表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【40万PV達成❤️】絶望のFRONTIER  作者: 泉水遊馬
DILEMMA
56/108

DILEMMA -3

帰還してロビーに戻るとハルカとアキラが待っていた。ツバサとアツヒロは横浜のステーションからの参加になるから、新宿ステーションはこの3人での集合となる。

「お前、途中で心折れたろ?」

アキラの辛辣な言葉が胸に刺さる。確かにガトリング手前のフィールドで俺は疲弊していた。

「すいません・・・。」

もはや謝ることしかできない。このやりとりは毎回のことだ。

「シーナ、このあと約束があるんでしょ?早く行きなさい。」

ハルカが助けを入れてくれる。俺はここぞとばかりに逃げるように新宿ステーションを去り、電気街のスタバへと急いだ。

リョウと待ち合わせているのだ。

パーティー編成があってから3ヶ月。毎週日曜日のミッションの後、リョウと近況を報告しあっている。近況といっても各パーティーの状況はアキラから聞いているし、公式サイトから見れるパーティーページでも確認できる。ただリョウと会う口実が欲しい・・・ただそれだけだった。

「遅い!」

スタバに着くとまずリョウの怒号から始まる。これも毎週の事だ。俺はカウンターでコーヒーを買ってリョウのテーブルへと急ぐ。現在、エンドオブザワールドはヒデとリョウ、ダイキのオリジナルメンバーに加えナギサが加入している。今日もミッションだったようでヒュウガが参加している。

「今日のツバサは?」

リョウが毎回聞く事だ。

「今日も厳しかったですよ。」

俺が答える。ツバサは本当に厳しい。リョウの10倍厳しいのだ。それにアキラも加われば、俺のストレスも理解できるだろう。

ツバサの教育方法に3往復というものがある。C級以下の下位フィールドを俺と2人で進み、フラッグ戦手前で退路ルートに移動。そしてまた最初から再スタート。それを3回繰り返すのだ。このゲームは1回帰還したらその後20時間ダイブできない。だから1回のミッションで3回分の経験値を獲る方法が3往復という過酷な特訓を生んだ。ヴァンダルハーツのミッションがない日はこの特訓が待っているのだ。だがこれが短期間で俺のレベルをひとつ上げた理由である。だから否定できないし逆らえない。ただ俺のレベルを上げるといったひとつの目的のためのミッションなのだ。

現在の各パーティーの状況は、エンドオブザワールドはA級昇級寸前であり、ナギサとリョウのツートップが素晴らしく機能しているらしい。ダイキが学業の多忙があり少し遅れをとっているようだが、ここにシゲがヘルプに入っていてミッションには影響はさほどない。

スラムドッグスに関してもS級昇級は時間の問題であり、ミオとアサミの仲良しコンビが前線で大暴れしているようである。ちなみにアサミも俺と同様にレベルをひとつ上げ7にとなった。このゲームはレベルがなかなか上がらないことが難点のひとつであるにも関わらず、上位フィールドで戦う俺とアサミは飛躍的にレベルを上げている。

「ナギサの動きは速いわ。負けてられない!」

リョウが鼻息荒く言う。今回のパーティー編成でハイプレイヤーの異動はナギサだけである。彼女の前衛での動きはリョウやミオと違いトリッキーな戦い方であることは過去の実績からわかる。前衛の先を行く独創性と状況に応じて一歩下がる判断力は冷静な彼女らしい動きといえる。

これはファンタジスタと呼ばれるプレイヤーだ。

リョウとミオを天才と呼ぶならば、この天才とは別に用意された特別な才能を持ったプレイヤーをファンタジスタと呼ぶ。ミッションにおいて優れたテクニックを発揮するナギサはどんな状況にでも対応できるプレイヤーなのだ。リョウが熱く語るナギサの戦いに耳を傾けながら、俺はひとつの邪心が生まれた。


俺はリョウと一緒にいたい・・・。だが一緒にいるためには別のパーティーにいる今の状況を受け入れなければならない。


ジレンマ・・・・。まさにこの一言に尽きる。


一緒に【虐殺の門】へいくために、別々の道を行かなくてはならないのだ。つらい。いっそやめてしまおうか・・・。

もうひとりの俺が問いかける。だがやめたらそこで終わりだ。ここでもう一度自分に問いかける。


なんのためにこのゲームをやっているんだ?・・・と。


「シーナ、必ず一緒に【虐殺の門】へいくわよ。約束・・・守ってよ。」

リョウが俺を労う。そうだ。このために俺は敢えてリョウとは別の道にいるんだ。彼女との約束こそが俺のすべてなのだから。

「はい、わかってますよ。」

俺はもう一度自分に言い聞かせる。必ずリョウとあのフィールドへ行くんだ・・・と。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ