表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/51

3  「私の正義に基づいて」

 この声は、おそらく館長の声ではありませんが、館長の意思であることは確かです。


 館長は、声さえも私たちに教えてはくれません。会うたびに、機械の向こう側の声は変化しています。館長の声を担当している方が何人いるのかも、よく知りません。

 イチサン曰く、この会社の最重要秘密事項のひとつ、だそうです。


 私の横で、イチサンが返事の代わりに頭を下げました。私も、少し遅れて頭を下げます。


 二人が顔を上げたタイミングで、館長の顔が少し斜めに揺れました。


「今日の仕事を」


 その言葉を合図に、部屋の奥から人が出てきました。背の高い女性です。私は彼女から、紙を受けとりました。すぐに目を通せるほど、内容は簡潔です。


 仕事の内容は、指定された人物の殺害。人物は三人。写真と名前が載っていました。それと、罪の内容も。依頼人は、どこかで見たことのある有名な人物でした。


「その三人、十三番さんの正義の対象なんだよ」


 正義の対象、という言葉に反応したのでしょう。イチサンは少しだけ眉を吊り上げました。


「偶然ですか?」

「偶然だね」


 館長が頷きます。偶然、という言葉に、イチサンはふふ、と笑いました。


「私の正義に基づいて、仕事を遂行させていただきます」

「その調子で。なるべくスマートにね」


 最後の言葉は、館長(の声を担当している方)なりのジョークのようでした。イチサンの仕事は、いつも派手なのです。スマートという言葉には程遠い景色が、今日は見られることと思います。


「四番さん。君も、いつものようにお願いできるね?」


 はい、と私は頷きました。そうして、決まり文句のようなこの台詞を言うのです。


「私の正義に基づいて」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ