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『E/O』イオ  作者: たま。
閑章【精霊編】
40/49

第31話【信頼Ⅰ】

誤字脱字、表現の誤りにはご容赦願います。


新規閑話です。

ザキラ視点で話が進みます。


――俺様が契約した日――




この兄ちゃんやるじゃねぇか。

ま、嬢ちゃんのレベルが低すぎるからかも知れねぇが…。


死なれては困るし手伝ってやるかな。


(俺、どうする!?)


さっき、契約してやったのに、もう忘れてやがるのか…。


「はぁ~、俺様の事忘れてるんじゃないだろうな…呼び出せ!嬢ちゃんが逃げる時間ぐらい稼いでやんよ」


俺様は、嬢ちゃんの中で叫んだ。

ちなみに、中とは嬢ちゃんの精神世界いわば心の中という事だな。

契約した精霊は全てこの中に待機する感じだな。

この精神世界は召喚者(契約者)によって大きさ・内装などは違うらしいが、俺様は嬢ちゃんが初めてなので他のは知らねぇ。

嬢ちゃんの場合は、真っ白い空間にドアとベッドと机があり、机の上には見た事のない箱がある。

その箱には窓があり、外の世界が嬢ちゃんの視線で見る事が出来る。



(我は望む。我が親愛なる…風の精霊ソードレス。我の呼びかけに応えよ!我の名はアキラ=ローグライト!汝の名はザキラ!)


おっしゃ、要約出番だぜ!

俺様の背後にあったドアが自動的に開く。

ここから外に出られるという事だな。



俺様は、颯爽と嬢ちゃんの目の前に現れる。

俺様、カッコ良いぜ!


「やっと、自由に動けるぜ…嬢ちゃん全て俺様に任せな」


俺様は少し乱れたこの自慢の髪を整える。

義兄のオールバックも悪くないが、やはり俺様にはこの髪型が一番に似合う。


「なんだ。こいつ…雑魚臭しかしねぇ…」


!!??


「なっ!?失礼な奴だ…」


ふ、ふん、俺様が出来る漢だという事を分らせてやるぜ!


「おら、嬢ちゃん早く逃げな…」


俺様は嬢ちゃんを不安にさせないように爽やかな笑顔で促した。

ん、誰だ?”爽やか”で失笑しやがった奴は…。


兄ちゃんは油断している様だし、俺様でも何とかなるだろう。

ちなみに、俺様の能力をレベルで現すと多分30前後だ…。

それ無理だろ…なんて思っただろうが、嬢ちゃんよりはマシな筈だぜ?


「やぁあってやらぁぁぁ!」


俺様は全身全霊を持って兄ちゃんへ駆け出した。

嬢ちゃんが何か呟いた気がしたが、俺様は気にせず愛用のドスを振りかざす。


「とりゃ、せい!」


だはは、速すぎて避ける事しか出来ねぇだろ。

兄ちゃんは回避しかしていない。


ほら見ろ。俺様でも何とかなるじゃねぇか。

さっき、失笑した奴は前に出ろ…。



心配するな、嬢ちゃん。俺様の事は気にせず行くんだ…。

俺様は横目で嬢ちゃんへ急いで行くよう促した。


って、ええええ!?

もう、いねぇじゃねぇか…。


「ち、つまんね…」


へ!?


「ぎゃああああぁぁぁぁああ」


兄ちゃんが持っていた剣を軽く横に薙いだと思ったら

俺様は………霧散し、また嬢ちゃんの精神世界に戻った。


ふっ、下位精霊の信頼度1段階目なんてこんなもんだよ。

ま、時間を少しは稼げたろ…。


俺様達精霊は、契約者(召喚者)のMPが尽きるか、契約者の意思で戻る以外に、

実体状態でHP0になると実体状態を維持出来なくなり精神世界へ戻される事になるのだ。


つまり、俺様は嬢ちゃんと契約している間は死ぬ事がないという事だ。

というより、精霊化した時点で死の概念が外れてしまっているのだけどな。





――ジャックの野郎が契約した日――




最近、この街…傭兵都市にて幽霊騒ぎがあるらしい…。

俺様から言わせると、どうせ精霊と見間違えたのだろう…と言ってやったら、

嬢ちゃんが探そう…なんて言だしやがった。

ち、余計な事を言ってしまったぜ。



で、その幽霊とやらは教会の周辺でよく目撃されているらしい…。

如何にもって感じだな。


嬢ちゃんは今街中で聞き込みをしている最中だ。

手伝えと召喚されそうになったが、俺様がそんな事をしてられるかと一蹴してやった。

精霊は手を貸してやるが別に奴隷でも小間使いでもないのだしな。


この窓から見る限り…うむ、出なくて良かった。

情報を総括すると、時間は夕刻から早朝に掛けて教会脇の花壇付近でよく見かけるらしい。


(ザキラ、今から教会に行くから出てきて…)


「だから、手伝う気はねぇって言ってるじゃねぇか」


(精霊同士…近くにいれば存在を感じるのだろ?)


「大体の場所しか分らねぇぜ」


(それで構わない)


「はいよっと、んじゃ、呼び出してくんな」


(我は望む。我が親愛なる…風の精霊ソードレス。我の呼びかけに応えよ!我の名はアキラ=ローグライト!汝の名はザキラ!)


俺様が呼び出された場所は、花壇というより庭園だ…。

まぁ、城や屋敷などにある庭園と比べれば大きくはないが、精神世界から覗いていた感覚と大分違うな。

これを1人で探索は難しいかも知れん。


「仕方ねぇな。で、一緒に探すのか?それとも、別々に探すのか?」


「取り合えず、別々で…。妖しい所があれば後で報告してくれ」


「へいへい、んじゃ、俺様はあっちから探して来るわ」


俺様は向かって左を指差してから歩き出した。


「ちゃんと探してくれよ」


俺様は振り向かず適当に手を振り了解の合図を返した。

ぶっちゃけ、こんな面倒な事早く終わらせたいところだ。


この庭園は、手入れが全くされておらず少なく見積もっても十数年はこのまま放置されている感じだ。

若干、迷宮化しているかもしれない。


「かぁ~!!鬱陶しい…。切り刻んでスッキリさせてやろうか…」


こんな状態で見つけるのも一苦労しそうだ。




彼是30分程探したが、雑草が伸び放題、枯れた枝が進行を妨げ……

まぁ、俺様の身体は風で構成されているから関係ないのだがな。


というか、花はどこだ!?

一応、花壇なんだろ?


っと、枯れた薔薇の茎が前を塞いでいるじゃねぇか。


「うらぁっ!!」


俺様がドスを上方向に振り上げると、突風と共に前方の薔薇を切り刻み吹き飛んだ。

すると目の前に小さめの花壇があり、これはまだ枯れていなかった。


そして、花壇に囲まれた良い感じの岩が中央に鎮座していた。

どこかで見た事のある岩だが……まぁ、良い。

俺様は、その岩に腰を掛け少し休憩する事にした。

位置的に中央にあるから、しばらく待てば嬢ちゃんもやってくるだろう…。

俺様が入ってきた入り口とは正反対の場所にこれまた枯れた薔薇の茎で閉じられた入り口がある。

恐らく、あそこから入ってくる筈だ。


「ん?若干、精霊の気配がするな…」


俺様は、周りを見渡したが精霊らしき姿は見えなかった。


「気のせいだな…」


ふむ、そうしよう。

取り合えず、探すのは手伝ったんだ。

これ以上、協力するのもメンドくせぇしな。


「早く来ねぇかな…」


待つのも飽きてきたぜ。

でも、自分では戻る事が出来ないからな…。



ボウッっと俺様の背後で何かが焼け落ちる音が聞こえた。

後ろを振り向くと、ちょうど嬢ちゃんが先ほどまで閉ざされていた反対側の入り口から入ってきた。


「あ…、ここが終点か……」


「おぅ、嬢ちゃん。遅かったな」


俺様は頭だけ振り返り嬢ちゃんを迎えた。


「残念だが、精霊は見付からなかったぜ」


「あ…」


ん?嬢ちゃんは俺様を指差しながら驚愕した表情をしていた。

俺様に何か変なのが付いているのかを探ってみたが…

よく考えたら俺様は風の精霊なのでそもそもそういうものは付かない。


「なんだぁ?嬢ちゃん…」


「後ろ…」


「あん?後ろ?」


俺様は後ろを振り向いたが何もなかった。


「何もねぇじゃねぇか」


「えっと…後ろの上?」


嬢ちゃんは、指していた指を少し上に差しなおした。


「…んん?………のわぁっ!?」


指摘された方向を見直すと、ちょうど俺様の頭の上に全身ローブを被った半透明の精霊が浮いていた。

あまりにも至近距離だったので驚きと同時に腰を掛けていた岩から転げ落ちてしまった。


「!!!!!!」


「なぁ…ザキラ。この精霊すごく怒ってるような気がするけど…」


そうか?

頭部が深く被ったローブに隠れて何も見えやしねぇ。


「というか、ザキラが腰掛けていた岩って、石碑じゃないのか?」


「ああん………!!」


あ、確かにそう言われて見ればそう見えなくもないな。

周りを花壇に囲まれ、こじんまりとした岩なんて石碑と分らないのも当然だぜ。

って、おい、誰だ。

ゴミに埋もれているよりはマシだろうと思った奴は…。

多少…臭くてゴミがへばり付いて黒ずんでいたかも知れないが形は完璧を保っていた筈だ。

こんなひび割れていたり、ひびから何かの木の芽が出ていたり苔が纏わりついているようなの一緒にするなよ。


っておい、俺様が色々考えている間に嬢ちゃんがこの陰気野郎と契約しようとしている段階じゃねぇか。

展開早過ぎだろう…。


「あ、ザキラ。今から契約するから戻って貰って良い」


「ああ…ていうか、早く戻してくれ。俺様は疲れたしな」


「ザキラ、協力ありがとう」


「おう」


返事とほぼ同時に俺様は、また嬢ちゃんの精神世界に戻される。


で………、疲れたってのは嘘なんだがな。

精霊は疲れるっていう概念がないからな。

嬢ちゃんのMPが尽きない限り、半永久的に活動する事が出来る。



(古の誓約に基づき光の精霊ジャックランタンと契約を結ばん。汝の名はジャック。我が名はアキラ!!)


…ジャックランタンだからジャックか…。

ぷぷ、安直だぜ。



ん?

待て…若干この精神世界広くなってないか…。

って、うわっ!

いつの間にか陰気y…ジャックの野郎が無言でベッドの上に鎮座してやがる。


「お、驚かしやがって…」


ち、しゃーねぇな。

俺様が先輩として見本を見せてやっか。


「おぃ、陰k…ジャックだったな。

俺様の名前はザキラ…風の精霊だ…よろしくな」


俺様は、手を差し伸べ握手をしようとした。

が、いnジャックの野郎は微動だにしない…。


……

………


「だぁ!!!何か言いやがれ!

この陰気野郎!!」


あ……、ふん、こいつが何もアクションを起こさないのだから陰気野郎で十分だ。

俺様は、差し伸べていた手をそのまま陰気野郎のローブに手を掛け素顔を出してやろうとすると、陰気野郎の手に持っていたカボチャのランタンの口が大きく開き俺様の手を齧り付こうとしやがったので手を引っ込む。


「のわっ!?」


「……さワるな………」


「へ?」


え、陰気野郎…喋った…のか?


「あん!?何か言ったか?」


「…だマれ…」


はっはっは、聞き間違いか?


「くチ、閉ジろ………君、きラい……」


はっはっは、何か初対面からえらく嫌われているんですけど…

嫌われるような事をした覚え…は………あったな。


仕方ねぇだろ。気付かなかったのは事実なんだしよ。


「……シね」


「嬢ちゃん。このいnジャックの野郎が死ねとか言うだけどよ。

何とか言ってくれねぇかなぁ?」


俺様は、机上の窓に向け嬢ちゃんに叫んだ。



(俺を巻き込まないでくれないか?

そっちの事は2人で何とかしてくれ)



くぅ……ベッドの上で無言で鎮座しているだけとか…気まずくてしょーがねぇよ!!


「誰か何とかしてくれぇぇぇ!」


(うるさい!)


どうだったでしょうか。

次話で閑章は終わります。


それと…今、時間をあまり取れないので次回の投稿がすごく遅くなると思いますのでご了承願います。

折角書き始めたので、途中で放棄はしたくないので続くと思います。

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