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【40万PV達成❤️】絶望のFRONTIER  作者: 泉水遊馬
UNDEAD -アンデッド-
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UNDEAD -アンデッド--1

未成年者里親制度


大日本帝国が定める未成年の国民に対する保護制度である。戦争孤児、及び孤児と認定され施設にて保護されている未成年者に、一定の基準を満たした成人者が引き取り養う事が認められている。

第三次世界大戦後、戦争孤児が増加。経済的な理由で育児を放棄された子供も多数発生。これらを国の財政だけで養う事は賄いきれず、4年前より執行された法案。少子高齢化もあり、施設の子供たちを引き取る家族も増加にあるが、引き取った子供を性玩具として扱う業者、並びに個人の異常性癖者の犠牲者も増え、問題になっている。

里親審査や里親契約は、各施設が独自ルールで行い、基本的には視察にやってきた里親希望者が気に入った子供を選ぶ。乳児から3才の人格形成前の子供は、若年層夫婦から選ばれることが多いのも特徴である。

里親には毎月里親手当てが支給され、また出された子供にも学費や医療費などの免除を引き続き受けられる。


「シーナ!!空ケースを外に出してきて!!」

ハルカの指示で俺は空の瓶が詰まったビールのケースを持ち上げた。未成年者里親制度を使って、俺は施設を出た。ハルカに里親になってもらったのだ。初めてこの店に来て《従業員募集》の張り紙を見てから、一週間通い詰めハルカを説得した。最初は完全に拒絶していたハルカだが、最後はヒデにも助けてもらい施設を出た。高校に進学した俺は、昼間は学校に通い、夕方FRONTIERでレベルを上げ、その後深夜までハルカの店で裏方として働く毎日だ。まだ16才手前の俺は表で働く事はできない。だから雑用全般が俺の仕事だ。とにかく施設を出たかった俺は、《従業員募集》を見た瞬間、ハルカに頭を下げた。それを見ていたヒデが味方についてくれた事がハルカを説得する大きな武器となった。と言うのもすでにハルカは里親経験者であったのだ。ハルカの承諾にはいくつかの条件があり、

【店での雑用、裏方、その他の業務】

【FRONTIERでのプレイは仕事や学業に支障が無き事】

など、幾項目にもあがったが、これで俺はある程度の自由を得たことになる。忙しい日々だが、俺は施設にいた頃より充実した生活を手に入れた。生きている実感を毎日、感じられるのだ。

ハルカに

「お疲れ様、今日もよくがんばったわね」

と言われる度に嬉しく思い、店で働くアスカやヒカルから

「シーナ、これお願い」

と頼まれればどんな雑用でも進んで実行できる。俺は新しい生活を楽しんでいた。


ハルカの店ONLYオンリー YESTERDAY・イエスタデイは、経営者のハルカを中心に、副店長のナギサ、女子大生のアスカとヒカルがバイトとしてローテーションで入っている。バーテンダーがすべて女性というのがこの店の大きな特長だ。ナギサもハルカを里親としているから、俺の姉になる。女性従業員の仕事はカウンター越しに客の話し相手をしながら酒を作る。この店の客層は、中年から初老といった年齢層が多い。歌舞伎町のメインストリートから外れているこの店は、場末感があり、落ち着いた雰囲気を売りにしているからこそ、この客層なのだろう。アスカとヒカルは女子大生らしく明るく客を持ち上げる。しかしナギサは表情を変えずにひたすら客の話を聞きながら相槌をうっている。このスタイルが、この店の客層にマッチしているらしく一番人気があるのはナギサである。シュートカットに幼さの残る可愛いらしい顔立ち。21才とは思えないロリータフェイスに客たちはメロメロだ。ナギサは普段もこんな感じで、言葉少なく喜怒哀楽を表に出さない。もしかすると遺児としての生い立ちがナギサから表情を奪ってしまったのかもしれないと勘ぐってしまう。

そして、ナギサはヴァンダルハーツの一員でありMサイズのハイプレイヤーである事を聞いた俺の驚きは大きかった。

挿絵(By みてみん)


深夜3時。店が終わって、片付けを済ませるとこの時間になる。俺は歌舞伎町から少し離れた外国人街の自宅に帰る。ハルカが用意してくれた10階建ての古いワンルームマンションの7階が今の俺の寝床だ。わずか4畳ほどの狭い部屋は、小さなキッチンとシャワールームがあり、各階に共同のトイレがある。里親制度の概念でいえば、ハルカの保護下にあるわけであるが、こうやって別の部屋を与えられるケースも多い。ちなみにナギサはハルカと一緒に暮らしている。ここに住みはじめて1ヶ月。ようやく一人暮らしに慣れてきた。このマンションには50部屋ほどあるのだが、日本人はおそらく俺だけだろう。むしろ、この外国人街に近づく日本人は少ない。治安のよくないイメージが強い外国人街。たしかに多種多様の国籍が住み着くこの街は、なにか薄暗く感じる。密集された住居ビルが太陽や月の光を遮っているのだ。しかしいざ住みはじめてみるとけっして異質な街ではなく、皆一生懸命、今を生きている。こんな環境の中、俺は徐々にこの街に馴染んでいった。


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