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【40万PV達成❤️】絶望のFRONTIER  作者: 泉水遊馬
SLUM DOGS
34/108

SLUM DOGS-4

市街戦を抜け、細い路地線へとフィールドチェンジした俺の目の前に、縦に配列された4機のガトリングがこちらを向いていた。縦と言ってもジグザグに並べられたガトリングは、この細い路地で2機が必ず前にいる状態だ。

『さぁ!!山場だぞ!!シーナ!!お前はちょっと下がってろ!!』

ヒュウガの声に、ミオとシゲが反応する。ヒュウガを援護する体制をつくり、ガトリングに応戦する。謂わば二人は囮だ。激しく火を吹くガトリングに、ヒュウガが照準を合わせ、一発でガトリングを操るイーターを仕留めた。

すごい…!!

なんて精度の高い狙撃なんだ!?フラッグへの最終関門であるガトリング部隊を意図も簡単に殲滅していく。

一発、そして一発、確実にガトリングを潰していくその姿は見とれるほど鮮やかなものだった。そして4機のガトリングが唸りを止めた時、そこには驚くほどの静寂があった。

『どうだ、ちったぁ見直したろ?ただの酔いつぶれじゃないぜ。』

ヒュウガが振り返り俺に拳を見せた。俺は大きく頷き応える。FRONTIERの一時代を生き抜いた戦士の姿が眩しくも思えた。

『バ~カ!!ただの酔いつぶれだよ!』

シゲが茶々を入れるが、もちろん一番ヒュウガを認めているのがスラムドッグスのメンバー達だろう。ヒュウガの声で即座に状態を把握し、的確なポジショニングに移る。これは、指揮をする人間に対する忠誠に近い行動に見える。ヒュウガと言うリーダーを中心とした、横のラインが個々を生かしているのである。すごいパーティーだ…。

『さぁ!!フラッグ戦だ!!気を引きしめていくぞ!!』

ヒュウガの後に続き、フラッグステージへとフィールドチェンジした。


フラッグステージに入ると、そこには数体のハイイーターが、見たこともない兵器を囲むように陣取っていた。その兵器は3メートルほどの体高で二足歩行のような形態を見せていた。そしてボディーには機関砲か装備され不気味な容姿で威嚇のような機械音を唸らせている。

『あれは…?』

俺が驚いた声でヒュウガに尋ねる。

『初めて見ただろう。A級以上のフィールドには第三次世界大戦の兵器も現れる。まさにあれがそれだ。

SPEC-2、通称 陸鳥りくどり。アメリカ産の殺戮兵器だ。

いいか…、あれは速いぜ。一気に間合いを詰めてくる。とにかく動け!!』


挿絵(By みてみん)


ヒュウガは言い終わると、スナイパーライフルを構えた。ミオとシゲが左右に散る。こちらが一歩動いた時点で開始されるフラッグ戦は、激しいハイイーターの連射からはじまる。その間を切り抜くように陸鳥が俺へと向かってきた。

『シーナ!!こっち!!』

ミオが俺を誘導しながら援護を撃つ。

急いで回避した俺だが、次はハイイーターの的になった。今まで体験した事のないスピーディーなフラッグ戦に、俺は開始直後にしてパニック寸前まで追い込まれていた。


激しく動きながら俺が見たスラムドッグスの戦いは、まさに衝撃的であった。通常ならば、フラッグを守るハイイーターを優先的に倒すことがセオリーである。しかし、ヒュウガはもちろん、ミオとシゲの銃口は常にフラッグへと向かれている。ハイイーターから獲られる高い経験値をより、フラッグを倒した時に獲られるコンプリートボーナスのみを優先した戦いに徹しているのだ。リベロのいないスラムドッグスにとって、実は効率的な戦いかたと言える。ハイイーターを殲滅することでの経験値獲得は時間がかかり、所持弾も消耗する。だからこそリベロという存在が重要となってくる。

ハイリスクなフラッグ戦を一撃で終わらせるリベロの重火器装備こそが、ハイイーターを優先的に殲滅というセオリーを成立させているのだ。しかしスラムドッグスは、組織的なポジショニングでハイイーターを散らして、フラッグへの弾道を開く。そしてヒュウガの絶妙な狙撃により、フラッグの装甲を確実に削っていくのだ。インカムからヒュウガの激が飛ぶ。

『さぁ!!時間との勝負だ!!シーナ!!俺たちがフラッグを倒す前にハイイーターをできるだけ仕留めておけよ!』

ヒュウガの言葉に、俺はハイイーターに照準を合わせ連射を開始した。

俺はハイイーターを何体か撃ち倒した。ヒュウガは相変わらずフラッグの脚を集中して狙っている。ハイイーターはレベルの一番高いプレイヤーを狙ってくる。だからミオとシゲはハイイーターのテリトリーに入っては距離をおく作業を繰り返し、ヒュウガへの集中攻撃を抑えていた。

フラッグは機関砲を乱打しながら我々にプレッシャーをかける。素早い機動力をもつ陸鳥は、ヒュウガとの距離を一気に縮めた。そのタイミングをみてヒュウガは移動して、また距離をとる。そんなヒュウガの動きを見ていた俺は、その戦場慣れた見事な戦いかたに憧れすら感じた。

『シーナ!!止まっちゃだめ!!動いて!!』

ミオの怒号がインカムから聞こえてきた瞬間、陸鳥が俺に向かって突進してきていた。すでに射程距離内に入ってしまっていた俺は、右にも左にも動けず陸鳥が乱射する機関砲を身体に受ける覚悟を固めていた。陸鳥との距離が数メートルまで迫ったとき、俺はとっさに身をかがめて機関砲を避けた。しかし、目線を上げると陸鳥は俺の眼前に立っていた。機関砲が下へ向きを変え、俺を捕らえる。

『くそ!!シーナ逃げろ!!』

ヒュウガの言葉すら俺の耳には届かない…。すでにリタイアを覚悟した俺の右手は無意識に村雨を抜いていた。

不思議なほど冷静だった。いや、無意識であったかもしれない。陸鳥の右脚に入っていたわずかな亀裂。ヒュウガが何発か狙い撃ち傷つけていたその箇所を俺の視点が捉えた。

抜いた村雨は真一文字にその箇所へと向かい、一気に振り抜かれた。少しの衝撃が村雨から腕に伝わってくる。次の瞬間、陸鳥の右脚は火花を散らしながらセパレートされ、その場に転倒した。

『シーナ!トドメを刺せ!』

ヒュウガの怒号が俺の鼓膜を響かせる。ハッと我に返った俺は、どうしていいか分からず体がピクリとも動かなかった。ミオがデザートイーグルを抜き倒れた陸鳥の中央部にある赤いセンサーを撃つ。

『ここよ!ここを撃って!』

ミオは『撃って』と言った。しかし俺は何も考えずにセンサーへ村雨を突き刺した。陸鳥は唸らせていた機械音をやめ、動きが停止した。それまで周りを囲んでいたハイイーターも姿を消し、静寂が辺りを包んだ。

『おい・・・テメェやりやがったな!』

シゲが腕を高らかに上げ俺を労う。俺は初めてのA級フィールドでフラッグをも仕留めたのだ。



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