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第六夜


琥珀は千優から編んだものを受け取りそれを御影に贈り続けていた。


そんなやり取りが八回ほど続いたときに御影はぽつりと零した。会いたいと。


その言の葉に琥珀は微笑んだ。もう会っているのですよ。


そう囁くことはせずに千優と御影が会う日を選んで御影はその日をとても楽しみにしていた。


それを見つめる琥珀の瞳は慈愛に満ちていてそんな琥珀を千優はお母さんに見えるとからかっていた。


そんななかだった。琥珀が血を吐いたのは。琥珀は迷うことなくナースコールを押した。


そして病状が悪化していることを主治医から告げられた。やはり両親はそれでも来なかった。


琥珀はそのことを二人には伝えなかった。そして微笑んだ。終わる哀しみをその心に隠してただ微笑む。


もうすぐ二人が会う日が近づいていた。その日まで生きられることを琥珀は望んでいた。


それが叶ったらもう生きなくていい。二人が幸福になるのを見届けられたらもうそうひそかに祈っていた。


だからもう少しだけ生きさせて。そう切に願っていた。春は今だ来なかった。


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