卒業旅行のお金貯めなきゃ
「卒業旅行のお金貯めなきゃ」
有紗は、ドライヤーでショートカットの短い髪を乾かしながら呟いた。
先週、女子ラクロス部の学生全国大会で負けた有紗達は、部活を引退した。
卒業まで後3ヶ月、残りの大きな行事は、追いコンと卒業旅行のみとなっていた。
追いコンは、毎年居酒屋北海道の大広間を借り切って、大宴会が開かれる。
有沙は、お酒が強い方ではないので、3年生まではいつも酔い潰れていた。
今年は、後輩の一発芸を見て、面白かったらお酒を飲ませ、つまらなくてもお酒を飲ませる。
卒業旅行は、沖縄にしようとみんなで話し合って決めた。
雪が降り積もった北海道から、南国へ。飛行機万歳、ライト兄弟万歳。
美ら海水族館でジンベイザメが私を待っている!徹と一緒に見た映画の舞台、
ひめゆりの記念館も見に行きたい!でも問題は、お金がない。バイトをまた始めなきゃな。
朝練ももうないんだからコンビニの深夜バイトもありかな。コンビニ寄って情報誌買って行こう。
そんなことを考えてながら、1限目にはまだ早いが、早起きの癖が抜けない有沙は、早々と家を出た。
アイスバーンの道路を愛用のママチャリで進んで行く。氷の上を自転車で走るのも、この4年間で慣れた。
学部棟から教養棟に移動するの、歩いていたら間に合わない。休み時間の15分で2駅分の移動をしなきゃいけないキャンパス。
出欠確認を授業開始にする教授の講義は厄介だ。
読んでくださいましてありがとうございます。初めての作品です。精進して、なんとか完結までがんばりたいと思っています。