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『E/O』イオ  作者: たま。
第2章【救済編】
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第38話【紹介】

長くなりそうだったので分割しましたので、短いです。

「それでは、出発前に自己紹介しましょうか?

皆さん、それで宜しいですか?」

「ああ」

「異論はない」

「ええ」

「はい」


昨日の夜に隊分けした際、顔合わせしかしかしていなかったので、出発前に自己紹介して

お互いの事を少しでも分かり合いましょうという事だ。


「では、僕から自己紹介しますね。

皆さんの中には知っておられる方も多いと思いますが、

改めましてイスカ王国サイキ第三騎士団で副団長をしています。

シンゴ=アズマです。

法術師をしています。

…えーと、あとは…そうですね。レベルは118です。

この隊の隊長に任命されましたの宜しくお願いします」


やけに丁寧で物腰の柔らかそうな青年だ。

得物は、ロッドか…。


「あの…質問良いです?」

「ええ、良いですよ」

「前から気になっていたのですが、アズマさんの序列ってどの辺りなのです?」

「序列ですか…。僕やシチグサ副団長は、白騎士ですね」

「白騎士…へぇ~、あ、有難うございます」

「いえいえ」


白騎士って事は、中堅の騎士って事か。

それなら20歳前後で副団長も有り得るか…。

ここから上が上がり難いが…。



「次は私だな。

エルゼイ=アルヴィオンだ。

魔術師をしている」

「……」

「……」

「……」

「…え?それだけですか」

「ん?それだけだが何か?」

「あ、いえ、もう少し何かないですか?」

「ふむ、そうだな。

趣味は、旅行だ…」

「…そういう事じゃなくてですね」

「ん?ああ、傭兵をしている。

先ほども言ったが旅行が好きなんでな。

自由に世界を行き来できる傭兵になった訳だ。

……後は、そうだな。

風属性の魔術は苦手なんだが、それ以外の属性は平均以上に出来る。

……レベルは…149だ。以上」


基本、無口だが喋りだすと余計な事まで喋りだす性格か?

それにしても、Lv149か…もうすぐカンストじゃないか。


「はいはい、次はウチや。

アイリス=ブルクハルト言うねん。宜しゅうしてなぁ。

レベルは、142で精霊使いや。

見て分ると思うけどエルフやさかい、レベルだけは高いねん。

法術とか棒術とか少し齧ってるけど、化けもん相手には使いもんならんわ。

まぁ、精霊の方は期待してええよ~。

信頼度オールMAXやしね~。ニッシシシ…」


エルフというイメージをぶち壊す生粋の関西弁だな。

法術と棒術は過小評価なのか…それとも本当に齧ってるだけなのか。

まぁ、精霊の方は自信満々に言うだけの期待はして良いかもしれないな。



「んじゃ、次はボクですね。

アキラ=ローグライトです。

レベルは、103で精霊使いです」

「おお、同業者やね~」

「えーと、皆さんよりもレベルは低いですが、法術と魔術も使えます。

後…、神術も少し使えます」

「え、ちょっと待て下さい。

アキラさんは、ハーフエルフという事ですよね?」

「そうですね」

「でも、神術は、いくらハーフエルフでも使えないでしょう?」

「えーと、3年間課金報奨クエストって知っていますか?」

「知っていますが…。ま、まさか、アレをクリアしたのですか?」

「ええ」

「す、すごい。アレをクリアした人がいたなんて…」


誰でも取れるようにしない為、長編&難易度が高く設定されていた3年間課金報奨クエスト。

俺を除いて…知り合いでクリアさせたプレイヤーはいなかった…。

公式掲示板でクリアしたと公言していたプレイヤーは1人だけいた。

こいつの書き込みのせいで9割方のプレイヤーは受ける前に諦めたと言って良い。

ま、内容は、伏せておくが俺がもし書き込んだとしても同じ事を書いたと思う。


ああ、ちなみにだがE/Oのプレイヤーは、滅多にクエストの内容などを書き込む事はない。

何故ならE/Oの世界では、情報=金なのだ。

未発見の情報などは高額で取引される。

その仲介をしているのが、情報屋という訳だ。

ついでにいうと、情報屋は公式の職業だ。

ユーザーが勝手に名乗っている自称職業ではないと言っておこう。

ただ、情報屋になる条件は少し厳しい。

まず、副業を持てない。

騎士や傭兵などをしながら情報屋にはなれないし、一般人からでしか転職できない。


「ん?ちょっと待て。確か、ローグライトとか言ったな。

もしかして、君は、雷迅か?」

「あ、いえ。雷迅の子供…」

「誤魔化さなくても良い。なる程、そういう事か。

それなら納得できる」


何か納得されてしまった。


「凄いですね。雷迅ですか。

期待していますよ。アキラさん」

「あ、いえ、期待されるのは嬉しいのですが、過大評価ですよ。

確かにボクは、かつて雷迅としてヴォルトでプレイしていましたが、

今はアキラ=ローグライトなんです。同じようにはいきませんよ」

「そうやねぇ~。

うちが知ってる雷迅って言ったら純近接職だった気がするし、

どう見てもアキラちゃんは、支援職やしねぇ。

何で支援職にしたん?」

「まぁ、何て言うか、古代エルフのお陰で魔法関連の成長補正が軒並み高かったから…?」

「なるほどねぇ」


…というか、アキラちゃんだと!?


「あ、あのアキラちゃんって言うのはちょっとやm…」

「あかんの?…むぅ………うん、やっぱりアキラちゃんって感じがするわ」


ガクッ…。

感じって何だよ…感じって…。


「ニッシシシ。諦めも肝心や」

「そ、そうですか…」



「あ、あの私の自己紹介に移って良いです?………ひぅ…」


俺を含んだ全員の視線が彼女に注がれる。

それに気後れしたのか彼女の雰囲気が萎んで見える。

背が低く上目使いなせいもあって恥かしがり屋の妹キャラにしか見えない。


「え、ええ~と、あの…その…ぁぅ…」

「あああ、すみません。どうぞ、どうぞご紹介下さい」

「は、はい。えーとマルカ=ヴァイオリ……じゃなくて、

えーとその…マルカ=ヴァイリトンでずッッッッ!??」


最後の”です”で舌を噛んだ様だ。


「………あの、その、ごめんなさい。

Lv98の魔術シュをしていまシュ………す」


何だ、この抱きしめたくなる様な生き物(※人です)は…。

しかも、最後言い直してるし…。


「マルカさん。得意属性って何ですか?」

「あ、えっと…。ホ属性です…」

「ホ属性???」


ホ…ホモ属性…BLか!?

な、何と言う予想だにしなかった属性なんだ。


「ホm」


「ヒ…火属性です。言い間違いました。

あの、決してホ…ホモとかBLが好きとかじゃないですから!

本当です!!」


自分から言ったら妖しすぎるだろ…墓穴を掘ってるとしか思えない。

まぁ、個人の趣味をどうこう言うつもりはないし、人それぞれだよな。

それにしても、赤らめた顔を両手で押さえ必死に言い訳する彼女の姿は非常に愛くるしい。

今すぐにでも抱きしめたい程だ。


「……」

「……」

「ニッシッシ、好きなのはしょーがないよね~」

「ぁぅ…」

「……え、えーと、自己紹介も終えた事ですし、早速野営地点まで移動しましょう」


若干引き攣りながら、アズマさんは仕切り直した。

目的地である野営地点は、オウミから南西へ20kmほど先にあり、Mobの迎撃地点より5kmほど手前にある。

その場所は、小さな林の中にあるらしく高めの木々が生えており上空からは見え難く丁度良い野営場所らしい。











「僕達が最後のようですね」


他の部隊はすでに一足早く到着しており、すでに野営地でのテント設営をほぼ完了していた。

俺達のテントもすでに設営し終わっており、何か少し申し訳ない気持ちだ。


「それでは、皆さん荷物をテントに置きに行きましょう。

昼食の準備ぐらいは手伝わないと立場がありません」


「ですね」


俺達は早速テントに荷物を置き、すでに昼食の準備に取り掛かっていた他のプレイヤー達に合流した。

メニューは定番中の定番であるカレーで、肉がドラゴンミート以外は至って普通のカレーだ。

ちなみに、ドラゴンミートのカレーは、全耐性レベルが2段階引き上げられる効果がある。

まぁ、ドラゴンミートと言っても食肉用の養殖ドラゴンなのだが、飛龍などの大きなドラゴンではなく

見た目的に言えば小型の恐竜といった感じだ。

ちなみに、養殖ドラゴンは、改変後にプレイヤーが『Mob調教』の繁殖を応用して新たに作り上げた。


これなら、俺でも何とかな………だ、駄目だ…俺には料理をするには最大の障害『料理オンチの才能』があるじゃないか。

ど、どうする…。

今更、出来ませんなんて言えない…。

取り合えず、アズマさんに相談を………だ、駄目だ…。

昼食を作っている集団より少し離れた木陰でアズマさんは、今シチグサ副団長にお説教を食らっている。

到着が遅れた事だろうけど…確かシチグサ副団長は、アズマさんより年下だよな…。


「あれ~?どうしたん、アキラちゃん。

手ぇ止まっとるよ?」

「あ、アイリスさん。

今更ですけど、、ボク『料理オンチの才能』っていうスキルを持ってまして…

料理を作ると必ずバッドステータスが付くんです…」

「にゃ~るほどねぇ。

ニッシシ。アキラちゃんは、ほんまおもろいスキル持っとんな~。

いよっし、ウチが話付けて来る」

「え?ちょ…」


話を付けるって誰に?

俺の返事を待たずして話を付けに行ったであろうアイリスさんを目で追っていくと、

アサクラ騎士団長に親友の様な振る舞いで挨拶を交わした後、本当に話を付けていてくれた。


「いやぁ~、話の分る人で良かったわぁ」

「あの…アイリスさんってアサクラ騎士団長とお知り合いなんですか?」

「まぁねぇ。昨日からの知り合いや」

「へぇ~そうなんですか……………!?

って初対面じゃないですか…それ」

「ニッシッシ。そうとも言う」


その後、料理に加わる事はなく、専ら頻繁にアイリスさんが「味見してくれへん?」と

小皿を持って来ては少し雑談などをしていたらいつの間にか料理が出来上がっていた。


昼食の時間中、討伐前だというの緊張感が漂って折らず、まるで本当にキャンプをしに来た様な雰囲気が漂っていた。


「ニシシ。うちのお陰で暇せんかったやろ?」

「そう言うのは、言わぬが花ってやつですよ」

「あちゃ~。そうやったわ~」


何でもかんでも楽しそうな人だ。

まぁ、そのお陰で退屈せずに済んだ訳だし、感謝していますよ。

それにしても、量も然ることながら流石ドラゴンミートのカレー、

非常に美味しく頂けた。



「よ~し、皆食ったな。

片づけが終わったら、早速準備に取り掛かってくれ。

ああ、それとアキラ=ローグライト、君が中心となって片付けを頼むぞ」


…ですよね……。

新キャラいっぱい登場です。

討伐話中はこれらのキャラが中心となって進めますので、

前話のイザベラさんは、しばらくチョイ役になりそうです。

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