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『E/O』イオ  作者: たま。
序章【改変編】
29/49

第20話【壊滅】

誤字脱字、表現の誤りにはご容赦願います

俺は船長の部屋に向かいながら考えていた。

何を考えていたかというと、アレクから貰ったこの蛇腹剣だ。

ちなみに、この武器のステータスはこうなっている。



魔剣・ミズチ

ベース:蛇腹剣ロングソード

生産者:不明

耐久:360/400

攻撃力:580

必要能力:腕力90、体力50、器用130、敏捷100

備考:唯一級効果、刀身1.5m~15m

   魔剣効果、状態異常「出血」「猛毒」+30%

生産者コメント:水に棲まう龍なる神は天を砕く鋭き顎を持つ




唯一級にはしては少し攻撃力が少ないが、最大分割状態だと15mまで伸びる事を考えると妥当と言えるのかもしれない。


このゲームでは、武器に対応した流派でないと上手く使えず通常攻撃しか出来ない。

当然、俺の流派は蛇腹剣に対応していない。

まぁ、分割していない状態、ロングソードとして使えば問題ないのだけど…。

ただ、イスカ刀特有の居合が出来ない為、鋭さや攻撃力がそれなりに落ちてしまう。

特に、真空波が使えないのが痛いな。

将来的には、レギアス流を極め掛け合わせて蛇腹剣でも使えるようにしないとな…。

そうなると、真空波は捨てるべきなのかも知れない。

ん~、難しい選択だ…。


そんな事を考えている間に、船長の部屋へやってきた…。

その部屋は非常に広く、悪趣味な装飾品や娼婦と思われる女性が数人いた。

そして、部屋の最奥中央に玉座のような椅子が鎮座し1人の大柄な男がいた。

恐らく、蒼の海賊の船長だろう。

部屋中に厭らしい空気が漂っており、娼婦の表情を見る限り、この空気は媚薬ではないかと推測できる。

この辺は大して臭いがきつくはないが、玉座周りは臭いの発生源近くという事もあり近付かないほうが良いだろうな。



俺の姿を確認しても表情1つ変えず、まるでそこに居ないかのように娼婦による奉仕に魅入っていた。

俺が部屋の中央付近まで歩いて行くと船長は俺の方に向いた。


「何の用だ、小娘…。見て分ると思うが、俺様は今忙しい。

それとも何かお前が娼婦の代わりにでもなってくれるのか?」


船長は値踏みするかのように俺の身体を見回した。


「とまぁ、冗談はここまでだ。お前だな…俺様の領域を踏み荒らしている女ってのは…。

それに…お前がここにいるという事はアレクが負けたという事か…。

小娘…生きてここから出られると思うなよ」


船長は、足元にいた娼婦を強引に引き剥がし、椅子付近に立て掛けてあった2振りの戦斧を左右の手で持った。

二刀流の戦斧使いか…。あの体つきなど見る限り、攻撃力と攻撃速度は速そうだ。

反面、攻撃の邪魔にならないようにする為か、上半身はほぼ裸に近い防具だった。


俺は、蛟を構えた。

居合には出来ないので、模擬居合構えという感じで本来鞘がある場所に剣を水平にして構えた。


「む、その剣…。…ふっ…。」


俺が持っている剣に気がついたようで、少し身構えたようだが俺の構えを見て緩めた。

恐らく、剣身の分割はしてこないと思ったのだろう。まぁ、実際そうなんだけど…。


船長は、戦斧を両肩に担いで若干前傾姿勢になった。

恐らくこれが船長の構えなのだろう。

厳つい顔がさらに厳つくなり今にも捻り潰しそうな剣幕となった。


数分ほどお互い牽制し合って膠着状態だったが、若干正気に戻った娼婦の1人がその場から出ようとした時にテーブルにあった蝋燭立てを床に落としてしまう。

それを合図にするかのように俺と船長は前に飛び出した。


俺は縮地で一気に間を詰め先手を打った。


居合もどき・壱之太…』


攻撃をする直前、目の前から船長の姿が消えた…。

咄嗟に見上げると、船長は俺の頭上へ2振りの戦斧を振り下ろすところだった。

速い…それに案外身軽だ…。あの体躯からは想像も出来ないほどだ。

俺は縮地にてバックステップをして攻撃を回避した。

振り下ろされた戦斧は、俺が元いた位置の床を粉々に砕いていた。

なんという、破壊力なのだろうか…。あれを食らったら一撃死も有り得る。


船長は間髪入れず俺の方へ間合いを詰めてきた。

さすがにダンジョンのボスなだけの事はある。

船長の攻撃が俺に当たるか否かというタイミングで俺は垂直にジャンプをして回避すると共に攻撃を仕掛ける。


居合もどき・死之太刀(対地)』


完全に攻撃後の硬直時間だった船長は虚を突かれ俺の攻撃をまともに食らった。


「ぐぉああぉぉ」


船長を3mほど吹き飛ばしたが、やはり真空波が出ない事もあり大きなダメージにはならなかったようだ。

まぁ、それでも船長の胸には十字の傷跡が出来ていた。


確かに船長は間違いなく強い。

けど、アレクのようにテクニカルタイプという訳でもないし、武器に小細工が仕掛けられている訳でもない。

倒し難いけど、アレクよりは楽な相手だ。


そうと分れば早々に決着したところだ。


俺は縮地で間合いを詰め、攻撃の準備を始める。

船長はそんな俺の動きを読んでいたのか、横へ薙ぎ払う2連続攻撃を仕掛けた。


居合もどき・伍之太刀』


俺はその動きをある程度読んでいたので、這うような姿勢から技を繰り出した。

しかし、船長はジャンプする事でそれを回避した。

ま、これも予想していたのだけど…。


居合もどき・蜂之太刀(対空)』


ジャンプ後の無防備な船長に対して連続攻撃で追い討ちを駆ける。

さすがに、これは避け切れなかったようでまともに攻撃を食らったようだった。

俺の連続攻撃は天井に船長が激突する事で要約止んだ。

そして、天井から床へ落下し船長は悶絶した。


「ぐはっ…!?」


しばらく倒れたまま動かなかったが、よろけながら立ち上がると俺を睨んだ。

しかし、そのままフラフラと壁の方によろけて行った。

所謂、ピヨリ状態ってやつだな。


「ぐぅ…ばかな…」


このタイミングを逃すわけにはいかない…。

俺は、縮地を使い一気に間合いを詰めた。

船長は、朦朧とする意識の中で間合いを詰めている俺を確認し、右手に持っていた戦斧をトマホークのように投げた。

あの大きな戦斧を簡単に投げるとはやはり腕力は凄まじいな…。

俺は、左に軌道を微調整しスピードを落とさずに避ける。

だが、船長はある程度避けられるのを覚悟していたようで、調整した軌道にもう1振りの戦斧が迫っていた。

これは間に合わないかもしれないと俺は思ったが、いまさらこの勝機を逃す訳にもいかないと思い、掠める事を覚悟して右に軌道を微調整した。

右肩に戦斧が掠り、激痛が走ったが最後の技を俺は繰り出した。


『奥義・剣結界』


壁際でこの技は非常に強力になる。

いわゆる、ハメ技というやつだな。

逃げ場がない所で使うと避ける事が出来ず、防御をしても連続する攻撃に耐え切れず数撃後には無防備な状態になっている。


「!!!!!!」


船長は言葉にならない叫び声と共に俺の攻撃を連続で食らい、体中の血肉を撒き散らしながら段々と空中に巻き上げられていく。

本来なら空中でお手玉状態になる感じなのだが、壁に阻まれ剣の結界に押し潰されていく感じになる。

ジョーイと違い、船長とレベル差があるといっても精々+10ぐらいだ。

レベル差の結構あるジョーイに現段階でこの技を出したら死なないまでも結構なダメージを与えられる筈…それ程なのだ。


すでに、船長の身体は跡形も無く肉片と化していたが、SPが切れるまで俺の技は止む事がなかった。

本当、これが唯一の欠点だ…。


「はぁはぁはぁ…」


戦闘中は気付かなかったが、俺は前回と同じようにその場で気を失いかけた時、外から大きな爆発音と砲撃音が聞こえてきた。

アヤカも海賊船とやってるみたいだな。


俺はよろめきながら物陰に向かい玉座の後ろに座り、震える手でリュックからSP回復ポーションを取り出し…気を失った。

そして、俺は目を覚ますとユルギスの街の宿屋のベットで横になっていた。


「目覚めたかしら?」


俺は顔を横に傾けるとアヤカが微笑みながら隣のベットに座っていた。


「…アヤカが助けてくれたのか?」


「いいえ、私は運んだだけよ。ザキラがアキラを見つけたのよ」


精神領域で繋がっているザキラは俺の居場所をアヤカに伝えたようだ。


「そうか…」


「ほんと、気を失う技はあまり使わない方が良いわよ?」


「ああ、そうだな。改良の余地があるな。

ところで、アヤカの方はどうだったんだ?」


「私の方?まぁ、時間は掛かったけど沈めたわよ」


「そうか…」


簡単にアヤカは言ったが、確か蒼の海賊の船は戦列艦だったような気がするのだが…。

その後、色々消費しすぎた俺に配慮したのか、アヤカの提案で俺達はユルギス島を後にし要塞都市へ戻って来た。

そして、傭兵ギルド出張所で海賊討伐の報告をし、その報酬で今は酒場で食事をしているところだ。

そうそう、蒼の海賊を壊滅させたという事で、ギルドから多額の報奨金を貰えた。

壊滅は想定外だったようで依頼にはなっていなかったのだが、実際はノースブレイとハイランドから賞金を賭けられていたみたいだ。



アヤカと色々話して出た話題なのだが、アヤカは新たの通名を手に入れたようで、俺にも通名が付いたんじゃないかという話が出た。

そういえば、確認する時に気付いたのだが、通名を手動で切り替える事が出来なくなっていた。

どういう理屈で現通名が決定するのか分らないが、アヤカは『光迅』から切り替える事は出来ないらしい。

ちなみに、アヤカが入手したのは『海賊船狩り』だ…。海賊狩りならよく聞くのだが、海賊”船”狩りは初めて聞く通名だ。

そして、俺には『蒼の海賊狩り』という通名に固定された。

レアなのか一般の通名なのかよく分らない称号だ。


この際だから、現ステータスを確認したら、この話は切り上げて食事に集中しようと思う。


「メニュー…スタータス確認…」


***************************************************

名前=苗字:アキラ=ローグライト

通名:蒼の海賊狩り

年齢:15

性別:女

種族:ハーフエルフ※

属性:光・炎

主職業:傭兵

副職業:―

役割:剣士

名声:6587

序列:―

ランク:38983150

賞金額:―

利き腕:両利き

流派:月守流居合剣術

流派:―

所属国:ノースブレイ王国(オード王)

////////////////////////////////////////////////////

レベル:46

HP:2256/2256(+20)

MP:2364/2364(+30)

SP:2013/2013(+20)

腕力:162(+30)

脚力:123(+20)

体力:95(+2)

器用:145(+25)

敏捷:119(+12)

視力:89(+8)

指揮:6

魅力:73(+10)

突破:38

妨害:14

詠唱:121(+15)

運:32

魔法力:170(+20)

法力:109(+10)

魔力:99(+10)

霊力:139(+25)

神力:25(+5)

呪力:0

*****************************************************


見ての通り、通名に蒼の海賊狩りが追加されている。

ちなみに、設定されている通名によってNPCやMobの反応が変わる仕様になっている。

例えばだが、海賊狩りが通名だったとすると、海賊に対して+5%の追加ダメージと海賊Mobからの敵対心が一段階プラスされる。

改変後どうなっているかは知らないが…。


後は…名声とランクがかなり上がったな。

それ以外では、突破・妨害・運が少し上がっているな。


まぁ、レベルも大して上がっていないので、こんなものだろう。

いや~、ユルギス島に行ってから3日しか経っていないのに、久々にまともな食事を食べた感覚だわ。

明日の事は明日考えるとして、今日は存分に食事を楽しむ事にしよう。



どうだったでしょうか


アレク戦の蛇足のような感じになってしまいましたね

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