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『E/O』イオ  作者: たま。
閑章【精霊編】
41/49

第32話【信頼Ⅱ】

一ヶ月ほど放置していてすみません。

相変わらず時間が取れません。


誤字脱字・表現の誤りにはご容赦願います。

※ザキラ視点で進んでいます。

――ノックのおっさんが契約した日――



嬢ちゃん達は、今回廃村近くに突如現れた洞穴の調査に向かっている。

というか、最近俺様を召喚してくれねぇ…。

戦いたくてウズウズしてるのによぉ。

契約直後はちょくちょくと召喚してくれていたが、最近は自分を鍛える為に俺様達精霊の力を余り借りたくないらしい。

まぁ、野営時の護衛として召喚をしてくれてはいるが、ぶっちゃけ一度も野営の時に襲われていない。

ここだけの話、俺様と嬢ちゃんとの信頼度は契約してから1段階ぐらいしか進んでいない。

これでジャックの野郎の方が召喚される回数が多いとかなら不満がもっとあったろうが、奴も同条件なので目を瞑ってやろう。


おっと、廃村とやらの入り口に着いたらしいな…。


「どれどれ…」


(これって…廃村の規模じゃないよね…)


どう見ても、村ではなく街に近い規模じゃねぇか…。

確か依頼書には30年前までは村…街としても機能は働いていたらしい。


(確か…廃村になった理由は……)


ん、アヤカの姐さんと会話しているようだな…。

まぁ、簡単に俺様が要約してやるとだな。

鉱山から溢れ出た瘴気が近隣の野獣を魔獣へ変貌させ大規模な混乱が生じたらしい。

で、瘴気の漏れを何とかしようとしたが結局抑える事が出来なくて、街の唯一の収入源である鉱山を厳重に封印したって事らしい。

まぁ、そのせいで廃村…になったって事だな。

んで、今回の依頼は、発見された洞穴が封印した筈の鉱山と繋がっているか否かを調べろって事だ。


俺様は大丈夫だと思っている。

嬢ちゃんの視点からでしか俺様達精霊は外の世界を見る事が出来ないが、見た感じ魔獣はいないように見える。

低レベル帯のウルフの群れがちらほら確認出来るが、嬢ちゃん達のレベルに警戒して一定距離内には絶対に入って来ていない。

少なくとも廃村には瘴気が漏れていないという事だ…。


まぁ、もし鉱山と繋がっていたら俺達精霊は何の役にも立てないのだがな。


簡単に言えばだな…。

俺様達精霊を構築している霊力は、瘴気に相殺されてしまい現界出来ず消滅するのだ。

瘴気は人間や獣にとって毒だが、俺達精霊にとっては猛毒って事だ。


少し、昔話をしようか…。

今から数万年前…多分2・3万年前ぐらいだろうか。

俺様達精霊が棲む精霊界と瘴霊界で大規模な戦争があった。

ちなみに、その頃の人間界はヒューマとエルフ(現古代エルフ)の間で戦争があったって話だが、まぁ今は良いだろう。



……精霊界も瘴霊界も人間界と表裏一体な関係だ。

稀にその3つの世界が繋がる事がある。

俺様達精霊は、”時界の裂け目”って呼んでるが…どうでも良いな。


人間界と精霊界が繋がっても余り影響はない…。

何故なら精霊界を構築している霊気は、人間の体内にも存在するからな。

エルフだけでなく他の種族にもな……目に見えてはないかも知れないが微量だけど確かに存在する。


それでも全く影響がないって訳でもない。

さすがに一度に大量の霊気を浴びると人間や獣に影響はある。

というか、俺様達精霊の仲間入りしてしまう可能性がある。

まぁ、色々条件が重ならない限り滅多にはないがな。

精霊界との”時界の裂け目”は、みんなも知っているあの”石碑”で抑えていたりする。



次に瘴霊界だな。

人間界には元々瘴気というものは存在しない。

だから、人間界の生物にとって非常に命の危険性を孕んでいる。


瘴気を吸うと生物はどうなるか…良くても変貌・変異だ…。

簡単に言えば魔獣になるって事だな。

……魔獣も元を辿れば人間や野獣だったりする…。

まぁ、全部が全部って事はないがな。


悪くて、魂レベルでの死亡だ。

瘴気を吸い込んで死亡した場合、直後の蘇生魔法でも生き返らせる事が出来ない。

ちなみに、瘴気で負った傷は回復できず、最悪擦り傷から死亡に繋がる可能性もある。

運が良ければ、瘴霊に変貌する可能性もあるだろうが万が一にもありえない確率だ。

瘴霊界との”時界の裂け目”は、その周辺一体完全封鎖するしか方法はない。



大分、話が逸れたな。

その大規模の戦争だが…精霊界と瘴霊界の間に巨大な”時界の裂け目”が発生した事で起きた戦争だ。

数では精霊が圧倒的に多いが、個人の戦力差は非常に大きくリードされている。

そうだな…。

分り易く言えば、1:100ぐらいの差はあるな。

そう……精霊では瘴霊には敵わないし、瘴霊界から漏れた瘴気の性で水際応戦も出来ない。

で、戦争開始から数日で精霊界の半分は瘴霊に制圧されてしまった。

結果的に言えば、7人の精霊王の命と引き換えに”時界の裂け目”を封じて戦争は終了した。


で、その裏には人間…いやエルフとの契約の秘話が隠されていたりする。

この戦争前にエルフの精霊使いはいなかったと言えば分りやすいか…。


7人の精霊王は、瘴霊に敵わないと判断し人間それも俺様達精霊に存在が近いエルフに協力を申し出たんだ。

最初の方に言ったと思うが、当時エルフもヒューマとの戦争状態だったから当然断られたらしい。


そこで需要と供給…持ちつ持たれつだ。

ヒューマとの戦争に勝つ為に精霊はエルフに力を貸すと約束し、その代りエルフも精霊と瘴霊との戦争に力を貸してくれってな。

で、エルフの中でも特に霊力の高い者達を”時界の裂け目”を通じて精霊界へ呼び寄せ戦争に参加させた。

当時のエルフは霊力を重要視していなかったから、数千人のエルフが精霊界に行ったらしい。

まぁ…霊力の高い者は、戦力外だったのが功を成した感じだな。


数万の精霊と数千のエルフが協力し7人の精霊王が”時界の裂け目”に辿り着くまで必死に抵抗したらしい。

ん、7人の精霊王は”時界の裂け目”に何をしに行ったのかって?

自身の身体を巨大な霊力の塊を見立てて”時界の裂け目”を埋めに行ったって話だ。

7人分の膨大な霊力は、瘴気を相殺し見事”時界の裂け目”を封じ先ほども言ったがこれで戦争は終了した。



話はここで終わりではなく、後日談的なものがあってだな。

今度は、ヒューマとエルフの戦争に精霊が介入しエルフの勝利で戦争が終了したらしい。


もう知っていると思うが、自然界には存在しないがエルフの体内に存在する霊気を糧する為、

俺様達精霊とエルフの間で魂・精神レベルでの契約・誓約が成された。

運命共同体みたいな感じだな。

これが、精霊使い誕生秘話って事だな。


前にも書いたが人間界と精霊界”時界の裂け目”が人間界に全く影響を与えない訳ではないので、

世界各地にある”時界の裂け目”を微量だが霊気を吸収する特殊な石(これは精霊界にしかない)で抑えた。

封印ではないので、精霊界と繋がったままだ。

戦争で生き残った精霊の種族ごとに、その石…岩を守護するという名目で種族から1人ずつ人間界に留まっている。

で、エルフからの協力要請があれば、精霊は出来る限りそれに応じ契約をするって事だ。

1人契約したら、また、種族から1人選抜されまた人間界に留まるを繰り返す。

これが、石碑誕生秘話って事だな。


ちなみに、霊気を吸収する特殊な石は、当時の人間界では精霊石なんて呼び名で呼ばれていた。

オリハルコンっていう呼び名で呼ばれている精霊石もあるらしいが同一の物なのかは知らねぇ。

いや多分、違うだろうな…。


ちなみに、俺様は戦争には参加していない…というか、俺様は生まれていない。

俺様の年齢は精々3千年ぐらいだしな。


だから、これは全て聞いた話だ…。真偽ははっきり言って知らん。



おっと、良い忘れていた…というか、こっちが本題だ。

多分、嬢ちゃん達は知らない事だ。

瘴気ってのは、先ほども言ったが、人間や魔獣には毒……

実はそれ以外には1つ懸念する事がある。


濃度が濃く大量の瘴気は、瘴霊界から瘴霊を召喚するのに使われる。

まぁ…瘴霊の召喚は人間の間では禁呪指定されているから、万が一程度しか可能性はないだろうが

最悪な事態も考えておかなければならないと思うのだが…知識としてないなら対応は出来ねぇだろうな。


俺様達精霊と違い、瘴霊にはたった一つの感情しか持ち合わせていない。

それは…憎悪だ。

しかも、生への憎悪だ。

いわば、生物全てが殺戮の対象だ。


召喚主の命令なんて聞きやしない…むしろ、召喚主も殺戮の対象に入っている。

呼び出したが最後、暴虐と殺戮の限りを尽くし命尽きるまで暴れまわる。



って、おい。

何でもう村の探索が終わって、例の洞穴に来ているんだ?

え、そんなに長話してたか?


というか…


「そんなに無警戒でズカズカ洞穴を進むのはやめておけ!」


窓から見た限り、この洞穴それほど大きくはない。

高さ2m、横3mと小さな洞穴だ。

魔獣の気配もなさそうだが…。


(ん、どうした?ザキラ

魔獣の気配は全くないから、大丈夫だ)


「そうじゃねぇ。

瘴気の事を心配してんだよ!

それと、開けた空間は気を付けろよ!」



開けた空間に巨大な魔法陣があれば、近くに瘴霊がいる可能性がある。

まぁ、入り口から今現在の位置まで瘴気の残滓はなさそうだから大丈夫だとは思うが…。



(さっきから変だぞ…ザキラ

って、あ…開けた空間だ)


「何!?嬢ちゃん魔法陣とかはないか?」


暗くて、この小さな窓からでは外の様子が分らねぇ…。

が、それほど大きな空間ではなさそうだな。

高さは相変わらず2mほどで、横は5mぐらいで奥行きは10m……

以上はあるようだが、そこまで広くはなさそうだ。


(あ…)


「魔法陣か!?」


(穴ぼこだらけだ……………それと石碑?)


何!?

俺様は目を凝らして小さな窓を凝視した。

確かに、石碑に見えるな。


何か拍子抜け………いや、魔法陣も”時界の裂け目”もなくて良かったぜ。







で結局、嬢ちゃんはその石碑近くにいた地属性の下位精霊ノックと契約し

何故かジャックの野郎の横に座り酒を煽っている。


「ホッホッホ。宜しくのう。あんちゃん達」



おっと、忘れていたぜ。

このおっさんの名前はノックさんだ。


「おい、何でこのおっさんだけ”さん”付けなんだよ!」


ジャックの野郎は良いとして、俺様にも”さん”付け………

いや、今更、嬢ちゃんに”さん”付けされても寒気しかしねぇな。


(ん、何となく?)


どうだったでしょうか…。

ノックさんとの契約話と思いきや、精霊と瘴霊についての話になってしまいました。

あまりにも長くなってしまったので、ノックさんとの契約話は端折りました。

あ、端折り過ぎたかな…。

次の話で閑章は終了します。

今回で終了するつもりでしたがもう少しお付き合い下さい。

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