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『E/O』イオ  作者: たま。
序章【改変編】
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第18話【潜入】

誤字脱字・表現の誤りにはご容赦願います。

今回は少し短いです。

早朝、俺はアヤカと別れ、蒼の海賊の本拠地へ目指していた。

さすがに逃げたと思っていた者が舞い戻り、しかも自分達の懐に入り込むなんて思わないだろう。


途中、海賊を何人か見かけたが、ほとんどが就寝中だった。

やはりというべきか、街へ向かう道を見張るかのように海賊達は配置についていた。

起きていた者は、見付からない様に始末をしておいた。


本拠地へ着くとそこには2人の門番が立っていたが、2人共非常に眠たそうにしていた。

門の前にある茂みで身を隠して様子を窺っていると右の門番は半分寝ている感じに見える。

左の門番も右の門番の状態にも気付かないほど、注意散漫状態だった。


「ザキラ、合図をしたら左の門番を倒してくれ。

決して声を出さないでくれよ」


「承知した」


ザキラはいつでも飛び出せるように構えた。


「我が手で風は狂い暴れ…嵐は踊り狂う…我が指先の魔弾は敵を穿つ」


俺は手振りでザキラへ合図を送ってから、俺は魔術を放つ。


「エアバレット!」


ザキラは茂みから飛び出るが、門番の海賊は死ぬ直前まで気付く事はなかった。

ザキラが左の門番を斬り殺すと同時に右の門番へエアバレットは着弾し心臓を穿った。

ほとんど、音もなく倒す事が出来た。


ちなみに、エアバレットは風属性の中位魔術だ。

圧縮した風の塊を銃弾のように放つ魔法で、射出速度と貫通力が高く使い勝手が良い。

しかも、無色透明で音が出ないので隠密に適している。


俺とザキラは、死亡した門番を門の石柱にもたれさせ、生きているかのように偽装を施した。

まぁ、近付けばすぐにバレるだろうが、時間稼ぎにはなるだろう。


そして、人気の無さそうな入り口か窓を探し、本拠地の建物周辺を探索する。

一周だけ周った感じ、建物の中には人の気配が余り感じなかった。


6箇所ある入り口の中から最も気配のなかった扉から俺達は入った。


入った所は、まっすぐ50mほど廊下が延び右側に小部屋がいくつもあった。

一番手前の部屋を覗いて見ると、小さな部屋に2段ベットが2つ並んでいた。

恐らく、下っ端海賊の部屋なのだろう。

気配察知のスキルを使いながら廊下を歩くが、やはり人の気配がなく、難なく50m歩きぬいた。


出たところはエントランスのような広いスペースだった。

奥には、上へ伸びる階段と下へ伸びる階段の2つあった。

改変前と変わらないのなら、2階は主に隊長クラスの海賊や幹部の部屋だろう。

そして、地下1階は、武器庫や倉庫など物資関連の部屋があり、それより下は港へ続く長い階段がある筈。

基本的に5大海賊の本拠地の構造はほとんど変わっていなく、部屋の割り振りが多少変更してあるぐらいだった。


おっと、見張りだ。


「ふわあぁぁ、静かだねぇ。静か過ぎて退屈だぜ」


「そりゃ、そうだろ。80人程いれば事足りるって思ったらこのザマだぜ。

アレク様とエリム様が仕事でいなかったとはいえ、大勢の仲間とガルフ様が死んだんだ。

このまま、スルーする訳にもいかないだろ」


「だからって、半数も捜索にいらないだろ」


「面目ってやつさ」


ほう、半数…5・60人ほど捜索に向かったのか、どうりで人の気配がない訳だ。


「こんなに退屈なら、俺も捜索に行きたかったぜ」


「なんでだ?」


「女子供を追い詰める方がまだマシじゃねぇか。

それに一番最初に捕まえれば一番手を貰えるって話だしな」


まだ、それ有効になってんの?!


「ははは、じゃ、この情報は知ってるか?

その女子供エルf」


「何やってんだ!お前らっ!」


2階から別の見張りが降りて来た。

見るからに堅物という感じの海賊だ。


「良いじゃねぇか。別に…

船長は部屋に篭りっきり、アレク様は船長の護衛、エリム様は船の方…。

誰も俺達の事見てねぇって」


「逆に言えば、ここが手薄って事だろうが…。

まぁ、良い。お前達は地下へ巡回しに行け」


「はぁ、了解っと」


見張る気のない海賊2人は地下へ、堅物2人は玄関の方へ向かった。

今がチャンスだな。


さて、どうするか…。

確か、2階奥にある階段を上った先に船長の部屋に通じる階段があった筈なのだ。

まぁ、これだけ閑散としていれば海賊に出会う可能性は高くないだろう。

ただ、見張りの話が本当ならアレクという幹部との戦闘は避けられない感じではあるな。


俺はエントランスに誰もいない事を確認し、階段を上って2階へ向かった。

階段を上りきると小スペースがあり、そこは休憩所のようになっている。

その先に、広めの廊下と左右に分かれて個室が並んでいる。

角に立ち、廊下の方を覗くと見張りが2人1組で2組が巡回していた。

奥には重そうな扉があり、恐らく幹部と思われる1人の海賊が扉の前に立っていた。


さすがに1本道だと隠れて移動は出来ないな。


「我は望む。我が親愛なる…風の精霊ソードレス。我の呼びかけに応えよ。我の名はアキラ=ローグライト。汝の名はザキラ」


俺は背後から襲われないようにザキラを呼び出した。


「背後から来る海賊の始末よろしく」


「おう、承知した」


さて、行きますか…。


俺は、堂々と廊下の方へ歩いていった。

あまりにも堂々と歩いたので見張りの2人は、一瞬気付かなかったようだった。

奥にいる見張りも気付き、走ってこちらへ向かってきた。

幹部はこちらに気付いたようだが、組んでいた腕を解いただけで、こちらへ来る様子はない。


「…あん!?誰だてめぇ…」


「そんなもん見れば分るじゃねぇか。侵入者…いや、ガルフ様を殺ったヤツだろ」


「んあ、そうだったな。蒼の海賊には女はエリム様しかいねぇしな」


「聞いていた特長にそっくりだ。間違いねぇな」


む、殺し損ねた海賊がいたのか…。

海賊4人は、武器を構える。

2人は俺の横へジリジリと移動していく。


俺は刀を構え、いつでも迎撃できるようにした。

幹部の海賊がこちらを見ているので、出来るだけ手の内は見えないように戦いたいな。

俺はまず左にいる海賊に通常の攻撃をした。

通常攻撃とはいえ、一応、居合の部類に入る攻撃である。そう簡単には防げない。

不意を突かれた海賊は、腹から右肩までを切り裂かれ何もせぬまま倒れる。

その勢いのまま、右側にいる海賊を袈裟斬りで倒す。

こちらも反応出来ないまま倒れる。

そして、すぐに刀を鞘へ納める。


『居合・壱之太刀』


間髪入れず、技で前の2人を斬り伏せる。

この間、たったの4秒…、幹部の海賊は、その一連の攻撃を見て少し驚いたようだった。

血振りをしてから、刀を鞘へ納め奥の扉へ歩いていく。

廊下を抜け、扉の前にやってきた。

そこは、少し広い空間で戦闘するには十分な広さだった。

壁や廊下に斬った後のような傷が少し気になる程度でさして装飾品などはなかった。


アレクと呼ばれていた海賊は、少し笑いながら俺がやってくるまで何もせず待っていた。


「ふふふ、凄いな君。下っ端とはいえ4人を一瞬なんて…」


アレクは、拍手をしながら俺を迎えた。

この余裕な態度が少し恐ろしく思えた。余程、腕に自信があるのだろうな。


「どうだい、俺達の仲間にならないか?

船長はあんたを許すつもりはないらしいが、俺は殺すには惜しい人材だと思っている」


本心なのか冗談なのか判断し兼ねるな…。


「はっ、冗談はやめてくれ…」


「冗談じゃないさ。ま、簡単には受け入れて貰えないだろうけどな。俺なら船長を説得できる自信がある」


俺は、無言のまま刀に手を添え構え戦闘の意思を伝える。


「……そうか、残念だ」


アレクは、ロングソードより少し長めの鍔のない剣を持ち、脇構えより少し腰落とした感じで構える。

鍔がない剣はそんなに珍しい事もないが、柄の部分にあるハンドガードに銃のトリガーのようなものがついている。

銃口のようなものは刀身にないし、あれは何なのだろうか…。


「……せいっ!」


俺が武器の形状に気を取られていると、アレクが仕掛けてきた。

気付くのが少し遅れたが反応できないほどではない。

俺は、バックステップで攻撃を避ける。

しかし、その反応を予測していたのか、剣先は俺に追従してきた。


「くっ…」


俺は咄嗟に刀を抜いて剣先を逸らし、腰を落としてから縮地を使いアレクの背後へと回る。

背後に行く最中に刀を鞘へ納め、背後に回った後そのままの勢いで攻撃を仕掛ける。


「やるねぇ。だけど!」


アレクは身体を回転させ俺の攻撃を難なく弾く。

弾かれた際、俺の手は少し痺れた。

俺よりも腕力が上なのかもしれない…と思い、俺は目を凝らしアレクを分析する。

レベル…54…、改変前よりもレベルが上がっている。

というより、改変前こんなキャラはいなかった筈だ。

改変後、全てのNPCに名前が付いたのは知っているが、容姿まで変化しているなんて…。


その後もアレクは何度か攻撃をしてきたが、見切れないほどではなく俺も何度か攻撃を仕掛ける余裕もある。

むしろ、Lv54でこの程度なのかと思った程だ。


しかし、攻撃をする度に、鋭さが段々と上がってきているのに気付いた。

その時、ブンッっと風を叩っ斬る鋭さと共に俺の額を掠めていき、地面に剣先を突き刺さる。

咄嗟に仰け反って直撃を防いだが、交わしきれなかったようだった。

額に生暖かい何か…まぁ、血が流れるのに気付き、俺は縮地でのバックステップで間合いを空けた。


「へぇ~、避けるとはやるじゃないか。それなりに力を込めた筈なんだけどな」


やはり、今までの攻撃は本気ではなかったのか…。

最後の攻撃もあの口ぶりからすると本気ではないという事だな。


「さて、本気を出すか…。あんたも本気を出しな。

出さないまま死にたくはないだろ?」


「ふん。ボクを生け捕りするつもりじゃなかったのか?」


「本気ってやつは、相手の命の事なんて考えて出来るものじゃねぇよ」


俺は、無言で刀を鞘に納め再度構え直し、アレクもまた構え直す。


「さて、命のやり取りってやつをしようぜ!」


どうだったでしょうか

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