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待っている  作者: 池田瑛
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アッティーザ⑥

 玲子は、ずっとだまったま少しずつワインを飲みながら、テーブルの一点を見つめている。


「ねぇ、玲子。あんまり思い詰めないでね」


 玲子はテーブルから私へと視線を移して、にっこりと笑った。


「有沙、ありがとう。私も、彼氏を作っちゃおうかな」


 さすが玲子、思い切りがいい。悩んでいたという割に、意外とあっさり解決してしまった。私は実は、聞き上手なのだろうか。今迄の人生で、悩みを聞いてもらったことのほうが多い気がするが、玲子が明るくなったのであればそれでよいと思う。


「玲子、思い切りがいいね。彼氏になって欲しい人はいるの?」


「徹君。親友からの略奪愛?」


「はい?」


 思わず、大きな声が出てしまった。


「冗談よ」


 玲子が、得意げにワインを飲む。


「それは分かってるけど、いきなりだったから」


「ごめんなさい。本当に冗談」


「私はまじめに玲子の相談になっていたのに、いきなり冗談言わないでよ」


「ごめんなさい。でも、私も彼氏を作って、他の男とは縁を切るわ」


 玲子は携帯をカバンから取り出して、メールを打ち出す。告白のメールか縁切りのメールを作っているのだとしたら、玲子の行動は早すぎてついていけない。


「よかったね。悩みが解決したみたいで」


 玲子は、携帯をカバンにしまい、グラスに手を伸ばした。


「有沙、ありがとうね。本当は、少し怖いんだけどね。年齢、イコール、彼氏がいない歴ともついに、さよならか」


「いままでずっと付合ったことはなかったの?」


「いなかったわよ。生まれてからずっと」


「でもずっと欲しかったんだよね。彼氏ができないの、なんて悩んじゃって。落ち込む玲子、可愛かったなぁ」


「いつも可愛いから、そんな特別じゃないわ」


「よく言うわね。彼氏いない歴イコール年齢さん?」


 玲子はちょっとむっとした顔をした。


「告白された数は私の方がきっと多いわよ?」


「彼氏がいるか、いないかの話だよね?玲子は数多の男に告白されて、彼氏は結局できたのかな?」


 玲子がしまったという顔をした。久しぶりに玲子に勝った。


「そうね。結局いままでできなかったわね。でもすぐに有沙よりもたくさん彼氏を作って見返すから、覚悟しなさい」


 彼氏の多寡を競う気はないし。玲子が思考が、だいぶ、道を踏み外しているような気がする。


「いやいや、私に彼氏はひとりしかいないし。そもそも勝負していないし。玲子のその体だけの関係の人達を一度に彼氏にするとかはやめてよ?」


「分かっているわ。冗談よ。乾杯しましょうか」


「いいよ」


 私たちは、グラスに入っているワインを飲み干した。玲子が私と玲子のグラスにワインを注いでくれた。やっとボトルも空になった。異性の話へと話題がそれて、ずいぶん話しがそれてしまった。


「玲子の彼氏ができないという問題は解決したけど、玲子の悩みはなんだったの?」


「私にはたくさんの悩みと苦悩があるけれど?」


「はいはい。小説が書き上げられないって話よ。いろいろと話が脱線しちゃったけど、このことを悩んでいると思ったのだけれど」


「そうよ。それを話したかったのに、話題を色恋沙汰に、話題を変えられて。私の淫靡な私生活が暴露されてしまったわ」


「玲子が自分でぶっちゃけたんじゃない」


 時計を見るとまだ八時半過ぎ。蟒蛇な玲子は、まだ飲めるだろう。まだ飲むかもしれないな、と私は覚悟した。明日は、昼から授業だからまぁ、問題はないだろう。徹も麻雀しているから、徹の家に行く訳にもいかないだろうし。


最後まで読んでくださってありがとうござます。


いまさらですが、玲子の会話文の句読点の多さは、玲子の独特のゆっくりとした口調を再現しようとトライしているものです。読みにくいものとなっている点、大変申し訳ございませせん。

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