第1話【異変】
ここから本編が始まります。
基本、主人公である雨月亮の視点で書いていきます。
しばらく性転換や残虐表現やR15部分はほとんどありません。
話数が溜まり次第、用語集なども書いていくつもりです。
俺はいつも通り『E/O』にログインし、時代進行とも前キャラから入れ替わった新キャラつまり前キャラの子供キャラでの初プレイを迎えていた。
今まではヒューマ(人族)のような短命キャラでプレイしていたのだが、継続補償のクエストで特殊NPCの古代エルフ族と結婚できる状況を得たので、10代目キャラ記念にと長寿種族でのプレイも良いかと思い現在に至っている。
まぁ、子供の性別がランダムなのは仕方ないとして、10代目キャラ記念にと初代と同じように自分の名前を付けたキャラが運悪くも女の子なのは残念で仕方ない。
ヒューマの特性は熟知しているが全く情報が出回っていない上にシークレット扱いのNPC種族「古代エルフ族」の特性なんてさっぱり分らない。
分っている事といえば長寿種族、体術も魔法もヒューマ以上の能力がある程度、さらにヒューマとのハーフであるからどういう特性になってるかも分らない。
「ふむ、どうしたら良いものか…」
俺は現在、オーランド大陸にある一国ノースブレイ王国内の自宅の一室がある歴代キャラの持ち家にいる。
『E/O』の世界地図は地球に酷似していて位置的にいえばアフリカ大陸とほぼ同じと言える。
まぁ、位置は同じでも環境は全く違うのだけど…大陸の半分以上は草原残りは山と森が占めていて自然が豊富な環境だ。
ちなみにこの持ち家かなり大きい、歴代キャラの半数は傭兵プレイしていたのでお金が腐るほどあり、アイテムもなかなか良いのが揃っている。
歴代キャラ10キャラの内3キャラは武器職人を極限まで鍛え上げたお陰でオリジナルの武器もそれなりにある。
取り合えず、色んな武器を試してみて一番しっくり来るのを選択しようと思い、我が家の地下倉庫に向かった。
「我ながら中々の壮観だな」
地下倉庫の中は様々なアイテムが並んでいる。はっきり言って一度も使っていないアイテムや記憶の片隅にさえ置かれていないアイテムもざらにある。
取り合えず、あまりにも膨大なので前時代最後の日を全部使ってカテゴリー別に整理したので、どこぞの大商店の店舗内みたいな状態になっている。
一番近くにある棚に目を向けると西洋剣が数十本並んでいて、騎士剣と思われるその内の一振りを手に取る。
「…やっぱり、子供状態だと重いな…これではまともに攻撃出来そうに無い」
手に取った騎士剣を棚に戻し、俺は1つ忘れていた事を思い出す。
「そういえば、初期ステータス確認していなかったな。メニュー…ステータス確認」
俺はそう呟くと目の前に半透明のウィンドウが表示される。
あ、ちなみにこの『E/O』の鯖は、世界共通鯖と国別鯖の2種類があり、今俺がプレイしているのは日本鯖なので日本語表記となっている。
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名前=苗字:アキラ=ローグライト
通名:―
年齢:15
性別:女
種族:ハーフエルフ※
属性:光・炎
主職業:一般人
副職業:―
役割:―
名声:―
序列:―
ランク:―
賞金額:―
利き腕:両利き
流派:月守流居合剣術
流派:―
所属国:ノースブレイ王国(CyberNote王)
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レベル:1
HP:120/120(+20)
MP:90/90(+30)
SP:80/80(+10)
腕力:18(+10)
脚力:32(+20)
体力:15(+2)
器用:16(+5)
敏捷:22(+12)
視力:20(+8)
指揮:5
魅力:20(+10)
突破:3
妨害:1
詠唱:28(+15)
運:11
魔法力:30(+20)
法力:22(+10)
魔力:20(+10)
霊力:28(+20)
神力:5(+5)
呪力:0
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おいおい、ハーフエルフとはいえレベル1でこれって高すぎやしないか…
ヒューマのステータスは良くも悪くも平均的なステータスで確かレベル1の段階ではどの数値も10前後だった気がするが…
ちなみに()内の数値はボーナス値でこの数値を差し引いたのが本来の数値だ。
過去9キャラ分の『血の記憶』ボーナスを差し引いても高すぎる…というかどう見てもこれは種族ボーナスの影響だな。
俺の流派ボーナスは脚力と敏捷にしかボーナスはいかない筈だし、魔法関係のボーナスが明らかに高い。
種族のハーフエルフの横にある※は2つ以上の種族が混合されているという意味だ。
ちなみに今回はヒューマ※と古代エルフの混血種族で、歴代キャラの中にはアマゾネスの血が混じっている。
確か4キャラ目の嫁にアマゾネスでプレイしていたフレンドと結婚したんだっけな。
属性は光と炎か、光は種族属性で炎がキャラ属性だな…髪が深紅で瞳が銀色なのはこの属性のせいと見るべきか。
それ以外に目に付く項目は…ふむ、両利きか、まぁ当然だな。7キャラ目以降のキャラは全て両利きで生まれてきている。
血の記憶様様って事だな。
月守流居合剣術は1キャラ目で創設した自流派だ。
初代と現在のキャラを除いた8キャラで様々な流派と掛け合わせた結果が現在の流派で1キャラ目の月守流とは大分違った流派になっている。
正直、やり過ぎたと自分では思っている。どれも極限まで鍛え上げてから掛け合わせたせいで『E/O』のシステムギリギリの非常に強力な流派になってしまった。
何故、居合を選択したかというと、そこは男のロマンだからだ。他意はない。
補足だが、月守ってのは初代キャラ『アキラ=ツキモリ』から来ている。
所属国の国名の横にある()内はいわゆる運営会社の社名で、月額3000円と少し割高だが国内の環境整備は文句の付け所もないほど完璧で消費税も他社に比べて安いのが魅力。
3キャラ目までは別の国に所属していたが、ころころ月額料金を変更するは、最終的にはアイテム課金とのハイブリットにするはで、結局2度の救済措置の上、運営権利を剥奪され現在のCyberNote社が運営するノースブレイ王国に変更した。
どうせ、税金(料金)のほとんどを自社の利益にした事で国家の運営が立ち行かなくなったのだろう。
それはさておき、このステータスを見た限り魔法系統に進むのが良さそうだ。
霊力がかなり高い精霊魔法を使えって事か…エルフは1回も使った事がなかったから楽しみだ。
後は、護身用にイスカ刀で良いか、流派と相性良いし…
「たしか、脇差が…この辺…に、あった気がするが……あれ?どこいったかな?」
イスカ刀のカテゴリーにある筈なんだけど、見当たらない。
脇差は別カテゴリーだったけかな…はて?
ああ、ちなみにイスカ刀とは、日本刀の事で、この世界の日本に当たる国がイスカ王国という所と言う訳でイスカ刀になる。
「あっ…そういえば、前のキャラの時に知り合った初心者さんにあげたんだっけか…」
他にあったかな~、このステータスでも装備出来るイスカ刀………
俺のコレクションはどれも名刀以上の業物だらけでレベルの低い状態で装備出来るものはなかった。
ま、いつもは露店を適当に見て回って目に付いた装備を着けていたのだが全くない訳ではないので探したらあるかもしれない。
「むぅ…ぉ、おおお、そういえば武器職人キャラの時、試しでロッドにイスカ刀を仕込んだっけか…」
確かあれならこの腕力でもいける、魔法力の制限があって確か30以上あれば装備できた筈…ぉ、ギリギリいけそうだな。
『E/O』の世界の装備品にはレベル制限はない、能力さえ足りていればレベル1でも聖剣などを装備出来る…
例えばの話なので実際レベル1では聖剣なんて装備出来ない。
ついでに言うとレベルはそのキャラがどのくらい成長しているかの目安でキャラの強さとイコールという訳ではない。
まぁ、それはさておきアレはどのカテゴリーだっただろうか…
「え~と……あれは確か、ロッドのカテゴリーに入れたんだっけか…どれどれ。
あったあった。これだ。よっと!」
量産のイスカ刀を試しでロッドに仕込んだだけだから必要能力はそんなに高くない。
試しを作った後、本番で確か神刀に匹敵する性能のイスカ刀をロッドに仕込んだのがあるが、あれは今の10倍以上の能力が必要だから今は触れないでおこう。
ロッドを手にすると手に馴染む。軽く振るえるし問題はないだろう。
「よしっ、まずは魔法書店に…あ、精霊魔法はエルフから学ばないとだめだったか」
このノースブレイ王国に精霊魔法持ちのエルフNPCはいただろうか…
少し外部サイトで調べてみるか。
と、思った矢先、OasisSpace社から緊急メールが届いた。
開発元から緊急メールなんて珍しい、大体は運営を通してメールが届くのに…
「メニュー…システム…メールボックス…受信メール…開く。む、動画?」
メールを開くと動画の下に詳細な内容が書かれていた。取り合えず動画を見てみるか。
『こちらはOasisSpace社開発総責任者リッチ=セイカーです。
本来なら私どもから皆様に直接メールをお出しする事はないのですが、なにぶん緊急の為ご容赦願います。
今から、数分前16:00丁度にシステムに大幅な誤作動が生じ、現在ログアウトが出来ない状態にあります。
スタッフ一同原因究明と共に復旧作業中です。
何卒、混乱せぬよう少しの間お待ち下さいます様お願い申し上げます。
もう一度申し上げます。何卒、混乱せぬようお待ちください。
それでは、誤作動による影響などはこの動画と共に記しておりますので詳細はそちらをご覧下さい。』
と、ここで動画切れていた。
メッセージとともに後ろからスタッフが混乱…いや作業している怒声や報告などの声が混じっていたので余程の事なんだろう。
で、俺は動画ともに送られてきた詳細の報告を見ていると、見慣れない項目を発見した。
「…五感の接続、禁止事項の解除?」
どういう事だ?五感ってあれだよな、視覚とか聴覚とか痛覚とか……痛覚?
俺はおもむろに自キャラの腕を抓って見た。
「痛っ!」
おいおい、いつもならチクッって程度なのにリアルと変わらない痛さだぞ。
禁止事項…確か下着とかは脱げない仕様というか禁止されていた筈、1年ほど前ハックして下着を脱げるようにしたプレイヤーがいたが、数時間後にはBANされていた。
脱げない仕様の筈なのに性器の部分もしっかり作りこまれていたのには驚いたっけかな。
…試しに脱いでみる?…いや道徳的に不味い…仮想とはいえ15歳未成年女の子の体だ。
でも、試したい…
俺は初期装備である長めのスカートを脱ぎ、上を向きながらパンツに手を掛け脱いでみた…。
腰の辺りがスゥスゥする…これは確実に脱げている。
「はぁ~虚しくなってきた。俺は何やってんだろ…」
さすがにこの姿は間抜けすぎるパンツを上げ穿きなおし服を着なおす。
んっ?ていうか、あれ?今更ながらいつもの声と違うような…なんていうかスピーカーやヘッドフォンを通して聞こえる声ではなくて、そうリアルの自分が喋って聞こえている感じ。
まぁ、リアルの俺の声はこんなに可愛らしい声ではないんだけどな。
「っていうか、俺どうやって操作しているんだ?」
上手く言葉で表現出来ないが何かで操作していると言うよりは、リアルと同じように無意識に身体が動いているような感覚だ。
他にも気になる項目はあったのだが…取り合えず、ログアウト試してみるか多分無理だけど…
「メニュー…システム…ログアウト」
……………やはり、無理か…何のアクションも返って来ない…
「はぁ~これから、どうするかなぁ」
どうだったでしょうか?
駄文かもしれませんが、これから宜しくお願いします。