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『E/O』イオ  作者: たま。
序章【改変編】
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第17話【死闘】

誤字脱字・表現の誤りにはご容赦願います。

俺が海賊に駆けて行ったのが合図のようになり、海賊達も一斉に駆け出した。

本拠地のテラスから数十本の矢が弧を描き飛んできたが、山なりの頂上付近でアヤカの矢が全てを消し飛ばした。

海賊達は、アヤカの存在に気付いた。特に本拠地内の海賊は狙いをアヤカに定めたようだ。

ただ、まだ銃使いの海賊の半分はまだ俺に銃口が向いている。

まぁ、半分ぐらいになったから文句はない。


初めは出来るだけ背後に回り込まれないようにしていたが、時折跳んでくる銃弾で気が紛れ何時の間にか背後にも海賊がいた。

俺が数人の下っ端を斬っている間、数発の銃弾が俺の肌を掠めていく。

まだ、直撃はないがこのままだと何れ当たるかもしれない。

しかし、俺には銃弾を避ける余裕がなかった。

こうなった以上、急所攻撃をする余裕はないな。


「ハッ!」


今、技を繰り出す余裕もなく、俺は通常攻撃で海賊達と戦っている。

一旦下がって居合でまとめてやろうにも肉の壁に取り囲まれている為退けない。

また、銃弾が飛んできて俺の頬を掠める。


「っ…」


俺が片目を瞑った時を見計らったかのように海賊達が攻勢に出てくる。


「オラァァ!」


海賊は3人がかりで俺に切りかかってきた。

俺は避けきれないと思い、思わず刀で受け止める。


「いっ!?」


そこに隙が出来てしまい他の海賊が、俺の横腹に向けてヤクザキックをした為2mほど

俺は吹っ飛んだ。


「!!」


複数の手が俺に捕まえようと伸びてきた時、突風が吹き海賊達は吹き飛んでいった。


「間に合ったようだな」


そこには風の精霊ソードレスことザキラが俺の前に立っていた。


「ザキラ…!」


「背中は任せてくれ」


数ヶ月前には想像も出来ないほど頼もしい精霊がそこにはいた。

信頼関係も4段階目になっていたので、ザキラは9割の力を発揮できるようになっていた。


「ああ、任せた!」


俺は刀を鞘へ納め、居合の構えにする。

背後を気にせず戦える…俺の本来の戦いが出来る。


「おらぁ、死にたいヤツから掛かって来やがれっ!!」


背後でザキラが海賊に啖呵を切る。


状況は非常に不利だ。

だから、俺は今まであまり使っていなかった技も出し惜しみなしで使っていくつもりだ。

使っていなかったのは今のSPでは燃費が悪かっただけで、余裕ぶっている訳ではない。

実は、俺の流派の技には全部12種あり、11個目と12個目の技は奥義に価するが、今のアキラに使えるか微妙なところだ。

しかし、使わないで負けるよりはずっと良い。

ただ、12個目は、属性が付与された武器に特化した奥義の上Lvが60以上必要だ。

この奥義は、ヴォルトの最終装備に合わせて進化させていった技なのだ。

11個目の技はどんな武器で使えるのだが、ザキラを巻き込む恐れがあるので使いどころが難しい。

それに、繰り出すまでの隙が大きいのも要因の1つだな。


まぁ、それは良い…戦闘再開だ。


『居合・死之太刀』


その場で居合を繰り出し、前方にいる海賊達を切り裂き吹き飛ばす。

大体、5.6人ぐらい巻き込んだか…

海賊達に集団心理が働いているのか、味方が数人吹き飛んでも怯む事はなく躊躇しないで向かってきた。


「おらぁ」


真正面で剣を振り上げた海賊に対して横薙ぎで右脇腹を切り裂く。


「死ねぇ!」


同じように攻撃体勢に入っていた海賊は突き攻撃をしようとしていた。

幹部に殺すなって言われてなかったか?

まぁ、それは置いておいて、さっきの海賊の斬った時の勢いのまま下からの切り上げでこっちの海賊は対処する。


俺は、崩れ落ちた海賊を踏み台にし空中へ跳んだ。


『居合・死之太刀(対地)』


「!?」


「へっ?」


「んな!?」


「なにぃ」


「あ、白だ」


今度は、地面に向かって真空波を放つ。

海賊の後ろで固まっていた無警戒だった数名の海賊達の身体は縦割りのような感じで切り裂かれる。

2人程は死なずに腕か脚が斬りおとした感じになったが、戦闘は続けられないだろう。

それと、何か1人だけ違う反応をしたが気にしない方が良いだろう。


また、着地する勢いでジャンプ斬りを放ち1人を殺す。

次は、囲まれないように縮地を利用したバックステップで元の位置へ戻る。


見渡した限り、3分の1は倒したかな。

背後で戦っているザキラも大体それぐらい倒しているようだ。

後ろにいる海賊達は、すでに俺が視界に入っていないようで完全にザキラに立ち向かっていた。

アヤカもすでに弓使いを全滅させているようで、銃使いに狙いを変えていた。

さっきから、銃弾の雨が弱まったのはこのお陰だな。

数人の海賊がアヤカのいる丘へ登ったようだが、俺が残したノックさんとアヤカの氷華が活躍しているようだ。


海賊達の後ろにいる幹部から余裕の色が消えていた。

7・80人いた海賊達が今は20人強まで減っていたからだ。


俺は血振りをした後、刀を鞘へ納め構え直す。

幹部の方を睨む。


「…畜生、これ以上俺の…が悪くな…は拙い…」


少し遠いので聞き取りにくいが独り言を言っているようだ。


「余所見してんじゃねぇ!」


1人の海賊が斧を振りかぶって攻撃をしようとする。


「…遅い!」


技は出さずに、そのまま振り抜き鞘に納めた。

海賊達の隙間から幹部の様子を見てみると、下っ端に何かを命令しているようだった。


注意が幹部に行っていた間に2人の海賊が左右から同時に攻撃してきた。

俺は冷静に縮地で後ろへ退き、攻撃が空振ったところに居合で斬り返した。


『居合・壱之太刀』


2人の海賊の身体は上半身と下半身が斬られ綺麗に放れた。

幹部の動向は気になるが、取り合えず目の前の下っ端どもとちょい上の海賊を始末してからにしよう。

…って、あれ?そのちょい上の海賊がいない…。


その瞬間、俺の影がより大きい影で覆われていたのが見えて、後ろを振り返る。

振り返った後に攻撃しても手遅れと判断した俺は、振り向きながら刀を鞘から抜いた。

でも、少し気付くタイミングが遅かったようだ。


「んっ…」


海賊から放たれたショーテルの剣筋は俺の右肩を切り裂いた。

激痛が走ったが、俺の刀も海賊の腹を深く斬り裂き身体が崩れ落ちる。


斬り裂かれた肩は、かなり痛く左腕が思ったように動かない。

俺は両利きなので、このまま続行出来なくもないが、銃弾や剣の掠り傷も大分多かったので、あまり無理はしない方が良さそうだ。

左腕が全く動かない訳ではない。

しかし、動かすたびに出血を伴った激痛があり、視界もぼやけている。

これは、HPが半分を切っている証拠なのだ。

状態異常「出血」にもなっていたので、回復しないまま放っておくと何れ気絶してしまう。

ちなみに攻撃によって破損した防具などは戦闘終了と共に見た目が修復される。

耐久が0になった時のみ修復しないようになっている。

ジョーイ=シムス戦後、防具が使い物にならなくなったのはそういう訳でもある。


「今だ、その娘を捕らえろっ!」


「いえっさ~」


幹部が叫んで下っ端に命令し、下っ端は一斉に返事を返す。


「ヘヘヘ…じっとしてなよ~」


一番近い所にいる海賊は厭らしい手つきをしながら近寄ってくる。

それ以外の海賊も俺が動けないと判断したのだろうか、薄気味悪い笑み浮かべて歩み寄ってきた。

ならば、出来るだけ多く俺の間合いに入ってくるまで動けないフリでもするとするか…。


俺はザキラの位置を確認する為、周りを見渡すと20m左後方で6名ほどの海賊達と戦っていた。

大分、少なくなっているな。

岩陰辺りだし、このぐらいの距離なら巻き込まずに済みそうだ。

当たったとしても、ザキラは死ぬ訳ではないだろうし謝れば良い、


奥義をこの状態で使うには少し躊躇ってしまうが、治癒する時間がないので仕方ない。

ちなみに、奥義は、Lv30以上かつHPが半分以下の時に出せる特殊な技だ。


取り合えず、こいつらを始末してからゆっくりとHPを回復させるとしよう。


よし、10人弱の海賊と幹部海賊が俺の間合いに入った。

1人が俺に手を伸ばそうとしてきたので、立ち上がりながら体当たりをする。

海賊は1mほど下がり勢い余って尻餅を付いた。


そして、俺は刀を鞘に納め構えなおす。

すでに俺のSPは半分を切っていたので、この技を出すと恐らく俺のSPは空になるだろうな。

いつもより、深めに腰を捻る。


『奥義・剣結界』


十一之太刀とか言い辛いので、実は奥義だけ名前を決めてある。

これは俺の1つの到達点と言える技で360度全方位に対して神速の乱れ斬りする。

一度、発動させるとSPが空になるまで出続けるというデメリットがある。

が、別に他の流派の奥義もそういう特性かというとそういう訳でもない。

この「剣結界」がそういう特性なのだ。


度重なる成長と強化により剣筋は見えないので、正に剣の結界なのだ。

さらに、夢幻刀効果もあるから尚更だな。

壁際や鈍重な巨大Mobには、ハメ技的な効果がある。


一番近くにいた海賊は細切れされ肉塊となった。

段々と加速していく俺の剣筋は、ヘリのブレードのような加速音を発しながら最高速度に達する。

ここまで来ると剣筋だけでなく、俺の右腕の動きも視認できていない筈だ。


その後方にいた数名の海賊もほとんど間を空けず同じように肉塊になっていく。

目の前で細切れになっていく仲間を見て、他の海賊達は逃げようとするが既に遅く近い者から斬り裂かれていく。

ランダムで飛ぶ真空波は周りの岩や死体をも切り刻み、ザキラと戦っていた海賊も1人巻き込まれる。


そろそろ、SPが切れようとしている。

残るは幹部1人…間に合うか…。


「ぬおおぉぉぉぉぉ!」


すでに逃げる事を諦めたのか、幹部は自分の得物であるハルバートを盾代わりにする事で何とか剣結界の斬撃に耐えていた。

しかし、ハルバートの刃部分にヒビが入りだし、破片を撒き散らした後砕け散った。

幹部の身体は、剣撃に巻き込まれ空中で肉片を飛び散らしながらお手玉のようになっていた。

そして、技の終了を意味する斬り上げが出て、「剣結界」が止まる。

この一太刀で幹部海賊を真っ二つにする。。

しばらくして、血沫と細切れになった肉塊が上空から降り注ぎ、俺の身体が…もとい周辺が血で染まる。


俺の周りにいた海賊を全て始末できたが、SPは空になり俺は膝を付く。


「ハァハァハァ……」


改変前は、SPが切れるとただその場から動けなくなるだけだった。

しかし、改変後は、立つ事も儘ならない状態になるようだ。


やば…、意識が朦朧する…。


「姉御!」


少し遠くの方でザキラの声がしたような気がした。

はや…く、SP回復ポーション飲ま…ない、と…


俺は誰かに抱きかかえられる感覚の中意識を無くした。

どのくらいの時間が経ったのだろう。

目を覚ますと辺りは、真っ暗だった。


「ここ…は?」


「アヤカ殿、姉御が目を覚ましましたぜっ!」


近くにザキラがいたようだ。

少し遠くにいただろうアヤカを呼ぶ。


ちなみに、俺が気絶していてもザキラが現界していた訳は簡単で、召喚時と精霊界へ戻す時にしかMPが消費しないからだ。

維持するのにMPが必要ではない上に、俺と精霊は精神面で繋がっているので意識ありなしは関係がない。

そして、精霊界へ戻る条件は、俺が精霊に戻るようお願いするか実体のHPが0になるかだ。

精霊の実体がHP0になったとしても、死ぬ事はなく霊体に戻るだけで再度呼び出せる。



「ちょ…、海賊から隠れてるから大きな声出さないでって言ったでしょ?」


「も、申しわ…!」


「だから…」



さっきよりも大きな声で謝罪しようとしたザキラを制した。


「…申し訳ありませぬ」


ザキラはしょんぼりした小さな声でアヤカに謝っていた。


こちらに歩み寄ってくるアヤカを見ている内に目が慣れてきた。

野営を立てていた丘の上ではなさそうだった。


「ごめんね。こんな所で…。

アキラが倒れた後、海賊船が入港したのが見えたからすぐに移動したのよ」


なるほど…80人ほどの海賊だったのは、半数が本拠地を離れていたからか…。


「で、海賊達が私達を捜索しているみたいで、焚き火をする訳にもいかないのよ」


アヤカの後ろに水華ではない別の精霊が立っていた。


「あ、この子は風の精霊シルフの風華よ。この子に周辺を守って貰ってるわ」


俺の視線に気付いたのか紹介してくれた。


「初めましてですね。風華と言います」


「よ、よろしく」


風華は、名前を述べた後、暗闇に溶け込むように消えていった。

恐らく、この周辺の空気と同化でもしたのだろう。


「そういえば、動ける…」


俺の肩の傷は消えているようだしSPも回復していた。


「気絶している間に、HP回復ポーションとSP回復ポーションを口へ流し込んだわ」


「いやぁ、女同士の接吻は何か興奮しますなぁ」


ザキラが頬を赤らめながらにやけていた。


「せっ!?」


「勘違いしないでよ。意識ないし出血もしてたから仕方なくよ!」


頬を赤く染めて明後日の方向を向いた。

こ、これは世に言うツンデレというやつか…。


「で、どのくらい動けるの?」


「ん、ああ」


俺は起き上がり左肩を回したり腰を捻ったりした。

問題は無さそうだ。

ステータスを確認しても、「出血」はなくなっている。

それに、レベルが1つアップしていた。


「大丈夫。何ともない」


「そう、良かったわ。じゃ、取り合えず、ハイ」


アヤカは、保存食である干し肉を俺に渡した。


「火が使えないから、これで我慢してね」


「干し肉嫌いじゃないから、全然大丈夫だ」


ヴォルト時代の主食だったし問題ない。

俺は、干し肉に齧り付く。

空腹だった事もあり、非常に美味しく頂けた。


「ねぇ。これからどうするの?私としては夜が明けたら街に一度戻った方が良いと思うわ」


食べ終わったのを見計らって、アヤカは今後の行動について聞いてくる。


「ん~。それが一番なんだろうけど…」


「何か問題でもあるの?

あいつら、どうせ夜が明ける前に出港するじゃない」


今回の海賊達の行動をみる限り、改変前と同じ行動するか未知数だ。


「もしも、奴等が夜が明けても俺らを探していたらどうする?

街に行く為の道なんて当に封鎖されてると思わないか」


「………確かに、有り得るわね」


アヤカは少し考えた後に頷く。


「じゃあ、どうするの?」


「もう少し、休めば全快する」


HPとMPすでに全快、SPは後4分の1ぐらいだ。

まぁ、ポーションを使えば良いが節約も大切だ。


「ん…?」


「全快したら、海賊狩りの再開だ」


準備の為に俺は、装備品とリュックの中身を広げ確認する。

夢幻刀は残り耐久40…心もとない数値だな。

温存の為に途中で海賊の武器を拾って使うとするかな。

防具全般も大分減っている特に上半身の防具はすでに表示が赤い。

肩口に食らった攻撃のせいか…。

その次に靴の耐久が少ないな。

道具はと…、HP回復ポーションが8つ、SP回復ポーションが6つ、MP回復ポーションが5つで、各々が回復量中のポーション瓶だ。

攻撃を食らわない事を前提にしている為、少ない量しか持ってきていない。


「え?ちょ、ちょちょっと待って!ええ?!」


「ん?」


「いやいやいや、私は良いけど…アキラはきついでしょ。

さっきまで気絶していた子が言うセリフじゃないわよ」


「どうせ、ここに居ても何れ見付かるさ。なら、こっちから打って出て可能なら船長も倒す。

ついでに、蒼の海賊も壊滅させよう。それにはアヤカの協力も必要だけどな」


「え、いや、まぁ、そうだけど……分ったわ。

………協力…ね、具体的にはどうするわけ?」


「簡単な事だよ。俺が本拠地、アヤカが海賊船を叩く。

戦力を2分出来るし、良い考えだと思わないか?」


本拠地なら取り囲まれる事はないので俺に好都合だ。

それに、アヤカの狙撃能力と弓の破壊力は海賊船に都合が良い筈だ。


「え、ええ…そう…ね…?」


いまいち、アヤカは納得していなかったが、俺達2人は朝に備え精霊達に周囲を警戒させた後で眠りに付いた。

どうだったでしょうか。

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