BELIEVE IN LOVE -2
2
翌日。R-AフィールドNO.9。エンドオブザワールドのミッション。
ローテーションメンバーは解散され、通常のオリジナルメンバーにもどった。
ヒデ(レベル11)ジョブ ヴァース
リョウ(レベル10)ジョブ ハイランダー
ダイキ(レベル10)ジョブ ドラグナー
アサミ(レベル9)
シーナ(レベル7)
久しぶりの仲間とのミッションだ。
『ポジションは忘れていないな?エンドオブザワールドの基本フォーメーションだ。』
ヒデが皆に問う。もちろんわかっている。
リョウとアサミのツートップ。俺がスキッパー。ダイキがボランチ。そしてヒデがリベロ。
エンドオブザワールドの基本ポジションだ。ダイキが俺に近づき、
『シーナ、今日はトップ二人の誘導を頼む。僕はバックアップに専念するから。』
と言う。このダイキの言葉には様々な意味が含まれている。
以前は二人で分担して前衛を誘導してきた。
しかし、リョウとアサミのスピード値が上がり、ダイキではついていけなくなった。
だからスピード特化の俺が前衛二人をコントロールする役目になる。
そしてなによりトライアルを意識したミッション構成をしておかなければならない。
エンドオブザワールドが挑むトライアルステージは【デッド・タワー】。
ただひたすら150フロアーを駆け上がるミッションだ。しかし、トライアルというのは非常に単純でありながら、非情なほど過酷なステージである。
ヒデの説明ではハイイーターの数も多く、150階まで昇りきった後にフラッグ戦もあるとのこと。
幸い退路戦はなく、フラッグ殲滅でセーブポイントが現れる。
トライアル戦のすべてでいえることは、フラッグ戦まで絶対にリタイヤ者を出さない事だ。
この戦いで重要なのは、オフェンス(攻撃)とバックアップのバランスにある。
ダイキはスピードで攻め上がる3人をどうやってフォローするかを幾パターンも用意しなくてはならない。
今後の少ないミッションでそれを確立することがダイキの役割と言える。
『了解です。ただ状況に応じて横のポジショニングも試しましょう。』
俺の言葉に、
『シーナ…ずいぶん成長したな。ああ、わかった。シーナが合図をくれ。』
と言ってダイキは俺の肩を叩いた。
『よし!!行くぞ!!』
ヒデの号令でミッションがスタートした。
久しぶりのレイニーデイズでのミッション。
しかし、メンバーのレベルアップもあり、以前とはまったく違うポジショニングを求められた。リョウが速い。そしてアサミも格段に速さを身につけ、それを存分に活かしている。
『シーナ!!遅い!!』
リョウが叫ぶ。俺が完全にスキッパーとして二人についていけなくなっていた。
スキッパーが遅いということは、前衛を前に進めないということだ。ここでヒデの言葉が俺を刺激する。
『スグルはもっといい動きをしていたがな。』
と。エンドオブザワールドの夕方シフトに入っていたスグル。
彼はレベルこそ俺と一緒だが、すべてのパラメーターを均等に上げ、オフェンスもバックアップも器用にこなすオールラウンダー系のプレイヤーだ。様々なパーティーに招聘されている彼は、どんな状況にも対応できる巧さがある。しかし、スグルと比べられて劣ると判断されれば、俺の少ないプライドに火がつく。
俺だってヴァンダルハーツでS級のミッションをトップポジションでやってきたのだ。
俺の成長パラメーターはスピードとフィジカル。ツバサが割り振った俺のステイタスは、まさに【虐殺の門】のキープレイヤーになるべくためのパラ振り。俺はアタック部隊に寄り添い盾となるためのプレイヤーなのだ。
【虐殺の門】へのプレイヤー構成は3つ。
アタック盾囮だ。
アタックはまさに【虐殺の門】へと走るコンプリート部隊。盾はそれを守る身代り。囮は敵の攻撃を引き付けるバックアップ部隊。その中の盾になるという自覚からそれを素直を受け入れる自分がいた。
だからフィジカル系をガンガン上げられることも違和感がなかった。前衛のリョウを見る。彼女を守りたい…。
彼女の盾になれるなら本望だ。いや…彼女の盾となるために、俺はここまでやってきたのかもしれない。
『スグルより動けますよ!!』
俺はヒデの煽りに乗った。全力でリョウとアサミのスピードに追いつき、アサルトライフルを連射していた。
リョウとアサミの素早い攻撃を援護しつつ順調にミッション終盤まで進んできた。
しかし、ここでトラブルが発生する。フィールドチェンジした瞬間、激しい爆音と銃撃音が鳴り響いていた。
前のパーティーがハイイーターの猛襲に足止めをされているのだ。
しかも、もう1つのパーティーもそれを見る体勢で待機していた。
通常、A級ミッションでここまで混雑を見せることは珍しい。
だがこの状況では我々も待機を余儀無くされる。しかも今アタックしているパーティーの次の次。
しかしこれは仕方がない。エンドオブザワールドは臨戦態勢を解き、その場に待機した。
通常、A級ミッションでここまで混雑を見せることは珍しい。
だがこの状況では我々も待機を余儀無くされる。
しかも今アタックしているパーティーの次の次。
しかしこれは仕方がない。
エンドオブザワールドは臨戦態勢を解き、その場に待機した。
俺は待機しているもうひとつのパーティーを見た。
そこに見たことのあるアバターを発見した。
こんな、偶然もあるのか。
そのプレイヤーに近づき声をかける。
『キョウジさん。』
俺の言葉に、
『よう、レベル3。
今日はヴァンダルハーツじゃないな。
A級フィールドだから、エンドオブザワールドか。
』
逆にキョウジはエンドオブザワールドに近づき挨拶をする。
『キョウジだ。ツネが世話になってるようだな。礼を言う。』
ヒデがキョウジに対応する。
『パーティーリーダーのヒデだ。
あんたとは新宿ステーションで何度か会っている。
今日はどこのパーティーに招聘されているんだ?』
『レイニーデイズのリベロだな。
覚えているよ。
それにお前たちレイニーデイズ連隊は、今や我が国のプレイヤーたちには有名人だ。
今日は台湾のパーティーに招聘されている。
まさか、こんなイージーな場所で足止めされるとは思っていなかったがな。』
キョウジが答える。
『体はどうですか?』
俺の問いに、
『あと3ヶ月もてば…ってのところだな。
だが、アキラの言葉を信じるならば虐殺の門へはあともう少しらしいな。
それを俺のラストステージとしよう。』
キョウジ言葉に落胆はない。
『ところでシュウの妹はどっちだ?』
キョウジがリョウとアサミを見て言う。
『私です。』
リョウが答える。
『そうか。』
キョウジはそう言うと俺の耳元に呟く。
『もうヤったか?』
おい!?聞こえたらどうすんだステージ4!!てかあんたバカだろ!?
『なんなの?』
リョウの問いにキョウジは、
『いや、あの天才シュウの妹に会えて嬉しいよ。』
とごまかした。
『まだしばらく時間が、かかりそうだ。少し話でもするか。』
キョウジが、ヒデに提案した。
『あなたも【ドラゴンスレイヤー】の異名を誇っていた天才プレイヤーでしたね。』
ダイキが、興奮気味にキョウジに言う。
アメリカ空軍の爆撃ヘリ【ドラゴンボム】。
第三次世界大戦で活躍した新兵器で、16ミリ機関砲が首尾下部と両翼ロータに配備され、その長い全長の見た目から【ドラゴン】の名がつけられた究極の攻撃ヘリだ。
S級フラグに登場する難敵ではあるが、このフラグを仲間がリタイヤした状況で、たったひとりで撃破した功績でつけられた異名が【ドラゴンスレイヤー】だ。
キョウジは、
『他人から勝手につけられる異名なんて興味ない…と思っていたが、ひとり興味をわかせる異名を持つヤツが現れた。
なぁ、レベル3。』
と俺に言う。
絶対にバカにしてるだろ…。
キョウジが、ヒデの方を向き口を開く。
『ヒデ、俺は前からお前に興味があった。
なぜ、レイニーデイズが分裂した時、どちらにもつかなかったんだ?』
ヒデは少し考える様子を見せ、
『違うメンバーでやる気にはならなかった…ってとこだ。』
と答える。
『じゃあ、なぜ新しいパーティーを組んだ?』
キョウジの問いが続く。
これにヒデは即答した。
『組みたいメンバーが現れた。簡単な理由だ。』
とおれたちを見渡して言った。
大きく頷いたキョウジは、
『それだ。それこそFRONTIERの本来の姿だ。お前の気持ちは非常に理解できる。』
と興奮した口調で言う。
逆にヒデがキョウジに聞く。
『あんたはブラックダリアに未練があるんだな?』
と。
『未練か…確かにあのメンバーでいるときは楽しかったよ。
だが、同時にこのメンバーでは虐殺の門へはいけないとも悟っていた。
だからブラックダリア解散以来、どこにも属さずひとりでやってきた。
やはり…仲間と共にやり遂げるミッションほど充実感は味わえないよな。
お前たちが羨ましいよ。』
キョウジが言うと、
『あんたも俺たちの仲間のひとりだ。
アキラの気持ちも理解してやってくれ。
あんたの余命に間に合わせるために、自分のすべての時間をミッションに費やしたんだ。
あいつだって暇じゃない。
1日2時間程度の仮眠だけで仕事とミッションを両立してきたんだからな。』
とヒデが強い口調で言う。
『ああ、ヴァンダルハーツのアキラ。
俺はアイツのために喜んで【死のう】。それが俺にできるアイツへの誠意だ。』
キョウジの言葉には強い決意が込められていた。
すでに前のパーティーは次のフィールドへとチェンジしていた。
しかし、キョウジは動かない。
現在のフィールド状況は、イーターが一体もいない。
これでは経験値が獲られない。
だから一定の時間を待機し、イーターが再び現れるのを待たなければならない。
『なぁヒデ。虐殺の門を抜けた先にはなにがあると思う?』
キョウジの問いに、
『さぁな。大きな花火でも上がるかもな。』
ヒデは笑み含んだ言葉で返した。
『それもいいな。わかりやすい。
だが、きっと達成感とか充実感なんて気持ちのいい結末なんてなりゃしない。
それだけはわかるんだ。』
キョウジの言葉には強い確信があった。
確かに運営の【悪意の塊】であるこのFRONTIERにおいて、【気持ちよく終わる】事なんてできないだろう。
これは俺でも理解できる。
この話にアサミが割り込む。
『だったらキョウジはどう思うの?』
『神速のアサミか…。
お前があの門を抜けた時、必ず俺にお前が見たものを教えてくれ。
お前の言葉を【冥土の土産】としよう。』
キョウジはそう言うと俺の肩をポンと叩き、
『レベル3。
ツネがお前を気に入っているみたいだ。
これからも仲良くしてやってくれ。
アイツは俺の贔屓目なしでも凄腕のプレイヤーだ。
せっかく戻ってきたFRONTIERに、俺が死んだ後でも戦えるようにしてやってほしい。
すまない、これはお前にしか頼めないんだ。』
と懇願した。
確かにエンドオブザワールドの深夜シフトでの8ヶ月間、ツネは一生懸命パーティーに尽くしてくれたし、俺に様々な事を教授してくれた。
俺はツネに対して自然と仲間として接していたし、受け入れていた。
それは一緒に深夜シフトにいたナギサやヒュウガ、アツヒロも同じに違いない。
だが彼の役目は【虐殺の門】へ辿り着くまで。
本番はキョウジに替わる。
それを思うと寂しく感じる。
『レベル3、これは俺の遺言だと思ってくれ。』
キョウジはそう言うと、新たに現れたハイイーターに向かい、台湾のパーティーと共に走り去った。
キョウジの後ろ姿を見送りながらヒデが呟く
『このまま【虐殺の門】へと行っても、おそらく3人を門へ導くことは難しいだろう…。』
『どういう意味?』
リョウが問う。ダイキも興味深そうにヒデの言葉を待つ。
『もう一駒ほしい…。』
ヒデはそう言うと目線をアサミに向けた。
このヒデの言葉を、つい数日前にアキラから聞いた。やはり熟練者だ。二人とも同じ事を考えているようだ。
俺がアキラから聞いたことは、アタック部隊の3人にプラスしたサブアタッカーが必要だということ。
現在のアタック部隊に確定されているのはリョウ、ナギサ、ミオの3人。
しかし、この3人だけにこの責務をまかせた場合、ミッション途中でリタイヤ者を出したら打つすべがなくなる。
だから第4のアタッカーが必要なのだ。
もうひとつ言うと、アタック部隊を結成するパーティーはレイニーデイズのアカウントを使用する。
これは連隊を組んだ時の約束であり、3パーティーが平等である証なのだ。
このレイニーデイズのアカウントを使用した場合、正規雇用メンバーは4人となる。
パーティーリーダーの枠がヘルプとなるからだ。コンプリートするための門を抜けるメンバーはこの正規雇用のメンバーに限られる。
厳しいミッションなのに、正規雇用メンバーを5人揃えられないという弊害が発生する。
ならばよりスピード特化したプレイヤーを4人揃える必要がある。現在の連隊の中で、一番スピードを持ったプレイヤーはハイプレイヤーの3人ではなく、アバターSのレベル9であるアサミなのだ。
このアサミにアバターSのジョブであるスピードスターをつければ、まずひとりが門を抜ける確率が上がることは間違いない。
だが、アサミのレベルアップには通常でいえばあと数ヶ月はかかる。
もちろんアキラがキョウジの余命に合わせたスケジュール短縮を敢行したからこの状況を生んだことは言うまでもない。
だから、もし今回のトライアルで3パーティーが成功すれば間に合わず、失敗すれば次のトライにはアサミはハイプレイヤーになっているだろう。
しかし、その時にキョウジがこの世にいるかは微妙だ。すでにアキラの中でアタック部隊はハイランダー3人娘とアサミで決定しているようではあるが、アサミをハイプレイヤーにしておきたいがキョウジの余命に間に合わないアキラのジレンマがあるのだ。
ヒデはアキラと同じ事をメンバーに説明する。一番キョトン顔のアサミ。今一つピンとこない様子だ。
『あと数週間でレベルアップか…。』
ダイキがヒデの言葉に納得したようだ。
『でも今のままでもアサミが一番速いんだから、状況が変わることはないんじゃないの?』
リョウがヒデに言う。
『リョウ、違うんだよ。』
ヒデが返答する。
そう、違うのだ。
ハイプレイヤーとレベル9では、まったく違うポジショニングになる。
アバターSとはスピード特化に秀でたプレイヤー構成となる。だが3つのアバターの中で一番フィジカルが弱い。
だからどれだけスピードに特化していたとしても盾に守られながらでしかあの要塞に近づくことはできない。
アサミの現在のパラメーター状況はスピードと命中率のトップポジション型。
だがハイプレイヤーに上がりジョブをつければ、スピードをジョブで賄え、さらにレベルを上げたことで伸びるフィジカルのパラメーターをも進化させる事ができるのだ。
今のままではアサミは一番速い能力を持ちながらハイランダー3人娘の後ろから攻めるサブアタッカーでしかポジショニングができない現状だ。
だから一番速いという特性がまったく生かされないというのが現実である。
ヒデの説明である程度の理解をしたリョウは口を閉ざした。
俺はふとあることに気づく。
そうか…そういうことか…。
この8ヶ月間、俺のパラメーターはスピードとフィジカルを限界まで伸ばす成長を強いられた。
アキラは俺をアサミの盾に仕上げたんだ…。
ハイランダー3人娘はアキラとキョウジで守り進む。そして特質したスピードを持つアサミは、同じくスピード特化の俺が帯同する。これによって4人のアタッカーをそれぞれの個性を潰さずに門へ誘導できる。
『前が空いた。そろそろイーターも復活するだろう。
この件はアキラに相談してみる。おれたちが揉めることじゃない。さぁ、行こう!!』
ヒデが皆を促す。ヒデがアキラに相談してみるといったが、もう答えは出ている。
アキラ…怖い人間だ。ここまで先を読んでプレイヤー構築をしていたのか…!?
リョウを守りたいがために従っていたパラ振り。だがそれがかなわないことに愕然とした。
しかし…受け入れよう。もう俺の個人的な感情だけではどうにもならないところまできてしまったのだ。
俺がアサミを必ず【虐殺の門】へと誘導してみせる。それがリョウを守ることに繋がるかもしれない。
フィールドには再びイーターが現れた。俺はヒデに提案する。
『ここからはアサミちゃんとツートップでいかせてもらえませんか?』
リョウが驚いたように、
『なに?シーナどうしたの?』
と俺に言う。
『俺も一応アバターSなんで。少しは前でやらせてください。』
ちょっと嫌な言い方をした。多少強引にいかないと説得できない。
『わかった。リョウはスキッパーに下がれ。ヴァンダルハーツでトップ張ってた成果を見せてもらうぞ!!』
ヒデの了承を得て、俺は前の位置にポジショニングした。
『シーナ!!がんばろう!!』
アサミの言葉に頷く。
『よし…アタックだ!!』
ヒデの号令で俺とアサミは全力で走り出した。
比較的イージーなステージの中で、俺はアサミとの距離感を計っていた。
今までのように前後のポジショニングではなく横の位置取り。
アサミは速い。俺にはまだ彼女を守りながら進むスピードがない。だがアキラの真意に気づいてしまった以上、今から準備しておく必要がある。しかし【虐殺の門】を思い出してみる。ひたすらアタック部隊は前へと走る。
バックアップがコントロールするなんて次元の話ではない。
ただ門へと向かって走るのだ。だからアサミのスピードを盾が潰すなんて言語道断。
トップスピードでアサミを走らせなければならない。
いや・・・まて。じゃあ、ハイランダー3人娘を守るアキラとキョウジはどうする?
彼らも3人に比べればスピードは劣る。しかし、ヴァンダルハーツのトライの時、アキラはしっかりとナギサの盾になっていた。
レベル・・・。フラッグはレベルの高いプレイヤーを優先的に狙う習性がある。
だからナギサよりアキラに対して攻撃を集中させていた・・・。
そう考えられる。じゃあ、俺とアサミの関係はどうだろう?
アサミの方がレベルが高く、スピードが速い。これでは俺がアサミの盾となる術がない。
様々な考察の中、フィールドチェンジしてガトリング部隊までたどり着いた。
すでにキョウジたちの姿はなくフラッグステージへと進んだようである。
『ちょっとシーナ!アサミとの距離が近い!』
スキッパーのリョウが怒鳴る。
『すいません!』
俺は無意識にアサミとの距離を詰めすぎていたようだ。一気にガトリング部隊へ攻撃を始める。この時の我がパーティーのポジショニングはトランス。ダイキとヒデが前衛に上がり一機ずつ撃破していく。俺たち前衛はそれを援護しながら、ガトリングの裏に入り挟み撃ちで攻撃する。
『よし!いい感じだ。どうする?アサミとシーナ、どっちが退路確保にまわる?』
ヒデが言う。俺は自ら退路ルートへ走り出した。
退路ルートでイーターを倒しながら必死に考えていた。今の状況ではアサミの盾に成りえない。
アキラはすべて考え済みのはず。俺の考えは間違っていたのかな。
いや・・・。俺のパラ振りは完全に盾になるための成長過程を踏んでいる。
アキラの真意を足りない頭で探り続けること15分。答えが見つからないまま、ある程度イーターを排除したところでフラッグステージからメンバーが出てきた。
リタイア者はいない。俺はいつものようにセーブポイントに走り出した。
プラグアウトしてロビーでメンバーと合流。
スタバへと移動した。
まずダイキが口を開く。
「それにしてもアキラさんのトライアルの割り振りは絶妙だよね。スピード重視の【絶望の橋】にレイニーデイズ。
ここでハイランダーの3人を配置する。
そして廃墟系【殺戮の館】にスラムドッグス。迎撃タイプのミッションにバックアップ主体のメンバーが揃うスラムドッグスにツバサさんを入れる。もっとも戦略的な【殺戮の館】でツバサさんを加入させることでスラムドッグスの組織的な動きがより良くなるに決まっている。
そして前後のバランスが重要な【デッド・タワー】に僕たち。シーナの言うとおり、前衛のポジションにバリエーションが必要かもね。」
と分析してみせた。
そう・・・アキラって本当に怖い。
これを即座に決断したことに強い憧れと恐怖感を俺に植えつけた。
その二週間後、エンドオブザワールドは見事にS級へと昇進し、すべての準備が揃った。




