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『E/O』イオ  作者: たま。
序章【改変編】
34/49

第25話【狂人】

誤字脱字・表現の誤りにはご容赦願います。

『ウゴアガァァァァ』


アースガントは、近くで燃えながら倒れている木を持ちこちらの方へ投げた。


「そんなものを軽々しく投げるなぁ!」


俺たちは直撃を避ける為に四方へ散開した。


今度は燃えているがまだ倒れていない木を二刀流風味に持ち一歩ずつ近付いてきた。

そして、地面に倒れているレッドアイベアを踏み潰し……おぇっ。

踏み潰されたレッドアイベアの口から本来は出てはいけないものが見えてしまった。


と、そんな事よりもこんなところで殺られる訳にはいかない。


「ザキラッ」


「炎華お願い!」


「「そいつを足止めして!」」


俺とアヤカは呼び出した精霊に足止めをお願いした。


ザキラは、足元へ斬り付け炎華は腹部へ連打をしているが全く利いている素振りを見せない。

本当に利いていないのか、狂人化で痛覚がないだけなのか分らないが、2人の精霊を振り払う素振りも見せなかった。

俺が詠唱に入ろうしていたしアヤカも魔力の溜めに入っていたが、アースガントが両手に持った木が振り下ろされ中断を余儀なくされた。

アヤカは真上へ跳んで避けたが、俺は判断を誤り後方へ跳んだ為、木の衝撃で生じた石飛礫が身体を直撃しその勢いのまま後方の木に直撃した。


「ぐぅっ…」


「アキラ!」


「つぅ…俺は大丈夫だ」


アヤカが俺の方へ駆け出してきたのでそれを制止し、回復の為に法術の詠唱に入る。


「女神ヴィーナスの名の下に、大いなる癒しの力であるべき姿に戻したまえ!ヒール!」


攻撃自体が直撃した訳ではなかったので、紙装甲の俺でも大したダメージは入ってなかった。

とはいえ、4分の1のダメージではあるが…。

まぁ、それでも下位法術のヒールで完全回復ではないものの十分な回復量だ。

余談ではあるが、法術の回復魔法は回復量が固定ではない。

魔法力と法力によって回復量が変化する。

回復魔法に類する法術は結構あって一例を挙げるとしたら、

下位法術のヒールは魔法力と法力を足してそこへ1.5を掛けてやると回復量になる。

ちなみに今の俺の魔法力と法力はそれぞれ174と111だ…足すと285だから回復量は427.5だ。

小数点以下は省略される。

消費MPは固定なので無駄に上位回復魔法を使わなくても良いだろう。

回復しきっていないのは自然治癒で回復させても全然問題ない。


俺はヒールでHPを回復した後、再び攻撃態勢に入る。

俺が回復している間、アヤカと精霊達はアースガントへ攻撃を加えていたようなのだが、一向に衰えを見せていない。

相変わらず精霊達は近接戦でタコ殴り状態だが、ダメージを与えているのか分らない。

アヤカもゴッドブレスで応戦している。

一瞬だがガクッと膝を着いている場面があるので利いているとは思うのだがすぐに立ち上がる。

奴は狂人化したアースガントとはいえ、流石にこれはおかしい。


そこで俺はある事を思いついた…。


「アヤカ、奴を分析してみてくれ!」


俺の分析スキルのレベルだと精々レベルが判明するぐらいだが…アヤカのスキルレベルだと色々分る筈だ。


「あ、そうか…」


アヤカは目を凝らしアースガントを分析し始めた。


「え、ウソ…」


アヤカは何をみたのだろう…。

すごく気になる…分析情報の共有化はどうするんだ?

改変前はパーティを組んだ時点で共有化されているが…同じように俺も分析を使えば見えるだろうか…。


俺もアースガントを視る事で分析スキルを使用した。


***************************************************

名前=苗字:レドルフ=マルキスト

通名:なし

年齢:28(※外見年齢)

性別:男

種族:アースガント

属性:光

主職業:賞金首

副職業:―

役割:格闘家

名声:893

序列:―

ランク:―

賞金額:19200000

利き腕:左利き

流派:我流

流派:―

所属国:ロードグリアード帝国(アリュー王)

////////////////////////////////////////////////////

レベル:89

HP:10863/15320

MP:866/866

SP:4211/6233

////////////////////////////////////////////////////

効果:リジェネイト、ハイエール、狂人化、潜在開放、魅了、扇動

*****************************************************


へぇ~、アヤカの分析だとここまで視る事が出来るのか……って。


「ちょ…!?」


なんじゃこりゃ~!!

これは明らかに人為的要素がありまくりじゃないか…。

リジェネイトとハイエールは強化法術で、それぞれ下位と上位の魔法だ。

確かにアースガントは法術を使用できる…が、リジェネイトが使えたとしてもハイエールは無理な筈だ。

それに狂人化しているので現状使用できる確率は低い。


次は…狂人化・潜在開放・魅了・扇動だな。

これは所謂、闇属性魔術で禁呪指定されている魔法による状態異常だ。

潜在開放が状態異常と言えるのかは分らないが…。

簡単にいえば、人の意思を操るカテゴリーの魔法という事だ。

光と闇の属性は相対し合っているので光属性が種族属性のアースガントでは使用する事が出来ない。

最も禁呪指定されているので使用できる確率は非常に低い。


ああ、そうそう…状態異常について少し話そう。

狂人化は、身体能力を大幅に向上させる代りに自我をなくしてしまう状態異常だ。

対象のSPが切れるまでか術者が解かない限り狂人化が続く。

使いどころによっては非常に役立つ。


潜在開放は、眠っている潜在能力を開放させる状態異常…というかブースト状態だな。

効果時間が非常に短いので使いどころが難しいが全ての能力が大幅に向上するから短期決戦には持って来いだな。

なんで、俺が闇属性魔術や禁呪指定の事を知っているのかというと…。

まぁ、俺も魔術師の端くれだからな、書物を読んで知っているという訳だ。

これも改変様様って事だな。改変後、ヒントが世界中に散らばっている。

というか…奴が乱入してから結構経つのに一向に切れないのが不思議だ…。

もしかして、術者が近くにいるのか?


魅了は、術者に魅了させて自我をなくし自身に従わせるという状態異常だ。

ステータスの魅力で防ぐ事が出来るが…狂人化している状態だと防ぐ手立てがないと言って良い。


扇動は、自我があるなし関係なしに無意識に術者の思い通りの行動をさせる状態異常だな。


リジェネイト、ハイエール、狂人化、潜在開放でアースガント(以下レドルフ)の能力を大幅に向上させ、狂人化で自我を奪い魅了と扇動で自由に操る…という非常に凶悪な状態にしちゃってくれている。


「き…鬼畜すぎる…」


しばらく、視ていると…精霊達とアヤカの攻撃でHPが減少するが9割方リジェネイトで回復してしまっている。

残りHP10000弱…ここで俺が攻撃を加えたところで状況が好転するとは思えない。

長期戦は俺たちにとっては不利としか言えない…。

レベル89程度が、そもそもアヤカの攻撃を耐えている時点で有り得ない。

レベル=強さではないE/Oの世界だったとしてもある程度の指標である事には間違いないのだ。

しかも、アヤカの使っている武器は伝説級のゴッドブレスだ。

狂人化と潜在開放でどれだけ能力が向上しているんだ?想像さえ出来ない。


なら、方法はこれしかないな。


「アヤカ!明らかに奴は操られている。俺が術者の捜索をするから何とか耐えてくれ!」


「わ、わかったわ」


アヤカは、腰に着けたポシェットからMP回復薬(大)を取り出し一気に飲み干した。

そして、ゴッドブレスに魔力を集中させていく。


俺は、ディテクトで術者を見つけ出す為に詠唱に入る。


「女神ヴィーナスの名において、見えざる者を映し出……うわっ!」


もう少しで詠唱が終わろうとした時、目の前にレドルフの拳が迫っている事に気付き思わず詠唱を止めてしまった。

ギリギリで避けたのは良いが、レドルフのターゲットが俺に固定されてしまったようだ。

レドルフに対して攻撃をほとんど加えていない俺にターゲットが移る可能性が低い。

なら、術者の指示とみて良いかも知れない。


「くそ、これじゃ詠唱出来ない…」


レドルフの攻撃を避けるのが精一杯で詠唱に入る事が出来ない。

相変わらずアヤカと精霊達は攻撃をしているが一向に衰える気配がない…。


いや、待てよ…。

潜在開放の効果時間は短かった筈だ…必ず掛け直すタイミングがある筈だ。


「ア、アヤカ。奴に掛かっている効果の1つは…と、効果時間が短い…とと…」


ああ、ちなみに現在、レドルフの攻撃を避けている最中だ。


「しばらくしたら、効果が切れっる。掛け直すタイミングで一斉にっと、攻撃してくれっよっと。同じタイミング…っでディテクトを詠唱すっる」


レドルフの両手両脚による連続攻撃が止みそうにない…。

いい加減しつこいな。

俺は避けながらレドルフのステータス画面を凝視している。

効果や状態異常は、切れる5秒前に必ず点滅し出すのだ。

間髪入れず再び掛けなおしたとしても完全に切れる状態は絶対にある。

1回で成功させたいが失敗したとしてもチャンスは何度かある筈だ。

それまで俺たちが耐えられたらの話だが…。


あ、点滅しだした…。


「アヤカ!5秒前」


アヤカは俺の掛け声と共に数十本の光の矢を同時に溜めだした。

溜める時間が5秒なので数の勝負行くようだ。

ザキラは居合の構え、炎華は再び周囲の炎を取り込んで力を溜めだした。

良く見たらレドルフの拳も俺に大分迫っており避けられそうにない。


「…3、2、1…今だ!」


みんな…頼んだ。


潜在開放が掛けなおされる一瞬の間に、アヤカの数十本の光の矢はレドルフの背中に突き刺さった。

数本は完全に貫通していった。


ザキラは、レドルフのアキレス腱に対しての居合攻撃だ。

さすが、風の精霊…切れ味もスピードも申し分ない。

レドルフのアキレス腱を完全に切り裂いたのが俺の方からも見えた。


炎華は、渾身の必殺技?である「スーパーメテオキック」をレドルフの後頭部へ直撃させた。

そのタイミングとほぼ同時に潜在開放が掛けなおされたようだが、少し遅れたようでレドルフは大きくよろめき前かがみに倒れた。


っと、あぶねぇ…。

ヤツが手を前に突き出さなかったら俺が押し潰されていたぞ…。

そんな事はどうでも良いか…。

レドルフのHPが大幅に減少したのを確認した。

と言っても2000弱のダメージしか与えていないが…。

今までの事を思うと十分大ダメージだ。


「女神ヴィーナスの名において、見えざる者を映し出せ…。ディテクト!」


すると、T字路右奥80m先に人影を確認した。

ん、何だ?

人影がダブって見える…どういう事だ?

どうだったでしょうか。

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