第五夜
琥珀は千優が来たときに完成したマフラーを譲ってもらっていた。
そして今日は御影が一人で琥珀のもとに来ていた。
今日も御影は変なタイトルの本を読んでいた。
今日の本のタイトルは「月は何処かその月は」と書かれた結構変なタイトルだった。
その本に興味をひかれながら琥珀はあるものを取り出した。そして御影に話しかけた。
「御影」
その声に御影は顔をあげた。そして問いかける。
「どうしましたか?」
その問いかけに琥珀は微笑み返した。
「受け取ってほしいものがあるんだ」
そしてラッピングされたものを差し出した。それを御影は受け取り首を傾げた。
その仕草に琥珀は微笑ましそうにしながらも御影に囁きかけた。
「ある人から渡してほしいと頼まれたんだ」
「その人は君のことがずっと好きだったそうだよ」
その言の葉に御影は驚いたように目を見張った。そして琥珀に問いかけた。
「どうしてですか?」
その問いかけは何故自分で渡さないのかというものだろう。其れに琥珀は返答をかえした。
「迷惑だとおもうと怖くて渡せなかったそう言っていたよ」
そう千優はずっとその想いを隠してきた。でも気づけて良かった。そう琥珀は思い微笑む。
微笑む琥珀をしりめに御影は大事そうにそれを抱きしめた。そして御影は告げた。
「どうしてでしょうか?とても嬉しいです」
微笑み嬉しさを隠さない御影に琥珀は微笑んだ。これからもその贈り物は君に届くから。そう思って。