虐殺の門 -アサミ
リョウが攻める左側の部隊はヒュウガとキョウジの二人。
すでにかなりの被弾をしている二人だが、ピグマリオのキョウジに比べてヒュウガのダメージはかなり大きい。
それでも倒れず戦い前進を続けるヒュウガの姿は、鬼気迫るものがあった。
まだリタイアできない。
ヒュウガから発せられるオーラがそう言っている。
最前線で一人、全力疾走で走り続けるアサミ。すでに両腕がない。それでも走り続けるアサミ。
アバターSはフィジカルが弱い。すでにアサミはリタイアしていてもおかしくない状況なのだ。
なぜ、アサミはあの状況で戦い続ける事ができるのか!?
脳とシンクロするこのFRONTIERで、時に精神力がシステムを勝る場合がある。
これはもちろんごく希なケースだが、アサミは今まさに限界を超えて生き残っているのだ。
普段の彼女は、少しオトボケした天真爛漫な少女である。
しかし、芯の強さはリョウにも負けない頑固さもある。
そのアサミが我々レイニーデイズ連隊の案内人としてひたすらまっすぐ門への道を開いている。
残り100メートルを切ったところでアサミの体が蜂の巣のように幾百もの弾を貫かれ、その体は辺りに散りわたった。
彼女は最後まで自分の仕事を成し遂げた。
ナギサをほぼ無傷でここまで誘導してみせたのだ。
ここでナギサが先頭に踊り出た。ナギサの後ろで待機していたアツヒロが彼女のガードに付く。
今まさにアサミの開いたイバラの道が栄光への一本道に変わろうとしていた。




