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待っている  作者: 池田瑛
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2回目のバイト⑤

 図書館で借りた3冊目のうち、一番タイトルが面白そうだった本を3分の2くらい読み進めたところで、15時を回った。バイト先に向かわなければならない時間だ。

 借りた本は、自分探しの旅という名の放浪が好きな探偵と、探偵に惚れている助手の車が故障してしまう。そして、偶然通りかかった屋敷の執事に助けてもらい、車の修理が終わるまで屋敷に滞在させてもらうことになる。運が悪い事に、車の修理には数日かかりそうで、数日間は屋敷に滞在しなければならない。そして、探偵が滞在している時に、事件は起こるはずなのだがまだ私の読んだページ迄ではまだ事件は起こっていない。


 車で移動中はぶつぶつ文句をいっていた助手は、豪華な屋敷と執事達のおもてなしで浮かれており、ラブロマンス路線を突っ走っており、助手の頭のなかでは、既に大好きな人との素敵な旅行という雰囲気になっている。そしてこの探偵は、相当鈍い。助手の言葉や行動の節々に「好きです」という感情が詰まっているのに、まったく気付く様子がない。おそらく、この放浪の旅以前からこの探偵と助手の関係は、探偵の鈍さで進展していないのだろう。この本は、ミステリーではなく恋愛小説に分類されるべきではないかという気がして来た。


 電車の中でもこの本を読み続けるが、特に事件が起こる気配はない。残りのページも少なくなってきている。


 それどころか、物語は謎に包まれ始めた。最初の話では、偶然通りかかった執事に助けてもらっただけだったはずなのに、夕食での屋敷の主人と探偵の会話の内容では、古くからの知り合いで、懐かしく思い出話をしている。そして、助手はそんな事も気付くこともなく、その屋敷に偶然置いてあった助手のサイズぴったりのドレスと、豪華料理に浮かれている。

 話の流れがおかしくなっていると思い始めたところで、円山駅についた。小説の続きが気になりつつも、屋敷へと向かう。地面が凍っていたりと、危ないのでさすがに本を読みながら歩いたりはできない。


 それにしても屋敷へ続く登り坂はきつい。最初の5分は平坦な道でよいのだけれど、そこからの15分はずっと登り坂できつい。冬は冬で歩きにくいし大変だろうが、夏も夏でこの坂を登るのは大変だ。来年の夏は大学を卒業しているので、夏にこの坂を登る事はないだろうし、好き好んで登りに来ることもないだろう。


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