表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【40万PV達成❤️】絶望のFRONTIER  作者: 泉水遊馬
虐殺の門
90/108

虐殺の門 -3

2118年12月31日

とうとうこの日がやってきた。

3パーティー連隊でのR-SフィールドNO.1【虐殺の門】へのトライ。

俺は夕方五時にリョウと合流。電気街のステーションでヒデとアサミ、ダイキが待っていた。

もちろん待ち合わせ場所は喫煙室の前だ。各々が様々な表情を浮かべている。

感慨深い顔のヒデ。なんだか楽しそうなアサミ。緊張が溢れ出すダイキ。そして決意に満ちた目をするリョウ。

そこにスグルも合流。言葉なく皆が自分の思考を漫喫している中、

「よし、そろっているな。」

とアキラの力強い言葉が邪魔をする。ハルカとナギサを従えて現れたアキラの表情は気合いがみなぎっている。

我々帝都組は電気街ステーションで、そろってダイブする。

ヒュウガたち横浜組は横浜ステーションから。

すでにステーションには我々レイニーデイズ連隊の戦いをライブで見ようと人が集まり始めていた。

アキラが端末を見て、

「那覇ステーションも準備OKだ。」

と告げる。【虐殺の門】はエントリー制になっていて、事前にトライ日時を予約しなくてはならない。

そして【虐殺の門】のエントリー情報は、すぐさま公式サイトで世界中に配信される。

だから、世界中のどのパーティーがいつ【虐殺の門】へのトライをするか一瞬にして世界中のプレイヤーやマニアが知ることとなり、その日のステーションはごった返すほどの人間が集まる。

その混雑を避けて、帝都組と横浜組は違うステーションからダイブすることとなった。

【虐殺の門】へのトライは2時間後。しかし、早めにブースを確保してダイブする。

そしてオープンフィールドでポジショニングの最終確認をするのだ。

「準備はいいか?装備の最終確認をしてからダイブしろ。いいな。」

アキラの言葉で、俺たちはラストステージへと歩き始めた。

 

ダイブしてニュートラルフィールドに入り、オープンフィールドでメンバーと合流。

15人の兵士が一同に揃う。

「約束は守られたな。」

キョウジがアキラに言う。

「なんとな間に合ったようだ。」

アキラが答える。キョウジはすでに昏睡状態にあり、現実世界では意識はない。

それを無理矢理ツネがステーションに運び入れダイブさせている。

ブースで横たわるキョウジの傍らにはツネの知り合いのプレイヤーが付き添っているらしい。

「それじゃあ、レイニーデイズはツバサをリーダーに、ヴァンダルハーツは俺、エンドオブザワールドはヒデを中心にポジショニングの確認をしてくれ。」

アキラの言葉で俺はツバサの元に歩み寄る。

「最強のメンバーが揃った…。ナギサ、リョウ、ミオ。このラストフィールドであなたたちを指揮できるなんて…FRONTIERに帰ってきて本当によかったわ…。」

ツバサが感慨深く言う。


俺は?ま…まぁいいか。俺はサブアタッカーだからな…。


「どう動く?」

ナギサが話を進める。

「ナギサをセンターに、右翼からミオ、左翼からはリョウが門へと旋回するように向かって。

十分に距離を取ること。リョウとミオは少し大回りぐらいがいい。細かい進路の調整は私からインカムで指示を出す。とにかく門へと向かう事を最優先に行動して。でも一点だけ注意してほしいのが、盾との距離感。

ヴァンダルハーツを常に盾として進めるから、必ず危ない状況になったら盾の後方に入って。

一瞬の判断が左右される…。集中だけは切らさないでね。」

ツバサは身振り手振りを交えて3人に説明する。大きく頷く3人。リョウがナギサに、ミオがリョウに様々な確認をしている。それを見ているツバサも様々な状況を想定したプランニングが頭の中で行われているようだ。


で…、「あの…俺は?」


さすがに聞く。さっきから俺の名が一切出てこない。するとツバサが、

「シーナはなにも考えなくていい。ただひたすら門にまっすぐ走りなさい。」

と一言。


え?それだけ!?


「シーナの役目は3人の誰かがリタイアした時から始まるの。

それまでは絶対にリタイアしない。それがシーナの仕事よ。」

ツバサの言葉を整理してみると…ようは門へ向かうことよりリタイアしないように隠れてろって聞こえる。

サブアタッカー…。なかなか歯がゆいポジションである。


この後、3パーティーのリーダーが最終確認をするべく集まり打ち合わせを始め、各メンバーがポジショニングの会議を行っていた。

『よう、レベル3。』

キョウジが俺に近づき声をかける。

『調子はどうですか?』

愚問であることはわかっていたが、それしかかける言葉が見つからなかった。

『もう死にかけさ。お前と話すのもこれが最後になるだろう。』

キョウジの返答に返す言葉がない。

『いいか、レベル3。お前はこのミッションで最大にして最重要な役割を与えられた。わかっているな?』

キョウジの言った言葉に首をかしげる。だって俺はサブアタッカーとして、とにかくリタイアしないように逃げ回るように指示されている。その姿を見たキョウジが強い口調で俺に、

『レベル3。勘違いするなよ。お前の役割は絶対にリタイアできないって厳しいポジションだ。

サブって言葉で補欠のような錯覚をもっているだろう?違うぞ。お前は必ず門を抜けなければならないポジションなんだ。だから、リタイアできないんだよ。

わかるか?お前に作戦とかポジショニングなんて必要ないんだ。自分自身の身を守り前に進むことのみを考えればいい。心配するな。俺が必ずお前を誘導してやる。俺とアキラに隠れて前を狙え。いいな!!』

と言い聞かせるように言った。必ずリタイアできない…。一気に緊張感が沸き上がる。

アキラは俺を影と言った。そして3人ではなくアタッカー4人を【虐殺の門】をぬけさせると言った。

なるほど。ツバサが俺に作戦らしき指示を与えなかった意味がわかった。俺は必ず生き抜かなければならないんだ。

だから作戦とかポジションに囚われず、まっすぐ門へと突っ走ればいいんだ。

俺はキョウジに向かって大きく頷いた。

『よし。いい雰囲気を出してるな。男になったか?』

笑いながらキョウジが言う。

『キョウジさん。ありかとうございます。自分の役割が明確に理解できました。』

俺はキョウジに頭を下げた。素直な気持ちだった。

『レベル3。お前はきっと凄いプレイヤーになるだろう。その踏み台になれる事を誇りに思おう。』

キョウジは俺の肩を叩いて重い口調で言った。

それはまるで俺に何かを託すような優しさを感じる言葉だった。 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ