第29話【旅立】
誤字脱字、表現の誤りにはご容赦願います。
「あ”あ”あ”あ”~、ま、まだ続くのかのぉ?」
南門が過ぎた辺りアヤカの説教に心底疲れたアーリアは項垂れていた。
心なしかゲッソリし肌艶も若干悪くなっているような気がした。
「ええ、まだよ。さ、酒場で話の続きをしましょうか」
アーリアは、そのまま引き摺られるようにアヤカに連れて行かれた。
アーリア頑張れ…胸は揉ませてやらないが終わったら慰めてやるよ。
(それでは意味がないのじゃ!!)
さ~て、アーリアの事は忘れてまずはレドルフの事だ。
案の定、門番の騎士の呼び止められ槍を突きつけられている。
それだけなら、まだマシだったが騎士が応援を呼びに行っていたようで、
今十数人の騎士がレドルフを囲んでいる。
と言っても、囲んでいるだけで何をする訳でもなくうろたえるだけである。
なんと言っても討伐に行った騎士団を壊滅させているので、
それを知っているだろう騎士達は恐くて手が出せないのだ。
ああ、そうそう、到着するまでの間、俺はレドルフに何故遠く離れたこの土地にいるのかを尋ねていた。
彼の言葉を要約すると、要塞都市を拠点とする鍛冶師に弟子入りした為、向かっている最中だったらしい。
ロードグリアード帝国の帝都からセントラルブレイ王国の王都まで飛行船で移動し、
闇之森・ヴェユスを経由しオルドランという予定だったようで、
闇之森を経由している最中、運悪くアーリアに目を付けられたみたいだ。
取り合えず、この状況をどうにかしないとレドルフが可哀想だな。
「ちょっと良いですか?」
レドルフを囲んでいた騎士の中で指示を出していた隊長と思しき、しかめっ面騎士に声を掛ける。
「何だ、キサマは?」
「彼をここに連れてきた傭兵ですよ。
討伐依頼を受けたアヤカ=ツキカゲの代行といったところです。
登録番号は390067581ですので確かめて下さい」
パーティメンバーとして登録してあるから代行でも間違いはない筈だ。
「アヤカ様の代行だとぉ!?
おぃ、レック、確認してこい」
聞き違いでなければ、この騎士はアヤカ様と言った気がするが気のせいだろうか。
しかも、やたら俺の事を睨んでいる。
「了解」
レックと呼ばれた下っ端の騎士の青年に傭兵ギルドへ確認を取らせに行かせたようだ。
「それと、彼は狂人化していないので無害ですよ」
「見たら分る。だが、もし暴れて国民に怪我をされては我々の責任なるからな。用心に越した事はない」
「まぁ、それもそうですね」
しばらく、しかめっ面の騎士に愛想を振りまいていると確認を取りに行った騎士が戻って来た。
「ただいま戻りました」
「おう、それで?」
「確かにアヤカ=ツキカゲ様とアキラ=ローグライト様が依頼を受けておられますね」
「そうか…分った。が…」
しかめっ面騎士が下っ端騎士の首にフェイスロックを掛けて離れた位置にまで移動した。
何事かと思ったが、どうも俺に聞こえたら拙い話をしているようだ。
と言っても、聞こえてしまってるんだけどな。
まぁ、話の内容はこうだ。
「傭兵ごときに様付けしてんじゃねぇ!!」
「ええ、別に良いじゃないですか」
「俺達騎士が傭兵に下に見られるじゃねぇか」
「はぁ~、でもさっき隊長も様付けしてませんでした?」
「あの聡明で気高くお美しいアヤカ様は良いんだよ!
あんなガキにまで様付けしてんじゃねぇ!」
「それって…隊長の好みですよね?
僕はどちらかと言うと…」
「だあああ、そんな事はどうでも良い。
取り合えず、傭兵に…いや、アヤカ様以外の傭兵に様付けなんていらねぇって事だ」
何とも程度の低い話だな。
しかも、あのレックとかいう騎士…俺が言うのもアレだがロリコンなのか?
「ははは、すまないな。ちょっと若造に指導していたものでな」
ははは、じゃねぇよ。
全部丸聞こえだっての…。
見た目だけなら間違いなく俺は新人の傭兵だが、ここまで卑下されるのも癪だな。
「で、レドルフはどうするのですか?
まさか、このままずっと彼に槍を突きつけているだけじゃないですよね」
若干、表情が引き攣っているのを自覚しながらも俺はしかめっ面騎士に聞いた。
「ん、ああ。事が事だけにな。
ここに駐屯している騎士の中で一番偉い方がもうすぐ来る筈だ。
滅多にお目に掛かれない騎士だ。失礼な事すんじゃねぇぞ」
「はぁ、はいはい」
「すみませんね。うちの隊長やたらプライドと差別意識の高い人なんすよ。
ここは我慢でお願いします」
俺が騎士の態度に呆れているとロリコン騎士…いやレックが謝罪の耳打ちをして来た。
「ああ、別に良いですよ。気にしてますけど気にしいないようにしているので…」
「はは、どっちなんですか、それ?」
「さぁ」
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「ぉ、来なさったみたいだな」
しかめっ面騎士が振り向いた方向に、白銀に金装飾とその辺にいる騎士とは別格といった感じの雰囲気を漂わせる騎士がやってきた。
彼の後ろに2人の騎士…多分準騎士と思しき年若い騎士が息を切らしながら走って来ている。
準騎士は言わば、騎士見習いみたいなもので騎士としての心得を先輩騎士から学ぶらしい。
準騎士を2人も連れているという事は、相当高いランクの騎士なのだろうな。
で、そのお偉い騎士様は、顔に大きな斬り傷が残る歴戦の騎士といった感じのナイスミドルなおじさまだ。
「態々、お越し頂いて申し訳ありませぬ」
俺に対する態度とは真逆だな。
まぁ、お偉い騎士様とじゃ比べ物にならないか。
「ふむ、ごくろう。
ああ、堅苦しい喋り方はしなくて良いぞ。
俺はそういうの苦手なんでな」
見掛けによらず、砕けた性格の騎士のようだな。
「ハッ、ですがそういう訳には…」
「まぁ、良い。そこの傭兵と少し話をする。
お前達は待機していて良い」
「はぁ、了解です」
「皆、ごくろう。
ずっと、槍を上げるのも疲れたろう。
楽にしてて良い」
レドルフを囲んでいた騎士達は「やっとか…」といった表情で各々槍を下げた。
中にはレドルフを気遣う騎士もいたようで、それを見ていた、しかめっ面騎士が睨んでいた。
「おっと、すまないな。
形式的な事なので申し訳ないが、登録番号と名前を教えてくれ」
「390067581。アキラ=ローグライトです」
そう告げると、登録番号の照会をしていた手が止まり、ナイスミドルのおじさま表情が驚きに変わっていった。
「…ローグライトっていうと、お前ヴォルトか?」
「あ、いえ。それは父の名前で…」
「そんな事は知ってるって。俺だよ俺、ダリル=フォーマルアウト」
ダリル?ダリルダリルダリル…ダリル??
ああ…ダリルね。思い出した。
動乱の時代の時、戦争イベントで一時的にパーティを組んだ騎士だ。
というか、ダリルの騎士仲間で構成されたパーティの人数不足を補う為に
俺を含んだ2人の傭兵が加入した感じだったかな。
まだ、ヴォルトが雷迅と呼ばれるようになる前の話だな。
捕捉になるが、ダリルはプレイヤーだ。
騎士のプレイヤーは、傭兵と比べて大体1:5という感じで非常に少ない。
何故なら騎士プレイの基本は、ミッション(クエスト)の繰り返しだからだ。
騎士の役割は大体3つに分かれている。
1つ目は国家内の巡回だ。
他のMMOでいうGMの不正者取締りの巡回やPKやMobの街への侵入を阻む事が主幹だ。
2つ目は訓練だ。
仮にも騎士なので、自由に外を出歩いてMobを倒して経験値を溜めるという事が出来ない。
城内もしくは闘技場での訓練が巡回がない時間に限りする事が出来る。
3つ目は、ミッションや戦争へ参加し武勲を溜める。
武勲を上げる為の作業のような感じで、ほとんどがイベントのカテゴリーに入る。
イベントこそ豊富に揃っているが、傭兵と違って選択肢が非常に少ない。
自由にMobを倒せる訳ではないのだ。
常に自分のレベル(能力)に見合ったミッションしか受ける事が出来ない。
訓練で強くなってミッションで成果を試すと言う感じだな。
騎士ランクが上がらない限り、どんなにミッションをクリアしても一ヶ月に貰える給料が変わらない。
そのせいもあって、騎士は不人気職となった。
ほとんどのプレイヤーは1・2ヶ月で騎士プレイに飽きて傭兵に転職するのだ。
ちなみにここまでの情報は、人づてで聞いた話と公式の情報だ。
次は、ダリル本人から聞いた話なのだが、もっとも騎士ランクを上げやすいのが戦争らしい。
傭兵は武勲を上げると金が多く貰えるが、騎士は騎士ランクが上がる可能性がある。
ランクが上がると色々な特典を得られるらしいが、その辺は希少な騎士プレイヤーぐらいしか知らない事だ。
例えば、今ダリルが着ているような鎧などもそうだが、
高騎士ランクになったり大きな武勲を上げると、貴重なマジックアイテムを国家から賜れる。
それ以外にも爵位を与えられたり傭兵並の給料を貰えたりと
傭兵のように一攫千金ではないが努力に見合った報酬が貰えるので、
傭兵では味わう事が出来ない喜びがあるとの事だ。
ついでに、爵位が与えられると次のキャラから最初の騎士ランクを底上げできる。
と、戦争終結後に騎士にならないかと勧誘を受けた際にダリルが話した事だ。
「………ああ、思い出した」
「って、ええ!?
そんなに深く考えないと思い出せないのか!?」
顔に似合わず、面白い反応をしてくれる。
こういったノリは嫌いじゃない。
「はは、ごめんごめん」
「それにしても、この状況で女キャラとか災難だな」
「まぁ…ね。
っていうか、見違えたよ。全く気付かなかった。
今、騎士ランク何なんだ?」
確か、初めて会った時は、青騎士だった筈だ。
ヴァルトより2歳年下の22歳だったな。
今みたいに専用の鎧や武器ではなく、量産品の武具だったが鮮やかな青いマントが印象的だった。
「聞いて驚け。今は聖騎士だ」
聖騎士…これは簡単に成れる様なランクではない。
上から数えた方が早い程だ。
ちなみに下から、準騎士、正騎士、青騎士(赤騎士)、白騎士(黒騎士)、金騎士(銀騎士)
白金騎士(白銀騎士)、聖騎士(魔騎士)、天騎士(闇騎士)が騎士のランク分けだ。
それ以外にも、国境騎士、自由騎士、宮殿騎士、近衛騎士、筆頭騎士などもある。
ちなみに、騎士になろうとする9割のプレイヤーは準騎士で挫折する。
よくても正騎士止まりだ。
残った騎士プレイヤーでも金騎士(銀騎士)あたりが限界だ。
何を言いたいかというと、ダリルは俺と同じで廃人って事だな。
「それは、すごい…」
「まぁ、そのお陰で結婚相手がいないんだけどな……」
それはそうだろうな。
さっきも言ったが、普通は金騎士あたりが限界だ。
聖騎士とは、言わばプレイ時間のほとんどを訓練とミッションと戦争に費やした結果と言えるだろう。
城内や都市内を巡回し麗しき乙女?との交流なんてなかったんだろうな。
「NPCと結婚すれば良かったんじゃないのか?」
「NPCは能力が低いじゃないか……。ん?」
「?…でも養子よりはまだマシじゃないのか…」
ダリルは肩を落とし項垂れたと思うと何かを思い出したのか俺の顔を凝視し、
写真の位置取りなどでよくする指で四角い枠を作る仕草をする。
「って、何やってんの?」
「あ、いや、すまん。
ヴォr…アキラって結構…というか、かなり美人だよな」
「??」
「どうだ。俺の嫁にならないか?」
「断る!というかこの状況で結婚もくそもないだろ」
まぁ、もしゲームが正常に戻ったなら、ダリルにとってこの傭兵の時代が最後の機会になるな…。
ああ、何の機会かというと結婚が出来る期間の事だ。
このE/Oの世界では短命種族に限って15~45までが結婚適齢期なのだ。
ダリルは今42歳だから、今回を逃すと結婚できず次のプレイヤーキャラは養子となる。
養子キャラは、血の記憶いわば親のキャラの血を受継いでいないので才能の開花率などが初期化されるのだ。
今までのダリルの努力が全て無駄になるという事だな。
「ははは、半分冗談だよ。でだ、話は戻る…というか本題だ。
彼を連れて来れた経緯を説明して貰いたいのだが…。
正直、彼が狂人化していない事に拍子抜けしているところだ」
ダリルはレドルフの方を見上げた後、向きなおした。
「ん~、そうだな。
簡潔に言えば、レドルフは操られていただけで、
その大元を絶ったから今は普通の状態って感じかな」
「大元ってのは?」
「精霊…かな」
「…精霊か…。
さすがに捕まえる事は出来ないな…。
絶ったとはいえ、精霊だし死んではいないよな。
とすると…その精霊は、どこに行けば会えるんだ?」
「ああ~、今アヤカと一緒にいると思う」
「え、この街にいるのか?闇之森じゃなくて??
っていうか、アヤカってあの?」
「多分、そのアヤカだと思うよ」
「で、どこにいるんだ?」
「酒場兼傭兵ギルドで飲んでる筈だ」
「そうか。分った。
長い間引き止めて悪かったな」
ダリルは、騎士達に指示を出し撤収する準備に入った。
騎士達はレドルフに手錠代わりの鉄鎖を腕に巻き駐屯所の方へ歩いていった。
「レドルフ…」
俺の前を通り過ぎる騎士達に連行されていくレドルフと目が合った。
俺には、その目が助けを求める目のように思えた。
「安心してくれ。悪いようにしない」
心配していた俺にダリルは俺の肩に手を置き、気を使ってくれた。
「ただ、無罪という訳にはいかないが…何とか罪が軽くするよう努力はするよ」
「そう…。彼を頼む、ダリル」
「おう、任せておけ」
ダリルは手を振り騎士達の後を追いかけていった。
彼らの姿が大通りの方へ消えていく少し前にしかめっ面騎士が「アヤカ様に会われるのですか?お供致します」とダリルに言った気がするのは気のせいだろうな。うん。
さて、俺はどうしようかな。
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酒場は、アヤカの矛先が俺に向くのが目に見えていたので行くのを止めそのまま自宅に戻る事にした。
探せば、簡単な食事ぐらいはあるだろうと楽観視していたが、いざ戻ってみると食えそうな物は一切なかった。
そして、やる事もなかったので俺はそのまま格好でベットへダイブし程なくして熟睡していった。
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でだ…流石に何も口にしていなかったので、夜中に空腹で目が覚めると横でアーリアが寝ていたのだ。
しかも、涎を垂らしながらアーリアの手が俺の胸を鷲づかみにした状態でだ。
ん?ああ、言いたい事は分っているさ。
鷲づかみ出来るほど胸がないだろ…と言いたいのだろ?
ああ、その通りだ。
実際は、俺の胸がすっぽりとアーリアの手に収まっている感じだよ。畜生め!
まぁ、そんな事はどうでも良い。
流石にこのままでは動けないので、俺はアーリアの身体に触れ”戻れ”と念じた。
すると、彼女は一瞬で漆黒の霧状すなわち闇に変化し、周囲に溶け込んでいった。
そして、飲み物でも良いので胃に何かを入れようと一階のキッチンへ向かった。
すると、何か良い匂いがしたのでキッチンの中を覗くとそこにはアヤカがいた。
「アヤカ……こんな朝早くから何してるんだ?」
ちなみに、今は朝の6時前ぐらいだ。
早起きだとしても少々早すぎる時間帯だ。
「あら、おはよう。アキラ」
「あ、ああ。おはよう。で、何してるの?」
「見れば分るじゃない」
「料理を作っている…?」
「正解」
材料はどこから調達したんだろうか…。
あ、そういえば朝市は早い所で5時から露店を出していたな。
恐らくそこで買ったんだろうな。
「でも、作るにしても早すぎだろ?」
「まぁ…ね」
「ん、どうした?」
心なしかアヤカの背中が少し震えている。
俺よりも大きい身体の筈なのだが、いつもよりも小さく見えた。
「アキラ、私今朝発つ事にするわ…」
「たつ??え?」
「また、旅を再開しようと思うの…。
もう、アキラをフォローしなくてもやっていけそうだもの」
「そう……か」
「うん。で、アキラ昨日の夜何も食べていないでしょ。
だから、料理を作って置いてから発とうと思っていたのだけど…
思ったより早く起きて来ちゃったね」
「ん、ああ、ごめん」
「ははは、何謝ってるのよぉ…。
よし、完成!」
アヤカは、料理をテーブルに並べると肩から掛けていたエプロンを綺麗に畳み近くにあった椅子に掛ける。
そして、手を洗うと部屋の片隅に置いていた自分の旅道具を肩に担ぎ、少し早歩きで玄関の方へ向かっていった。
「え、もう行くのか?」
「うん。私湿っぽいの嫌だし泣きそうになるもの…。
そんな顔、いくら身内とはいえ見せられないわ。
あ、アキラの武器は、アーリアに渡しておいたから多分自室のどこかにあると思うわ。
それと、食べた後、食器はちゃんと洗いなさいよ。
後は…」
「ああ、もう分った分った。ほら、早く行け」
「ん…また、どこかで会いましょう。じゃあね」
と言ったアヤカの瞳から大粒の涙が零れ落ちていたのが見えた。
あいつも涙もろいよな。
かく言う俺も気のせいか視界がぼやけている気がする。
俺もアヤカもゲームの中に閉じ込められ、お互い心の拠り所にしていたのかも知れないな。
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アヤカが旅立って3日が過ぎようとしていた。
いつも横にいたアヤカが居なくなり、今頃になって心にぽっかりと穴が空いたような気がする。
さて、湿っぽいのはここまでだ。
俺も当初の計画通りノースブレイ王国から発つ事にしよう。
その為に、この3日準備をしていたしな。
すでに、装備は長旅用に変更しているし、傭兵ギルドに登録移転届けを出しているので後は出発するだけ。
今回はレベル上げや戦争の為の旅ではない…。
この閉鎖されたE/Oの世界を元に戻す為の旅になる…と思う。
アヤカもそうだし、高レベル帯の傭兵の多くも世界を元に戻す為に旅をしているという話だ。
騎士はよく分らないが、俺達傭兵と情報屋そしてOS社の協力が世界を元に戻すのに必要なのは確かなのだ。
俺は、当分この家には戻らないだろう。
玄関から外に出て振り返り自宅を見渡し、一切の名残を絶つ。
「行って来ます」
俺は一路ハイランド王国を目指し出発した。
どうだったでしょうか。
次回のエピローグで序章が終了します。