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【40万PV達成❤️】絶望のFRONTIER  作者: 泉水遊馬
PYGMALIO
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PYGMALIO -4

病院のロビーでアキラと俺、ツネの3人でベンチに座った。

「ツネ、お前はミッションに出ているのか?」

アキラが聞く。

「いや、今はFRONTIERから足を洗った。

ブラックダリアが解散した時の分配金を元手にこっちで酒場を数件経営している。」

ツネが答える。

「ブラックダリアのミッションを支えてきたお前が今は起業家か。お前はFRONTIERに未練はないのか?」

アキラがツネに踏み込んだ。

「今度お前に招聘依頼を出す。プライベートページの確認を怠るな。」

「お前…なに言ってんだ!?」

「お前も責任を果たせツネ。この国で初めてアバターLのジョブを選択したお前が、こんなところで隠れて安穏と暮らす事など俺が許さん。」

「ヴァンダルハーツのアキラ…俺は…。」

アキラはツネの言葉を最後まで聞かずに俺の腕を引っ張り病院の出口へと向かった。

「アキラさん…俺はまだ聞きたい事があるんです!!」

俺は抵抗するが、

「シーナ、お前の疑問は俺がすべて答えてやる。だからここは引け。」

とアキラはより力を強めて俺を病院の外へと引っ張り出した。 


「不満げだな。」

レンタカーのハンドルを握るアキラが俺に言う。

「ええ。いろいろと。」

感情を全身で表現する俺に、

「まぁ、まずお前が行きたがっているところに行こう。話はそこで聞いてやる。」

と言ってアキラはアクセルを踏み込んだ。俺がこの旅でアキラにリクエストした場所があった。

大日本帝国旧沖縄基地。第三次世界大戦で北朝鮮の弾道ミサイルで壊滅させられた。

現在は立ち入りが出来ないが近くまでは行くことができ、戦争遺産として敷地外から見学もできる。

俺の父親が死んだ場所だ。

無言のまま数時間。2人がたどり着いた基地は壊滅したときのそのままの状態で厳重に周囲にはフェンスが張られている。広い敷地の中にある大きな建物はほぼ壊滅していて無残な姿を晒し、この基地にいた人間のほとんどが家に帰ることが出来なかったことを納得させる。

「たしかヒデの弟もここに配属されていたんだったな。」

アキラが俺の隣で言う。ヒデの弟は16歳で志願兵となり、この沖縄基地で救護班の任についていた。

そう考えると軍医だった俺の父親とヒデの弟は面識があったかもしれない。俺は端末のカメラ機能を開いて、基地の写真を1枚撮った。姉に見せるためだ。自分たちの父親が死んだ場所ぐらい見ておいたほうがいいだろう。

「少し歩くか。」

アキラはそういうとフェンス沿いを歩き出した。それに続く俺。

「なんでもっと話を聞かせてくれなかったんですか?」

俺の不満その1をぶつける。

「キョウジとツネが知っているガーディアンとアンデッド者の関係なんてあれがすべてだ。

あれ以上の情報はでてこないさ。証拠のない憶測の話をダラダラするつもりはない。

何度も言うがこの話は俺たちの目撃情報から確信に至った仮定の話だ。

ネットにも上がっていない、見た者にしかわからない、口にするにもバカらしい、そんな話なんだ。

わかるかシーナ。お前はそんな戯言にムキになって駄々をこねている。反省しろ、レベル3。」

とアキラは笑みを浮かべながら言う。

「でも・・・見たんでしょ?知り合いのガーディアンに・・・。」

俺はすぐに聞き返す。

「ああ。」

アキラは真顔で答えた。 

挿絵(By みてみん)

「キョウジさんが見たシュウさんは本物でしょうか?もっとそこが聞きたかった・・・。」

不満その2だ。

「おそらく本物だろうな。だが、これも同様に、これ以上の情報は出てこない。

キョウジはシュウを見た。そしてキョウジもこの仮定の話にたどり着いた。ただそれだけだ。

ツネはその話を要約した代弁者に過ぎん。あいつはキョウジの信者だからな。

キョウジの言ったことを100%信じている。

だからあたかもあいつ自身がそれを体験したように聞こえるが、それはキョウジの体験だ。

あいつもガーディアンは見たことはあるだろう。しかし仮定の話にたどり着くような体験はしちゃいない。

だからツネから聞くこの話はなにもないってことだ。」

アキラはタバコに火をつけて言った。

「じゃあアンデッド者は死人だって話は?」

俺はツネが言った一番気になったことを聞いた。

「あの話はよくできてる。実際、俺も同じことを考えていた。

だがあれもキョウジの考えをツネが代弁しただけで真実ではない。

しかし・・・この話に関しては仮定の話の上では成立する。

おそらくアンデッド者は脳みそ抜かれた・・・ただの人形だ。俺はこの話は同意せねばならないと思っている。」

立ち止まって遠くを見るアキラ。その先には廃墟と化した基地の残骸が見える。

「この仮定の話って、どれぐらいの人が気づいているんでしょうか?」

「上位プレイヤーの一部の連中のなかにもごく少数だが気づいているやつがいるだろう。

だが、この仮定の話にたどり着くには奇跡的な確率で知り合いのアンデッド者に出会わなければ思いもつかない話なんだ。

例えお前の知り合いがアンデッドしたとしてもそいつにフィールドでエンカウント率の低いガーディアンとして、ばったり会うなんて限りなくゼロに近い可能性なんだ。」

「なぜ、公表して訴えないんですか?」

「お前は世の中の仕組みがまだわかっちゃいないようだな。」

アキラは再び歩き始めた。 


「証拠と名誉だよ。」

アキラが言う。


証拠と名誉・・・?


「まず証拠がない。俺は見た。これだけだ。証拠もないのに提訴できるか?

それになんかあったらシステム変えてガーディアンを抹消しちまえば、証拠隠滅完了だ。

すべての鍵はFRONTIHR側が持っているんだ。」

アキラの言葉に頷く俺。

「あとは名誉の問題。シュウに限って言えば、帝都不動産の御曹司だったやつだ。

そいつがゲームで脳みそパンクして植物人間ですって公表できると思うか?

表向きには難病で寝たきりってことになってる。

様々な人間がこの世の中にいる。シュウのように世間体であったり、身内もいない孤独者だったりな・・・。だから無条件であのホスピスに入れて隔離するしか選択肢がないんだ。

そういえば以前、アメリカ人が自分の息子をアンデッドさせられたって訴えを起こした。結果は、起訴を取り下げた。なんらかの示談があったのか、それとも圧力かはわからないが、それ以降FRONTIERを、いやマイクロシステム社を相手取る人間はいなくなった。これがこの世界の真実なんだよ。」

アキラは言い終わると再びタバコに火をつけた。俺は、

「その仮定の話が本当ならば、FRONTIERはなぜそんなことをするんでしょうか?」

と聞いた。

「そんなこと知るわけがない。」

とアキラ。もちろんわかっている。

「アキラさんはどう思うかって聞いているんです。」

と、不満その3をぶつける。

「俺の考えか・・・。正直言って考えもつかん。そのあたりはダイキにでも聞くんだな。

どうせダイキにだけはこの話をするんだろう?だがリョウの耳には絶対に入れるなよ。この話は細心の気を使って扱え。」


アキラはタバコをフェンスの中に投げ捨て、

「戻るぞ。」

と言って方向転換した。

「なぜ俺を連れてきたんですか?この話を聞かすためですか?」

アキラの背中に問いかける。

アキラは自分からキョウジにシュウの話をした。ならばこのガーディアンの話になるに決まっている。俺にこの話を聞かせる意味があったのか?

「雑魚がひとりいたほうが場が和む。」

とアキラ。


この人は・・・。本当にムカつく!


俺はアキラの後ろを追いかけてその後もブツブツ文句を言っていた。 


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