表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/51

3 その人こそ、黒路映画館の館長様です。

 古い映画に出てきそうな音を立てて開いた扉の入り口に、私とイチサンは向かいました。


 部屋は、真っ暗で何も見えません。足を踏み入れた瞬間、私たちをまばゆいスポットライトが照らしました。ゴーグルをつけていてもなおまぶしいその光に、私は目を細めます。


 イチサンは、私の隣で、私の歩幅に合わせてゆっくりと進んでくれました。私も、いつもより少しだけ大股で前に進みます。


 照らされた足元には赤いカーペットがひいてあります。広間の床よりも鮮やかな、赤い道を歩いていきます。


 大股で十五歩ほどまっすぐ進むと、階段が見えました。三段しかないその階段の上に、大きな椅子が置かれています。スポットライトが、その椅子に座っている人を照らしました。


 その人こそ、黒路映画館の館長様です。名前は知りません。番号もありません。社員は皆、館長、と呼んでいます。


 館長は、黒い布を体中に巻いています。足先から指先まですっぽりと黒い服で覆っているため、体型はおろか、手の大きさや足の大きさも推測することができません。噂によると、毎日微妙に大きさが異なっているそうです。


 頭にも、シスターのように布をかぶせているため、髪の毛の色も不明です。


 館長は、徹底して正体を隠しているのです。私は、館長が男なのか女なのかも知りません。


 顔全体を隠す仮面が、スポットライトに照らされていました。

 仮面の右目は、私の持っている仮面と同様、眠っているような目をしています。


 左目には、大きな金色の花が埋め込まれており、花の左上にみっつ、右下にふたつ、ピンク色の丸い宝石が埋め込まれています。その宝石が花をつなぐ糸のようで、私はそのデザインがとても好きでした。まるで花の眼帯をしているように見えるのです。


 口は、目と同じ形です。Uの字は、目元にあると眠っているように見えるのに、口元にあると笑っているように見えるため、不思議です。


 綺麗な五枚花びらの下には、涙のペイントが施されていました。そのペイントは黒色です。


 館長の仮面は、眠っているようでもあり、笑っているようでもあり、泣いているようでもあるのです。


 表情が混在しているその仮面の向こうには、どのような人がいるのでしょうか。おそらく、私にとっては永遠の謎です。


 館長の向こう側から、機械を介した女性の声が響き渡りました。先ほど、私たちに話しかけてきた声です。


「早い集合、感謝するよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ