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2 中学生の私は「普通の中学生」でなくてはなりません。

 俯いてため息を漏らすと、そのため息が白い形になって、ふわふわと風に流されていきました。その景色も美しいと感じ、憂鬱になりました。


「あんずー」


 名前を呼ばれ、私は顔をあげました。友達が手招いています。


「先生いらしたよ、もうすぐチャイム鳴るから、早く行こう」


 体育の集合場所は、グラウンドの端でした。私はグラウンドのど真ん中にいます。走らなくても十分に間に合うとは思いましたが、笑顔で私は駆けだしました。


 高く結んだポニーテールが、左右にふわふわと揺れて、不安になりました。


 かつらであるこの長髪が、ポニーテールの振動のせいで落ちてしまったら、友達はきっと目を丸くさせて言葉を失うのだろうな、と思ったのです。


 本当は、少しだけですが、かつらをとるといった現実離れしたことをしてみたいとも思いましたが、中学生の私は「普通の中学生」でなくてはなりません。


 いつも笑顔で、はきはきとしていて、女の子の友達が多く、男の子と話すのは少し苦手。体育と数学が得意で、英語が苦手な、帰宅部の女の子。


 これが、二年七組三十番、わたくし、雅あんずの姿、であると思います。多分。

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