VANDAL HEARTS -1
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歌舞伎町案内所
決戦の昼、俺は歌舞伎町のインフォメーション的な場所である案内所に立ち寄った。案内所と言っても雑居ビルの1階に作られた簡易的な店舗である。ここの主はテルという20代後半の男。金髪でガラはよくないが、気のいいアンちゃんである。歌舞伎町のすべてを知る男で本職は風俗ライター。この案内所にはボランティアで在籍している変わり者だ。
「よぉシーナ。」
この男は、この街で俺にとって数少ない話し相手の一人で、時間があればここに立ち寄り暇を潰している。俺は買ってきた缶コーヒーを渡しテルの座るカウンターの中であぐらをかいて座った。こう座ることで案内所を訪れる客から死角となりお互い姿を見ることはない。テルとの会話は下世話な話がほとんどだ。ただ経験のない俺は、そんな会話が楽しくてしかたがない。そんな会話の最中、店に客が訪れた。俺からは姿は見えないが、この客がこの街にくるのが初めてだという事がわかる。言い換えるならば、この案内所に昼間にやってくる客は、この街に夜に来る勇気のない電気街住人が多いのだ。
「お客さん、どんなお店をお探しで?俺のイチオシはメインストリート奥の『慰安婦』だね。あそこはコリアン女専門のヘルスだけど、金さえ出せばなんだってできる良店だ。ああ、お兄さんロリ系?だったらここのすぐ裏の『アグネス』がいいぜ。10歳から16歳の女の子しかおいてない究極のロリータヘルスだ。料金は高額だが発育過程のチビちゃんたちの満足いくサービスが受けれるぜ。え?法律的に問題ないのかって?ハハハ!!お兄さんここは歌舞伎町だぜ?なんでもありの街だ。ビビってんならとっととお家に帰んな!!」
客は数枚の割引券をもらい足早に案内所を去る。テルはいつもこんな調子だ。だがこの接客(?)に俺は気持ちよさを感じていた。おもしろい男と知り合えた。テルと話す時間が俺にいろんな知識を与えてくれる。
「シーナ、ソープおごってやるよ。」
テルはいつもこう言う。しかし実際おごってもらったことはない。もちろん行く気もないが。
「じゃあテルさん、行くよ。」
俺は時間を見計らって立ち上がった。
「おう。コーヒーありがとな。」
気持ちもリラックスできた俺は新宿のステーションへと向かった。




