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【40万PV達成❤️】絶望のFRONTIER  作者: 泉水遊馬
VANDAL HEARTS 
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VANDAL HEARTS -4

しばらく立呑屋で時間を潰した後、再びステーションへ戻りヴァンダルハーツの帰還を待った。ヒデが口を開く。

「トライして二時間弱…。まだ帰還しないって事は、手こずってるか、うまくいってるか、どちらかだな。」

まだ誰も帰還していないという事は、全員がフィールドにいるって意味だ。俺は祈る気持ちで時間と戦っていた。それから30分後、ヒュウガが帰還してきた。

「ヒュウガ!!状況は!?」

ヒデが怒鳴る。

「非常に苦戦してるよ。俺はフラッグでリタイアした。アキラのやつ俺のケツを蹴ってフラッグに無理やり…」

「そんな事はどうでもいい!!状況を言え!!」

ヒデが感情的になる。それに圧倒されたのかヒュウガが現状を語りだした。

「まずスタートは上々だったよ。ナギサって娘とリョウが前線へ切り込みアキラと俺で援護していた。橋の半分まではスムーズに行けたんじゃないかな。

ただそこからが本当の試練だったよ。ナギサとリョウのバランスが崩れはじめて、援護の体系が狂った。やはりハイプレイヤーのナギサが速い。

リョウはついていけずに、ナギサが孤立しちまった。これじゃあイカンとアキラが一旦引く決断をして300メートルほど下がった。」

ヒュウガはまくし立てるように説明をする。バランスか…やはりツートップとは同じぐらいの力量が必要なんだな…。ハイランダーをジョブとするハイプレイヤーのナギサ。リョウはレベル8。そんなにも力量の差がでるものなのか!?ジョブの強味をまざまざと思い知らされる。

「それで?早く話せ!!」

ヒデの言葉は、エンドオブザワールド全員の声でもある。

「なんだよ、四人で睨むな!でもその後の再アタックでリョウの強さを見たよ。ありゃシュウだな。シュウを見てるようで泣きそうになった。一瞬だがナギサを追い越して前に出てイーターの群れの中に入り、ニホントウを抜いて斬りまくってたよ。

初めて見たよ、無双状態って。次々とイーターが消えていくんだぜ。見ていて怖くなったよ。この隙に今度はナギサが前に出て前進を大きく進めた。」

さすがリョウ!!これがリョウの強さだ。俺はいつの間にか笑顔になっていた。

ヒデは腕組みをして、ヒュウガの話す状況を頭で思い描いている。ヒュウガがさらに説明を続ける。

「ヒデもわかっていると思うが、ハルカを誘導しなくちゃならんからイーターを残さず排除しなきゃいけない。

ハルカは撃てないんだ。殿しんがりにいるハルカが連射したら前にいる俺達に当たっちまうからな。」

そうか…これが難度を上げている理由のひとつだろう。逃げ場のない狭い橋を進むのだ。温存しているはずのハルカを、逆に封じられている。こんな戦場にリョウはいるのか…。

ヒュウガの話を聞きながら、俺は大量の汗をかいていた。ヒデが聞く。

「それでフラッグへはリタイア無しで行けたのか?」

「ああ、なんとかな。はじめのミーティングではリョウが退路確保に残るはずだったが、フラッグステージに行く寸前でアキラが残ると言い出した。

だったら俺が残ると言ったら、あいつ俺のケツを蹴って無理やりフィールドチェンジさせやがった。」

え?アキラが退路確保!?

驚きの顔は、ヒデとダイキも一緒だ。まず司令塔であるパーティーリーダーが、この大ステージで退路確保に回るという発想がなかった。

そしてヒュウガの次の言葉にヒデはさらに驚きを露にした。

「フラッグがアパッチ(飛行系)だった。ヒデ…4年前、俺達が【絶望の橋】を渡った時のフラッグはパットン(戦車)だったよな?」

ヒデは怒号を吐いた。

「くそ!!バカにしやがって!!」

その怒りの意味を理解できない俺は、いつものようにダイキに助けを求めた。

ダイキも額に汗をかいていた。そして苦渋の表情で俺に状況を説明してくれた。

「結果的にハルカさんを温存していた意味がなくなったんだ。飛行系ならヒュウガさんで堕とせる。ここまで戦力を削ってきた苦労が無意味だったって事なんだ。」

そういう事か…。って事は…。

「フラッグが毎回違うってことをアキラさんは知っていたって事ですよね?」

俺の言葉にヒデが頷く。続けてヒュウガが言う。

「戦車系ならハルカ、飛行系なら俺、火器系ガトリングならスピード特化のナギサとリョウ。どんなフラッグでも対応できるようにアキラは退路確保に残ったんだ。」

いやちょっと待て、ハルカのジョブであるグランディアはフィールド状況を把握できる能力だ。フラッグの系種もわかるはずだろう。俺はその疑念をヒデにぶつけた。

「グランディアはあらかじめ設定されたフィールド情報を把握できるのであって、ランダムに変わるフラッグの種類までは確認できなかったんだろう。」

そうか…それでアキラは自ら退路に回ったのか…。ヴァンダルハーツのアキラ…さすが大日本帝国で一番のパーティーリーダーだ。

「それで?どう対処した?」

ヒデがヒュウガを促す。

「フラッグステージにもイーターが大量にいてな。しかもハイイーターだ。ハルカとナギサとリョウがハイイーターの殲滅にあたった。


そのおかげで俺はフラッグにじっくりSVDドラグノフの標準を合わせて2発で仕留めた。だがフラッグ殲滅と同時にフラッグの機関砲で蜂の巣さ。俺の戦いはここまで。あとは退路決戦がどうなったかだな。」

締めくくったヒュウガはシャツをめくり腹を見せた。その割れた腹筋に、まるで水玉模様のようにたくさんのリアルダメージのアザがあった。

「そうか…とりあえずお疲れさん。」

ヒデはヒュウガの肩をポンと叩いた。

続いて帰還してきたのがハルカ。疲労感を露にした表情で、俺の肩にしがみついた。

「お疲れハルカ。状況はどうだ?」

ヒデの問いに、

「とりあえず…座らせて。」

と、ベンチに移動した。一息ついたハルカは、

「ヒュウガ、さすがね。たった2発でアパッチを堕とすなんて。」

と、ヒュウガを労った。

「退路はどうなった?」

ヒュウガが問い返す。

「フラッグステージを出たあと、アキラが一人で踏ん張っていたわ。まぁ退路のイーターはたいしたことないんだけど、数が半端なかった。さすがアキラね。あのタフさはジョブだけの力じゃなくて、本人の精神力が大きいわ。」

ハルカが少し肩で息をしながら言った。よほど疲れているようだ。


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