PYGMALIO -7
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スグルはエンドオブザワールドのローテーションメンバーとして夕方シフトに入り、ツネは深夜シフトに配属された。
R-AフィールドNO18。
初めての深夜シフトのミッションでツネが俺に挨拶をする。
『ようレベル3。まさか俺に膝撃ち喰らわしたやつと同じパーティーになるとはな。』
『なかよくやってくれよ。』
深夜シフトのリーダーであるヒュウガが俺とツネの間に入る。
『わかっているさ。それに俺はこのレベル3を認めている。タイマンで負けたんだからな。』
ツネがヒュウガに言う。
『ビッグネームがどんどん加入してくるから、こっちも戸惑うよ。』
アツヒロが感慨深く言う。
たしかにこの連隊には元レイニーデイズの4人に加え、地球連邦軍のツバサが加入し、ブラックダリアのツネまで入った。特にブラックダリアの中でも攻撃的リベロとして有名だったツネ。
古いプレイヤーでその名を知らないものはいない。
『お手並み拝見ね、ミスター・コーネリアス。』
ナギサがツネを挑発する。この国で初めてアバターLのハイプレイヤーとなり、彼が選んだジョブがコーネリアス。それにちなんでシゲがナイトメアで命名した異名がミスター・コーネリアス。
『厳しいな、ファンタジア。まぁ、ちゃんと仕事はこなすさ。』
軽く受け流すツネ。考えてみればこの深夜シフトはハイプレイヤーが4人の凄いメンバーで構成されている。
アバターMのナギサはハイランダー。
アバターMのヒュウガはジェネラス。
おなじくアバターMのアツヒロはドラグナー。
そしてツネはアバターLのコーネリアス。
そこにレベル6の俺。
比べて夕方のシフトにはヒデしかハイプレイヤーがいない。この偏った編成には理由がある。
夕方シフトは学生でかためている。その時間にミッションをこなせるメンバーで編成していくとこういう結果になったと言うことだ。
俺とナギサは店が終わり動けるのが深夜帯。
アツヒロも自分の店を閉めてからの参加になるからこの時間帯がベスト。
ヒュウガとツネは時間に捕らわれていない生活リズムらしく、空いたこの時間帯に割り振られた。
『さぁ、ミッション開始だ。』
ヒュウガの一声で俺たちはミッションフィールドへと入った。
ナギサのワントップにスキッパーの俺がつき、バックアップにアツヒロとヒュウガ、リベロはツネのフォーメーションでミッション開始。
初めてのメンバー構成とは思えないほどスムーズにミッションは進んだ。
このミッションをコントロールしているのがツネであった。
最後尾にとどまらず、中盤にも攻めあがってくるツネ。ヒュウガは別に気にする様子もなく、ツネが上がればヒュウガが下がるというコンビネーションを見せていた。そ
して中盤でのアツヒロとの連携もいい。
『あんた変わらないな!』
ヒュウガがツネに言う。
『横浜愚連隊の2人。お前らもな!』
ツネも言い返す。そうか・・・昔はこうやってスペースを補う戦い方をしていたのか。
今のように型にはめたポジショニングだけでは上位では戦えない。
ナギサの自在性の高い動きもアキラやハルカが教えた戦い方なのだろう。
『おい!レベル3!お前はそこからどう動く?』
ツネが俺にけしかける。俺はナギサとの距離を測りスキッパーからトップの位置に上がり連射を強めた。
スキッパーの位置にはアツヒロが上がった。
『いいぞ・・・いいぞ・・・これだからこの世界はやめられねぇ・・・。』
ツネがつぶやく。
『あんた辞めてたじゃないか!!!』
俺が皮肉る。でも楽しいミッションだ。いつものように切迫した状況は変わらない。だって俺は一番レベルが低いわけだから。でもなんだろう・・・。今日のミッションはなんだか楽しいんだ。
こんなにも自由な動きをしてもいいんだ。
『シーナ、ワントップ頼むわ。』
ナギサが一列下がってスキッパーへ。アツヒロがバックアップに戻る。
そうなんだ。自由なんだ。
このゲームに決まりなんてないんだ。もちろんパーティーとしての役割もある。
だが型にはまった戦い方なんてつまらなすぎる。
俺は決めた。パーティーのために犠牲になろう。でも・・・楽しもうと。
俺の連射はより激しさを増しパーティーを先頭で引っ張っていた。




