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【40万PV達成❤️】絶望のFRONTIER  作者: 泉水遊馬
VANDAL HEARTS 
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VANDAL HEARTS -3

残されたエンドオブザワールドの四人。あまりにもロビーが混雑でごった返しているので、外に出てヴァンダルハーツの帰還を待つことにした。

「腹が減ったな。飯でも食おう。俺のおごりだ。」

ヒデが昼間っからちょうちんを光らせる居酒屋へ誘われるように入っていく。俺達もそれに続いた。居酒屋といっても昔ながらの立呑スタイル。おでんと串焼きがメインの店だ。

「まぁ一杯いこうや。」

と、ヒデが酒を2つ注文し、アサミは酎ハイ、俺は大好きなコーラを頼んだ。

「う~ん、参加しなくとも一緒にフィールドに行けたらトライの姿が見れるんだけどな。」

ダイキが酒を一口入れて嘆いた。

確かに見たい。

ヴァンダルハーツの戦う姿もだが、トライアル・フィールドがどんな感じか見てみたい。

しかしトライアル・フィールドは接続上限が1である。部外者が立ち入れない聖域なのである。わずか3つのフィールドに世界中のS級パーティーが争うようにトライをしている。かといって混雑しているかといえばそうでもない。S級パーティーなんて世界中で100パーティーぐらいしかいないし、さらにトライアル・フィールドに頻繁に臨めるパーティーはその半数以下である。それにコンプリートを前提としたミッション時間は約二時間ほどだから、もし他のパーティーと被ってしまっても、ニュートラルフィールドで待てばすぐに順番は回ってくる。

大日本帝国では現在ヴァンダルハーツしかS級がいないから、時差のおかげで他のパーティーとフィールド内で会うことも少ない。間違いないなく今日もスムーズにトライできているだろう。

「レイニーデイズが【虐殺の門】への挑戦権を獲たのがフィールドNO.3【絶望の橋】だったよ。」

ヒデがダイキに言う。

「そういえば言ってたね。3度目のトライで成功したって。」

「ああ、最初はフィールドNO.2【殺戮の館】。それがダメでフィールドNO.4【デッド・タワー】、これもダメで【絶望の橋】でやっと成功って感じだ。」

ヒデが記憶を辿りながら話す。

「【絶望の橋】ってどんなフィールド?」

アサミがヒデに聞く。

「モンサンミッシェルって知ってるか?」

ヒデの答えに首を傾げるアサミ。俺は端末を開き検索。

だがいち早くダイキが、

「フランスの?」

と、返答。さすが帝都大学…俺なんて聞いたこともない。っていうか地理は苦手だ。

「そう。フランスのモンサンミッシェルがおそらくモデルだろう。海に浮かぶ砦へ続く長い橋をひたすら戦いながら進む。非常に単純なミッションだが、障害物がないから身を隠す場所がない。そして大勢のイーターが橋を占拠して待ち構えている。その状況で敵の弾丸に身を晒しながら進行していかなくてはならないんだ。」

ヒデの説明を聞きながら端末にモンサンミッシェルの画像を映し出した。これは…逃げ場がない。ヒデの言う通り海に架かる橋を障害物もなく進むなんて「撃ってください」って言っているようなものだ。単純でいて高難度。トライアル・フィールドとは想像を絶する恐さである。

挿絵(By みてみん)i574632

「おっ。速報出てるよ。」

端末を見るダイキの言葉で、一同いっせいにFRONTIERの公式サイトにアクセスする。そのトップページに速報がスクロールされている。

ヴァンダルハーツR-SフィールドNO.3でトライアルスタート。

この速報は主にS級で大きな動きがあった時に表示される。

「始まったか…。」

ヒデが心配そうに言った。

「ヒデはこのミッション、ヴァンダルハーツはどんな策でいくと思う?」

ダイキは興味深そうに聞いた。

「そうだな…。さっきも言ったが、前進するだけでも苦労するフィールドだ。しかし、問題は渡りきった後に、フラッグ戦を行い、再び橋を戻る退路戦があるという事だ。」



え?フラッグ戦もあるの?まぁ退路戦は理解できる。セーブしなきゃいけないから。

ヒデが続ける。

「フラッグ戦があると言うことは、ハルカは必ず橋を渡らなければらない。てことは、だいぶ距離をとった最後方で待機させなければならないから、戦力としては4人になる。次に渡りきった後、退路確保に一人残さねばならない。だから一人もリタイアすることは許されないギリギリのミッションってことになる。おそらく退路確保にはリョウを使うだろう。」

ここにダイキが反論する。

「いや、ヒデちょっと待って。退路確保とはいえ難度の高いトライアル・フィールドだ。一番レベルの低いリョウではなく、ヒュウガさんが適任じゃないかな?」

確かにダイキのいう通りである。往路で身を削り、フラッグ戦で戦力を失うような状況なれば、より確実に退路を確保する事が重要だ。この場合、フィールド経験もありレベルの高いヒュウガが残るのが一番ベストと考えるのが当然である。

「ヒュウガでは意味がないんだよ。」

ヒデの言葉にダイキは

「なんで?」と言いたげに首を傾げる。

「ヒュウガだけ生き残っても意味がないんだ。わかるだろ?」

このヒデの言葉にダイキはハッとした表情を見せた。

ん?どういう事?

さらにヒデが続ける。

「今日のメンバーの中でヒュウガだけは正規雇用じゃない。ってことはもしヒュウガだけ生き残った場合、クリアしてセーブポイントにたどり着いてもパーティーとしてのクリアにはならないんだ。

ならばフラッグでメンバーの盾となった方が有効な戦力と言える。

もうひとつ言うなら、もしリョウが退路確保に失敗してリタイアする状況になっても、ハイプレイヤーが残っていれば退路を抜けられる可能性も高い。特にナギサはスピード特化型だ。ナギサさえセーブポイントにたどり着けばミッション・コンプリート。後のメンバーはリタイアしたって構わない。

だからナギサが必然的にフラッグ戦に参加する立場になる。とにかく行きはハルカを守り、帰りはナギサだけでも逃がすって事が重要なんだ。」

そういう事か…。パーティーミッションは正規雇用のメンバーがセーブすることによりコンプリートとなる。ヒュウガはスラムドッグスのパーティーリーダーだ。パーティーリーダーだけは、移籍やトレードができない。

パーティーリーダーが抜けた時点でパーティーは解散扱いとなり、今まで積み重ねてきたパーティーランクを失ってしまう。パーティーリーダーとはパーティーそのものなのだ。

だからヒュウガは傭兵契約としてでしかヘルプできない。このミッションでのヒュウガは、最悪の場合はメンバーの盾になる事が求められるのである。むしろヘルプというのは総じてこのような覚悟の上で成り立っているのかもしれない。傭兵とヘルプの大きな違いはこの仁義にあるのだ。

しかし、俺は信じている。リョウはリタイアなんかしない。実際、退路確保についたとしたら必ずそれをやり遂げる。リョウとはそういう女である。


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