PYGMALIO -1
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2118年、春
始業式が終わり、店に急ぐとアキラとヒデが口論していた。
「どうしたんですか?」
俺はハルカに小声で聞く。
「それが…。」
ハルカの言葉を待たずにヒデが怒鳴る。
「年内にS級に上がれだと!?
無理に決まってるだろ!!
お前のヴァンダルハーツだってA級クリアに1年半かかっているだろう!?なに考えてんだ!!」
なるほど…またアキラが無茶を言ったわけね。
「無理じゃない。ローテーションでミッションすれば2倍の早さで上がれるはずだ。
ローテーションメンバーにはヴァンダルハーツが入る。」
アキラは淡々と答える。この態度にヒデの怒りは増す。
「ローテーションだと!?お前…なにを焦っている!?お前は連隊を組んだとき2年の期間を作った。
それが今になって1年半にするとはどういう考えだ?
うちは学生のメンバーが3人いる。ナギサは夜はここで仕事もあり、とくにダイキは学業が忙しい。
2年でもギリギリなのに半年も縮められたら対応できんぞ!!」
必死にキレるヒデ。
「だからローテーションで埋め合わせをすると言っているんだ。
俺とハルカ、ツバサは昼間にエンドオブザワールドのアカウントでミッションをする。
夕方から夜は正規のメンバーでミッションしろ。足らないメンバーは傭兵を使え。」
アキラも引かない。ここにハルカも加わる。
「アキラ、急にどうしちゃったの?」
「とにかく時間がなくなった。なぁヒデ。どうしても年内には3つのパーティーのトライアルをクリアしたい。頼む。」
アキラがヒデをまっすぐ見て言う。
「だったら今S級の3パーティーでトライアルをすればいいじゃないか?
すでにレイニーデイズ、ヴァンダルハーツ、スラムドッグスのアカウントがあるんだから。」
ヒデが反論する。確かにすでに我々レイニーデイズ連隊はS級に3つのアカウントを持っている。
「よく考えろ、ヒデ。3つのパーティーが全部トライアルをクリアできると思うか?
全部が失敗したなら逆にいい。だがもしひとつのパーティーが失敗したら2つのパーティー、最悪の場合はひとつのパーティーだけで【虐殺の門】へのトライとなってしまう。
トライアルを成功したら一ヶ月以内にトライしなくちゃならん。
しかし失敗したら2カ月トライアルができない。
わかるだろう?
確率を上げるためにもうひとつパーティーが必要なんだ。」
連隊の一番難しいところはここにある。同時にトライアルをクリアしなくてはならないのだ。
アキラの言う通り、トライアルをクリアしたらその後一ヶ月以内に【虐殺の門】へとトライしなくてはならない。逆に失敗したらその後2ヵ月はトライアルに出れない。トライアル自体、クリアは難しく連隊すべてが同じ時期にクリアできる可能性は非常に低い。
だから連隊として【虐殺の門】へ向かうには、ひとつでもパーティーが多いほうが確率的にもいい。
だからエンドオブザワールドもS級に迎え4パーティーで挑みたい。
しかし、アキラがなぜ突然トライアルへの焦りを見せたのか?
いや…実はその理由を俺は知っているのだ。もっというと俺とダイキだけが知っている。
アキラが言った「時間がなくなった。」の一言がまさにそれだ。
それは2週間前。ダイキがある情報を掴んだ。キョウジの居場所だ。
沖縄の那覇ステーションでの目撃情報だった。
元新宿ステーションを拠点にしていた古株のプレイヤーからの情報であり、キョウジの姿を知っているから、まず間違いない情報と言える。
だがただの目撃情報ならよかったのだが、その伝えられたキョウジの現状が耳を疑うものでだった。
車椅子に乗せられステーションに入るキョウジの姿…。アキラはすぐに情報主にアポイントメントをとり、沖縄へ飛んだ。その情報主はフラッシュバックというパーティーのスナイパーで、アキラとも面識があった。
今は沖縄でサーフィンショップを経営しているとのこと。その情報主がアキラを案内したのは、沖縄の病院だった。




