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『E/O』イオ  作者: たま。
序章【改変編】
33/49

第24話【霊木】

誤字脱字・表現の誤りにはご容赦願います。

「あら、お帰り」


アヤカは、晩飯の支度が終わり焚き火の前で暖を取っていた。


「ただいま」


俺はアヤカと対面になるように反対側に座った。


「アキラ、少し周辺を調べてみたのけど…。

商隊のいた痕跡はほとんどなかったわ。

でも、誰かがいたのは間違いないみたい…」


「どういう事だ?」


「テントの残骸を2箇所で見つけたけど、焚き火をした形跡や荷馬車の残骸は見付からなかったわ」


「と、すると襲われたが逃げ果せて次の野営地に向かったのか…?」


「もしくは、テント設置中に襲われて荷馬車ごとどこかに連れて行かれたか…ってところね」


「う~む」


「ま、話の続きは食事が終わってからにしましょ」


アヤカは火で炙っていたレッドアイベアの焼肉を塩コショウをした後俺に渡してきた。

俺は受け取りそのまま齧り付いた。


「ウマイ!」


「それはどうも。とは言え焼いただけだけど…」


アヤカも肉に齧り付き満足そうな表情を浮かべた。


それ以外にも川魚の焼いたものもあった。

談笑しながら30分ほどで全てを食べ終わり話の続きを始めた。


「さっきの話なんだけど、私はどこかに連れて行かれたという方が確率的に高いと思うのよ」


「その根拠は?」


「もう、暗くなってしまって分らないと思うけど…。

あっち側の奥に獣道というか大きい何かに踏みつけられたと思われる草木と倒れた樹木があったわ」



あっちというのは道路を挟んだ反対側にある野営地の事だ。

そういえば、そんなものがあったようななかったような…。

テントと焚き火の設置に夢中であっち側は調べてなかった。



「ん?というか、ここで野宿って俺達も危なくないか?」


「大丈夫でしょ。もう暗いし襲っているのがアースガント族なら尚更でしょ」


「そういえば、そうだったな」



アースガント族が別段夜に弱いという訳ではなく、ヒューマやエルフ同様夜目が利く訳じゃないという事だ。

スキルに夜目が一応あるが、パッシブではなくアクティブスキルで常時発動ではないのだ。

一応、夜目を持つ種族はあるが、アースガントでないのは確かだ。


ウッドウルフは普段でさえ迷彩色なせいで見え辛いのに夜となると全く見えなくなる。

さすがに、気配だけでは対処は難しい…。出来なくはないが常に気を張るのは疲れる。



俺とアヤカは、それぞれアヤカは火の精霊を俺は光の精霊を呼び出し火の番と周辺警護に付かせその日は就寝した。

翌朝、朝食を簡単に終わらせ、俺達は反対側の野営地の奥にある大きめの獣道の奥へ足跡を辿って進んでいった。

念のため言っておくが、この獣道…幅3m~4mほどある。

大きさ的に獣道ではないが人工的な道ではないのでそう表記しているだけだ。

その獣道の周囲にある樹木は幹の中間ほどで折れていたり、木の根元付近には多数のウッドウルフの死体が転がっていた。

死体の大体は、殴殺か轢殺といった所でアースガント族に戦いを挑んでいた事が窺える。

これを見る限り、アースガント族は武器を持っておらず格闘タイプの者だという事が分る。

まぁ、狂人化しているせいだろうけど…。


獣道に入ってから500mほど行ったところで、100mほど先がT字路になている事に気付いた。


「どっちだと思う?」


「足跡が多い方じゃない?」


「ああ、なるほどね」


T字路まで残り50mに差し掛かったとき、T字路近くの木陰から大型レッドアイベアが姿を現した…。


「え、なんで?」


ウッドウルフ100匹討伐後のレッドアイベアはアヤカが倒したから次が出現までまだまだ先の筈…。


「待って!アキラ」


「ん?」


「まずいかも…」


「え?どういう…あ…」


確かにまずい…。

周囲の樹木から俺達を囲むようにウッドウルフの気配がする。

しかも、この出現パターンは…。


T字路中央にあった大きめの樹木が少しずつ変化していき闇の森エリアボスである霊木トレントになった。

その脇からさらに2匹のレッドアイベアが出現した。


「これはヤバイな…」


大きめの獣道とはいえ、激しい戦闘には少々狭い。

それに周囲は木で囲まれ覆われている。

アースガントが通る可能性が高い獣道でもある。

下手したら三つ巴…なんていう最悪の状況になるかもしれない。


「アヤカ、すまないが…しばらくレッドアイベアとトレントの相手を1人でやって貰えないか?」


「アキラはどうするの?」


「少し戦いやすくする…。それとウッドウルフの数を減らすつもりだ…」


「分ったわ。私にも限界っていうのがあるから早くしてね」


「了解だ」


アヤカはT字路の方面へ、俺は10mほど進み周囲にいるウッドウルフを始末する為に居合の構えをする。

1分もせずに周囲にいたウッドウルフは俺に目掛けて波状攻撃を仕掛けてきた。


『炎開放!居合・弐之太刀』


フランヴェルジュの特性の1つである炎の開放と弐之太刀を組み合わせた技だ。

お互い1つずつだと精々3~5mが限界だが…2つ併せると相乗効果で数倍の勢いになる筈。

弐之太刀から放出された炎は、ドゴォォォンという爆音と共に周囲15m近くを完全に消し飛ばした挙句、熱波によって周囲30m内にある木を燃え上がらせた…。


「………」


やりすぎた…。

アヤカが「ちょ…」と驚きと怒気を孕んだ表情でこちらを睨んでいる。

広さ的には問題なくなったが、灼熱地獄に変化してしまった。

俺は釈明と合流のためにアヤカの元へ走った。


「はは、アヤカ、すまない。

やりすぎたみたいだ…」


「ええ、やりすぎよ…。

でも、見て…。トレントの枝の上にいた筈のウッドウルフがいないわ…。

それにトレント自体、炎による持続ダメージを負っているみたい。

逆にレッドアイベアはお怒りモードになったみたいだけどね」


ウッドウルフは、仲間が大量に消し飛んだのと熱波によって逃げたようだ。


「うわ…ほんとだ」


トレントの表皮はチリチリっといった感じで燃えている。

3匹のレッドアイベアは、二足歩行モードでヴォァァァっと叫びながらこちらを威嚇している。


「私がレッドアイベアの相手をするから、トレントの相手は任せるわ」


「分った。アヤカの方へザキラを加勢させる」


「ありがとう。逆に私の炎華をアキラに付けるわ」


「我は望む。我が親愛なる…風の精霊ソードレス。我の呼びかけに応えよ!我の名はアキラ=ローグライト!汝の名はザキラ!」


「我は望む。我が親愛なる…炎の精霊アグニ。我の呼びかけに応えよ!我の名はアヤカ=ツキカゲ!汝の名は炎華!」


「やっと、俺様の出番か…」


信頼度がMAXになった今のザキラは頼れる存在になった。

相変わらず、巨乳好きは変わらないが…。

アヤカの護衛には問題ないだろう。


「アヤカ…獲物はどれだい?」


アヤカが呼び出した炎華という精霊は、見た感じ魔法よりもザキラ同様肉弾戦が好きそうな感じだった。

見た目は、野生児といった感じだな。

露出の高い服装に筋肉質の体つき口元には鋭い犬歯がチラチラと覗いている。

髪の毛と両拳が炎を撒き上げており、それだけでかなり強そうだ。

口調は、男らしく姐さんという呼び方が似合いそうな感じだな。


「アキラ。炎華は頼りがいがあるわよ…近接戦は彼女に任せてアキラは援護してあげて…」


「宜しくな!お嬢さん。この灼熱地獄ならアタシは倍以上に力を発揮できる!」


うぉぉぉぉと雄たけびを上げ彼女の周囲の炎が身体に吸収されていく。

精霊は、周囲の環境によって力を発揮出来たり出来なかったりするようだ。


アヤカは、弓でレッドアイベアをトレントから引き剥がし離れた位置で戦い始めた。


「炎華頼みます!」


俺の呼びかけとほぼ同時に炎華はトレントへ向けて突進をした。

炎に包まれた炎華は、丸でコメットという感じだな。


炎華を近づけまいとトレントは、槍の様に鋭い根を向けるが炎に焼ききられいく。

俺は彼女を援護する為に魔術を発動させる。

今回は、フランヴェルジュの効果”炎属性魔法のワンスペル発動と二重詠唱”を大いに活用する。


「フレアアロー×2」


フレアアローは、下位魔術で炎の矢を無数に作り出し撃ち出す魔術だ。

魔力によって出せる炎の矢が変化するので今の俺なら1回の詠唱で20本近く…。

そして2重詠唱の影響で計40本近い炎の矢が俺の周りに出現しトレントへ向けて飛んでいった。

1本1本は、大した威力はないが誘導性能が高くトレントは大型Mobなので必中に近い。

トレントに向かって飛んでいった炎の矢は幹に連続して命中し一時的にトレントを気絶させる事に成功した。

いわゆるピヨリ状態ってやつだな。


「うらぁぁぁっぁぁぁ」


その間、炎華は連続で拳をトレントに叩き込んでいった。

炎華の拳が命中する毎にドカンドカンと小規模の爆発が起きていた。


「ふんぬっ!」


最後の閉めとして、炎華は昇○拳を繰り出しトレントが地面からスポッっと抜けて空中に舞い上がった。

これを好機と思い俺はトレントに向かって魔術を発動させた。


「イリュージョンアロー!!」


これはフレアスピアとファイアアローの両特性を受継いだ炎属性上位魔術だ。

誘導性と貫通力の高い巨大な炎の槍を高速で射出する魔法で、ダメージがオーバーキルだった場合は対象が消滅する。

残念ながら俺のレベルと魔力ともにオーバーキルになり難い。

ただ、この魔法が強烈なのは間違いなく、トレントに命中すると月面宙返り○回捻りような状態に吹っ飛んでいった。


「おぉぉ」


炎華はその様子を見て感嘆の声を上げた。


トレントが地面に落下したのを確認して俺は間をおかず次の魔法を発動させた。


「フレアグレネード!」


これも炎属性上位魔術で、フレアアローとファイアボールの両特性を受継いだ魔法だ。

巨大な炎の塊が着弾すると破裂し周囲にフレアアロー撒き散らす。

破裂して出たフレアアローにも誘導性があり、周囲の敵に対して自動で誘導していく。

1体しかいなかった場合は、その1体に全て飛んでいくのだ。


トレントに炎の塊が着弾し爆発と共にトレントは再び空中へ吹き飛んだ。

そして、爆発した際に破裂したフレアアローは吹き飛んでいるトレントに向かって飛んでいき連続して着弾していく…。

そう、まるでお手玉と言った感じが目の前に広がっていた。


今尚着弾し続けているトレントの姿は、すでに葉は焼け落ち、所々燃え上がっておりほとんど幹と根しかない状態だった。

全て着弾し終わった後、待ってましたと言わんばかりに炎華は空中へ舞い上がりトレントのちょうど真上にまで来ていた。


「必殺!スーパーメテオキック」


どこかで聞いた事のあるような技名の跳び蹴りは、トレントを捉えるとまるで隕石が落下するような感じで炎を纏いながら地面に落下していった。

トレントは、落下すると大爆発を上げ木っ端微塵になった。


そして、爆発の中心には、やりきった表情を浮かべた炎華が立っていた。


「炎華さん、すごいですね…。特に最後の技とか…」


俺は炎華の横にまで歩いていった。


「そう?まぁ、アタシは天才だしな…」


さて、アヤカの方はどうなってるのだろうと振り向く寸前に俺の真横に何か大きい物体が吹っ飛んできた。

振り向くとその物体はレッドアイベアだった。

そして、ほぼ同時にアヤカとザキラがこちらへ跳んできた。


「そっちも終わったのか?」


「それどころじゃないわ…。緊急事態よ」


アヤカが指差した方向に狂人化したアースガントが立っており、

ウゴアガァァァと雄たけびをあげこちらを凄い形相で睨んでいた。


トレント戦が丁度終わったところで三つ巴なんていう最悪の状況は免れたが…。


「何かすごく怒ってるね…」


「アキラが森を燃やしたからじゃない?」


「ええぇぇぇ!?」


どうだったでしょうか?

ほとんど戦闘らしい表現は出来ていませんが…

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