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12本目/悪役ポジションの野望

やや、エロ。っぽい単語でるので注意。

 中性ファンタジー+現代日本+魔物娘=ハーレムRPG


 俺。いや、私が転生したゲームは、そんな謳い文句で売り出されたゲームだ。ちなみに、R指定ありのコアなお兄さま型に三万ダウンロードされた作品だ。勿論、俺もそのファンの一人である。


 ゲームの概要を説明しよう。

 主人公のハーレムイケメン野郎は、学園在籍の十年間で様々な能力を成長させ、学園に存在する様々なヒロインと共に絆を深め――ぶっちゃけ、エロイことして――パワーアップしていき、最終的に学園卒業間近の世界征服を企む悪の組織を壊滅させ、学園を守るストーリーだ。


「ぶっとんでますね。お嬢様」

「ええ、一介の学生が世界征服を退け、学園を守る。スタンダードだけど、その突拍子もない世界観は、受け入れやすいでしょう?」

「けど、最初の謳い文句である魔物要素が見当たりませんが……」

「そこは、ヒロインたちよ」


 天使族に、サキュバス、オートマタ、エルフ、人魚、精霊、スライム、ライカンスロープ、猫又、妖狐、竜人、ドワーフは、スタンダードヒロインとして、一部のヒロインには、セットヒロインとしてのキャラがおり。

 例えば、天使族には、学園在籍のための使命とそれを伝える上司としての上位天使がサブヒロインとなったり――

 サキュバスの仕える主の魔人を戦って、物理で陥落ほれささせ――

 水精霊やスライムなどは、自身よりも格上の魔物を倒し、吸収することで性格や能力などが変化――など、様々なパワーアップやバリエーション(主にエロ)を持っている。

 

「色々とツッコミたいところがあるのですがいいでしょうか? お嬢様」

「なに? メリッサ」

「学園って普通三年では無いのですか?」

「ご都合主義。ぶっちゃけ、ハーレムルート開拓するのに、三年は短いのよ。ゲームのチュートリアルとして三年モード、中級者向けの五年モード、ハーレムルート向けの十年モードがあるけど、この世界では、魔物系種族は、不老もしくは、長命だから、学園に十年でも二十年でも在籍することが可能ね」


 主人公であるハーレム野郎も日本系の世界観があるために、日本人としての美形であり、一部、勇者だの神だのの血が混じっているので総じて長命やアンチエイジング能力を持っているご都合主義。また、一つを道を極めるのに三年では短いので、十年だったり……まぁ、全部ご都合主義で片付けましょう。


「では、お嬢様。もう一つ質問なのですが、お嬢様のポジションを教えてくださいますか?」

「私? ラスボス配下の中ボスである吸血皇女・アンローゼよ。あと、あなたは、そのお付きのメイドマスター・メリッサ」


 あと、やはりお色気ゲームなので、私・アンローゼを倒すとそのまま主人公からのお仕置きがされ、主従ともに物理的オハナシがなされてしまう。

 まぁ、主従シチュエーションを味わえるので、割とライトな――もう、婉曲表現はメンドクサイ――エロゲーの定番シチュエーションなのだが、やられる方は、堪った物では無い。

 メリッサに内緒なのは、この子意外と貞操観念が強いのでそう言うことを言うと精神衛生上よくないのだ。


「ですが、主人公とされるハーレムグズ野郎は、一応……お嬢様の許嫁なのですよね」

「メリッサ。あなたも結構言うわよね。まぁ、そうね。親同士の許嫁ね」


 吸血皇女・アンローゼと主人公は、許嫁。婚約者の間柄だ。

 まぁ、よくある悪役を打ち倒し、真実の愛に目覚めるとか言って、ハーレムを開拓する悪意のないナチュラルゲス野郎ではあるが、意外と私は嫌いではない。

 なにより、努力家で頭の切れもよく、けどどこか危なっかしいために……


「はぁ、ほっとけないのよね」

「お嬢様。悪役ではないのですか? 何故、ヒロインのような反応をしているのですか」


 ジトっとした目で見てくるメリッサに、仕方がないのよ。とゲーム開始以前から既に攻略されている私だ。


 ゲーム設定では、始めて会うのは、主人公5歳、アンローゼ240歳の時、血の匂いに惹かれ、独占するために婚約するという暴挙に出た。


 だが、現在の私は、生まれると同時に、婚約を申し込んだ。親に頼んで

 転生の記憶は、生まれた時から所持しているために、不老不死の吸血種の始祖として250年間、戦闘技能の向上とステータスの上昇、またファンタジー日本の財界を牽引し続け、家柄、立場、評価などを高めた上で、生まれたばかりの主人公と円満婚約をした。


「お嬢様。そのお嬢様のいうゲーム内のアンローゼ様の方がまだマシだと思います」

「私の方がまだ誠実よ」

「いえ、世の中、0歳児と婚約とか、ぶっ飛び過ぎです」


 でも、世の中には、姉ショタは一定層の需要があるはずだ。という、はぁ、昔は良かったな。私を姉と慕い、パタパタ歩いて、転んで擦りむいた膝を舐めて消毒……はぁはぁ


「ああ、私のアンローゼ様は、何故このような、嘆かわしい」

「元々私は、このためだけに努力を続けたのよ」


 優雅に血液のワインを口にする。


「さぁ、私の知っている限り、全てのヒロインとハーレム関係を構築し、後は私との対決だけ」

「あの……お嬢様は、悪役なのですが、それらしいことはしてないのですが」

「いいのよ。ハーレムのままだと上位のいる我が家に泥を塗る行為だから、婚約関係の解消を求めるでしょうね」


 だから、ガチンコバトルではなく、そうした形の対立にシフトして私はゲームの強制力をコントロールしている。


「来ましたね」

「ええ、そうね」


 私たちが入室の許可をすると、扉から一人の好青年・というより私の婚約者。兼、ハーレムさんがやって来た。


「アンローゼ。話がある」

「何かしら? お話って……」


 小さい頃は、構いっぱなしだが、学園でハーレムルートを構築しやすいように鍛えた結果、私にやや恐怖を抱いている様子だ。

 ゲームでは、その財力と横暴さで恐怖を覚えさせていたが、どちらかと言うと濃緑と才能による畏怖だろうか。

 クスッと妖しく微笑めば、血の気の引く主人公。


「婚約を解消したい?」

「それは何故?」


 意図的に空間に冷気を生み出し、魔力による圧力を放出する。

 小さいころから私自身の恋愛観として、愛の重要性を説いてきたために、ハーレムの自分を晒すのが恐ろしいのだろうか。確かにそれは私の愛の形であって、愛の形は無限とも答えた。


「あなたを傷つけないため。あなたとあなたの家名に泥を塗らないためだ。俺は、色々な女性と関係を持っている。だから、全部俺に非があると公表して婚約関係を白紙にしたい」

「それは困りましたね」


 ほんと、それは私の本意ではない。私は、一つのために彼を選んだのだ。


「元々、あなたの存在自体が女性にとって毒なことは知っておりますわ。それに、現在の関係全てを」


 驚いたように目を見開く主人公。確かに、私は、学園在籍200年というとんでも学生で常に学園には通っていないが、それでも学園内でイチャイチャしていることくらい耳に入る。と言うか、十年間の間に一度も婚約者の話を耳にしない。ということはあり得ない訳だ。

 ゲームのアンローゼもそれは妄執的に情報を集めては、ハンカチを噛んでいた。


「確か『俺は、みんなを幸せにする!』『みんなを守るんだ!』でしたっけ? あれは、何人の子を惚れさせたことか」


 学園襲撃イベントでは、それで多くのハーレムヒロインがころりと堕ちた。

 私がそれを告げれば、恥ずかしいのか、顔を真っ赤にして、狼狽える。ああ、可愛いなぁ……


「他にも『俺がアイツを助けないでどうする!』『見捨てるなんて出来ないだろ!』『好きって気持ちは嘘じゃない! 絶対に曲げない!』でしたっけ?」


 ほぅ、と一息に言えば、もうやめてくれ、と言う感じで恥ずかしさに身悶えしている。そろそろ終わりにしましょうか?


「立派なことを言うくらいに成長しましたね。五歳の頃は『アンローゼお姉ちゃんを守るんだ』『アンローゼお姉ちゃんに相応しい人になって結婚するんだー』と可愛らしいことを言っていたのは嘘ですの?」

「いや、それは……」

「もともと、ハーレム程度認めておりますわ」

「えっ?」


 私の一言に驚きの声を上げる主人公。できれば、互いの初めてを捧げ合う。なんてことは無理でしょうが、仕方がないですわね。


「メリッサ」

「はっ……」


 私の意図をくみ取るメリッサがすぐさま主人公を捕まえて退路を逃す。

 僅かに服を肌蹴させ、首筋を晒す。


「ハーレムを作るなら私も入れて頂かないと」


 その後は、吸血鬼固有の魅了や発情の能力を使い、主従プレイと洒落込んだ。


 …………

 ……

 …


「お嬢様。なぜ、こんな事を? 正直、私は不要なように思うのですが」

「ふふふっ、これでゲームには無かったお仕置き主従プレイから奉仕主従プレイになりましたわね」

「はしたないです。お嬢様」


 顔を真っ赤にするメリッサに可愛いと思いながら、メリッサの疑問に答える。


「無事学園卒業。そして、ハーレムルート完成だけど、やれば私一人で彼を独占できた。ってこと?」

「はい。そうです」

「それはね。私は吸血鬼よ。吸血鬼がの飲む血は、ワインと同じ趣向品よ」

「はぁ?」


 何を当たり前のような。と言った感じのメリッサ。

 ゲームのアンローゼも同じ、主人公の血を高級ワインのように思っていた。


「そう、彼がハーレムを築けば! 複数プレイの時に吸血鬼固有の吸血と発情の能力を使って、合法的に色々な美少女の血が飲める!」

「まさか!」

「ふふふっ、愛しているわ。私の高級なワインセラー(しゅじんこう)さん」


 後は、彼らが枯れないように、倒れないように、二百数十年の歳月を掛けて財界

で開発した、精力剤、造血剤、睡眠圧縮薬などの副作用のない魔法薬でハーレムたちの夜の生活も満足にさせないと。


「ふふふっ、楽しいわ。次は、子どもたちが生まれないかしら」

「お、お嬢様ぁ!」


 元男、女の子同士も行けるが、今はどっちも行ける口になった。アンローゼの長命人生はまだまだ続く。





主人公:悪役中ボス:吸血皇女アンローゼ

   中ボス補佐:メイドマスター:メリッサ


主人公、ワインセラー計画。また、アンローゼは、相手の血を吸うことで健康をチェックするので、ハーレムヒロインの体調などをいち早く察知する。そのために、いち早くライカンスロープのヒロインが妊娠したのに気が付くなどの場面があるだろうが、それは余談だろう。

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