少しして微笑むと






























「何でもないよ」






























と言い残し、僕の前からいなくなりました。























高校生になって、寮生活を始めたからでした。

結果として、お姉ちゃんからはそのとき、何も教えては貰えませんでした。
























でも、ある日出会ったお姉ちゃんの友達が教えてくれたのです。



















「お前の姉ちゃんが変わってから、周りの奴からも虐められるようになってな……自分より上だった存在が、突然見下せるようになったんだ。誰だってこんなチャンス逃すはずもない。その突然さが気になって、俺は あいつに聴いたんだ。そしたら……何て言ったと思う?」























僕は分からず首を振った。






















……いや、少しは分かっていたのかもしれない。

でも、分かりたくなかったんだ。

だって、その予想が正しければ、お姉ちゃんは……








































おまえを助けたかったから』









































「あいつは、自分のせいでお前が傷付いていることを知ったんだ。自分が何でも出来るから駄目なんだって。だから、自分が馬鹿になれば弟は構ってもらえるようになるかもしれない。少しでも傷が癒えるかもしれない。そう考えたあいつは、馬鹿を続けた。……そんな考えしか思い浮かばなかったあいつは、本当に馬鹿だよ」























僕は何も言えず、たた必死に涙を堪えるだけだった。



















僕のために人生を棒に振ったお姉ちゃん。そんなお姉ちゃんを心の中で馬鹿にしていた僕は、どれほど醜かっただろう。大人からも友達からも嫌われ、馬鹿にされてもなお、笑顔でいることは どれ程辛いことだったのか、僕には想像すら出来ない。





















でも理由が分かった以上、これ以上お姉ちゃんを傷付ける訳にはいかない。男としてのプライドが許さない。頬を伝っていたものを手で拭い、立ち上がった。
























































お姉ちゃん、今度は僕が助けるからね。




ノンフィクションです。


私は友達役ですねww

性別を(何故か)変えて登場ですw


実際は女ですよ〜


でも、本当に仲の良い姉弟です。


そして頭の良いお馬鹿たちですwww


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