虐殺の門 -ヒデ
そんな状況の中で左側を旋回中のリョウが苦戦の真っ只中にいた。
集中放火を受け、その盾となっているヒュウガが大きなダメージを受けている。
ハイプレイヤーとしてフィジカルの強さもあるヒュウガだからこそ耐えている状況で、まさにいつリタイアしてもおかしくない程の被弾を受けていた。
『ヒュウガさん!!』
リョウの悲痛な叫び。しかし、ヒュウガはリョウの盾としてすべての攻撃からリョウを守っていた。
ミッション開始20秒で2人のプレイヤーがリタイア。
しかし、この20秒で敵に与えたダメージは想定以上の成果を上げた。
城壁には幾つもの穴が開き、敵戦力の半分近くを壊滅する事に成功したのだ。
これは過去に誰も見たことのない【虐殺の門】の姿である。
そして更に左後方で重火器を構える一人のプレイヤーがいる。
キャノン砲もそのプレイヤーに砲口を一斉に向けた。フィールド上で最後に残ったアバターLのハイプレイヤー。
RPGを構えるヒデだ。すでに嵐のような攻撃で被弾が激しく左腕を失っている。
だがまだリタイアできない。
最後に大きな仕事が残っているからだ。リョウが攻める左側の城壁へ標準を定める。
戦場における状況分析に優れ、エンドオブザワールドの若いメンバーたちの兄貴分としてここまで精神面でも支え引っ張り続けた。
しっかりと両足を地につけ、仁王立ちでRPGを構えるその姿に一抹の迷いも見られない。
片腕で重火器を構えて引き金を弾く。ヒデのRPGは火を吹き一直線に城壁左側に命中。同時にキャノン砲1機も破壊。それを確認したヒデは全力で走り出した。それは前進をではなく後退。放たれた敵のキャノン砲を前線で戦うメンバーたちから遠ざけるためのだ。
ヴァースのジョブをもつヒデはスピード値も高い。
一気に下がったヒデはライフルに装備を持ち替え空に向かって撃った。
それは自分の役目を成し遂げた勝どきであった。そして前線への檄でもあった。次の瞬間、キャノンの群れがヒデに命中。
大爆発の中、ヒデは姿を消した。
左側を攻めるリョウへの攻撃が弱まる。
この時、自分の後方で大爆発を感じたリョウはヒデのリタイアを知った。
これで火がつくのがリョウという女だ。
彼女は更にスピードを上げて旋回を強めた。




