虐殺の門 -スグル
エネミーラインより下がり戦場から退いたツバサが、戦況を見ながら前線に指示を飛ばしていた。
すでに【虐殺の門】の城壁には大きなダメージを与えている。しかしそれでもまだ、敵には圧倒的な戦力が残っている。
自分を除いたアバターLは全滅。だが遠距離火器のキャノン砲は機能しなくなる。
これで通常の【虐殺の門】へと戻ったわけだ。前線は残り約200メートルを進行。
先頭のアサミはさらに先の残り約150メートル付近を疾走していた。
ツバサはスティンガーを構える。最後の重火器が必要な状況が必ずくる。
しかし、エネミーラインを越えなければ攻撃ができない。
すぐに飛び出せるように…。ツバサは自分の役目をこなしながら、最後の役割を果たすその時を待っていた。
ミオが旋回を強めてスピードを上げた瞬間、敵の乱射も激しさをましていた。
城壁はかなりダメージを受けているが、まだまだ敵の火器数は多い。
ミオも肩に被弾をうけているが、それよりも致命的なのがスグルだ。
ミオの盾としてアテもない乱射をして敵を自分に惹き付けていた。
メンバーの中で一番レベルが低いスグルは敵の攻撃対象の序列でいえば一番下になる。
しかし、それはあくまでも目安に過ぎず前線の近い位置で暴れれば、すぐさま敵の的にされる。
スグルは自ら的になっているのだ。スグルはミオに合図を送る。
これはミッション前にスグルがミオに提案した事で、自分が限界になったら乱射を一瞬止めるというものだった。
それに気づいたミオはスピードを弱めスグルを前に置いた。
再びスグルの乱射が開始。スグルは的になりながらミオの進路から離れていく。
ミオはその隙にスピードを加速させた。
右側の嵐のような攻撃を一手に引き受け、スグルは犠牲をかって出たのだ。すでに限界のスグル。
ミオの徐々に遠くなる背中を確認し、最後は一発のランチャーが体を貫き跡形もなく吹き飛んだ。
ミオを進ませるという単純な役割を、ミオから敵の砲口をそらすという成果までスグルはやってのけたのだ。
これでミオは数秒間ではあるが、敵の攻撃対象から外れた。
人情家のミオはスグルの犠牲に胸が熱くなったに違いない。
その足取りは力強いスピードで一歩一発踏み出していた。




